それは4月のある日のこと。自宅に大きくて分厚い郵便物が届きました。おやっ!?一体、何だろう?
ただ、心当たりはありました。夏のザルツブルク音楽祭のプログラムです。過去に何度もチケットを取って観に行っているので、毎年送られてくるからです。しかし、すぐに、この夏のプログラムは既に受け取っていたことを思い出しました。
それでは、一体何だろう?恐る恐る中を開けてみたら…、
(写真)ムジークフェラインの2020/2021シーズンのプログラム。比較で山崎12年のミニボトルを置きましたが、写真だと今一つ、その巨大さが伝わらないのが何とも口惜しい…。
どーん!ムジークフェラインの来季のプログラムでした!何と掟破りのA4横版!あまりの大きさに度肝を抜かれました!(笑)
実は私はムジークフェラインの会員なんです。毎年のようにウィーンに行っては、ムジークフェラインザールでウィーン・フィルを始め素晴らしいコンサートを聴いているので、その流れで会員になりました。
(写真)ムジークフェライン。奥にカールス教会が見える、大好きな景色。ウィーン国立歌劇場と並んで、音楽の都ウィーンを象徴する存在です。
会員になると、毎年来季のプログラムが送られて来ますが、例年だと、この半分のA5横の大きさ。今年はムジークフェライン150周年なので、きっと特別仕様で倍の大きさなのでしょう。今年の1月に150周年の記念コンサートでベートーベンを聴いてきた、その感動を思い出しました。
(写真)今年の1月に行った時に、ムジークフェラインに掲げられていたムジークフェライン150周年のポスター。響きが素晴らしく、きらびやかなホールは、お正月のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートの会場としても有名です。
(参考)2020.1.5&6 ウィーン・フィルとウィーン楽友協会合唱団のムジークフェライン150周年記念コンサート
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12582157738.html
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12584103600.html
その2020/2021シーズンの充実のラインナップ。好きな指揮者・ピアニスト・歌手を中心に、少しご紹介します。
(写真)ヘルベルト・ブロムシュテットさん
※ムジークフェライン2020/2021シーズンのプログラムより
2020年10月1日
Wiener Philharmoniker
Ludwig van Beethoven/Symphonie Nr. 4 B-Dur, op. 60
Carl August Nielsen/Symphonie Nr. 5, op. 50
まずはウィーン・フィルと相思相愛の、我らがヘルベルト・ブロムシュテットさん。十八番のベートーベンとニールセンです。ニールセンはサンフランシスコ交響楽団との全集が名盤の誉れ高いですが(私も愛聴盤)、ウィーン・フィルだと、どのような演奏になるのでしょうか?
ベートーベン4番は、一昨年のN響とのキビキビとしてメリハリの利いた名演が思い出されます。マリア・ジョアン・ピレシュさんの引退公演となったピュアなピアノ協奏曲第4番も素敵でした。
(参考)2018.4.21 ヘルベルト・ブロムシュテット/マリア・ジョアン・ピレシュ/N響のベートーベン
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12370285141.html
(写真)エリーナ・ガランチャさま
2020年11月17日
Klavier: Malcolm Martineau
Ausgewählte Lieder von Richard Strauss und Sergej Rachmaninow
Jesús Guridi/Seis canciones Castellanas Ausgewählte Zarazuelas
思わず写真に見入ってしまう圧倒的な美貌のエリーナ・ガランチャさま。R.シュトラウスとラフマニノフの歌曲とともに、スペインはバスク地方の作曲家ヘスース・グリーディの作品を披露します。
私はムジークフェラインザールで2008年にセミヨン・ビシュコフ/ウィーン・フィルのマーラー3番を聴きましたが、その時のメゾ・ソプラノがエリーナ・ガランチャさまでした。あり得ないくらいに素晴らしかった思い出!私の至高のマーラー3番体験となっています。
(写真)ジョヴァンニ・アントニーニさん
2020年11月19日
Il Giardino Armonico
Joseph Haydn
Symphonie A-Dur, Hob. I:59, „Feuer-Symphonie”
Symphonie D-Dur, Hob. I:72
Symphonie D-Dur, Hob. I:31 („mit dem Hornsignal”)
一昨年の読響への客演が強烈だった、ジョヴァンニ・アントニーニさん。いつものイル・ジャルディーノ・アルモニコとともに、ハイドンの初期から中期の交響曲3曲という、非常に魅力的なコンサート!極めて刺激的で活き活きとしたハイドンが予想されますが、う~、聴きに行きたくなりますね。
(写真)フィリップ・ジョルダンさん
2021年1月14日
Wiener Philharmoniker
Arnold Schönberg/Verklärte Nacht, op. 4; Fassung für Streichorchester
Richard Strauss/Eine Alpensymphonie, op. 64
ウィーン国立歌劇場の音楽監督になるフィリップ・ジョルダンさんは、ウィーン・フィルとのシェーンベルク/浄夜、そしてR.シュトラウス/アルプス交響曲という、選曲の妙を大いに感じさせる非常に魅力的なプログラム!万難を排して聴きに行きたくなってしまうコンサートです。こういうプログラムを知ってしまうと、ウィーンに移住したくなり…(笑)。
(写真)アダム・フィッシャーさんとユリア・レージネヴァさん
2021年3月20日
Wiener Philharmoniker
Joseph Haydn
Symphonie G-Dur, Hob. I:88
Konzert für Trompete und Orchester Es-Dur, Hob. VIIe:1
(Trompete: Jürgen Pöchhacker)
Berenice, che fai. Kantate für Sopran und Orchester, Hob. XXIVa:10
(Sopran: Julia Lezhneva)
Symphonie Es-Dur, Hob. I:103, „Symphonie mit dem Paukenwirbel“
ハイドンのスペシャリスト、アダム・フィッシャーさんは、88番と103番をウィーン・フィルと。アダム・フィッシャーさんはオーストリア=ハンガリー・ハイドン管弦楽団との全集が有名で、私も愛聴盤ですが、そのキレキレのハイドンが、たおやかなウィーン・フィルが相手だと果たしてどうなるのか?抜群のコロラトゥーラを誇るロシアの森麻季さんこと、ユリア・レージネヴァさんの歌も楽しみです!
(参考)2017.8.11 ユリア・レージネヴァ/カペラ・ガベッタ@エーベルバッハ修道院(ラインガウ音楽祭)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12305915949.html
(写真)エリーザベト・クールマンさん
2021年4月22日
Klavier: Eduard Kutrowatz
Johannes Brahms
Von ewiger Liebe, op. 43/1
Sapphische Ode, op. 94/4
Therese, op. 86/1
Franz Schubert
Die Rose, D 745 Viola, D 786
Der Zwerg, D 771
Carl Loewe
Herr Oluf, op. 2/2
Die Uhr, op. 123/3
Tom der Reimer
Odins Meeresritt, op. 119
Hugo Wolf
Italienisches Liederbuch - Auswahl
これまた美貌のエリーザベト・クールマンさんはブラームス、シューベルト、フーゴー・ヴォルフの歌曲。これに初期ロマン派のカール・レーヴェが加わるのが何とも素敵なプログラム。今年4月の東京・春・音楽祭でクールマンさんのリサイタルを聴けなかったのは残念でしたが…、また来年来ていただけますように。
(写真)パーヴォ・ヤルヴィさん
2021年4月23日
Orchestre de Paris
Paul Dukas/Der Zauberlehrling. Symphonisches Scherzo nach einer Ballade von Johann Wolfgang von Goethe („L’apprenti sorcier”)
Béla Bartók/Konzert für Viola und Orchester
Hector Berlioz/Symphonie fantastique, op. 14, „Episode de la vie d’un artiste“
我らがパーヴォさんはパリ管弦楽団とベルリオーズやバルトークなどのプログラム。パーヴォさんはこの他に、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団とのマーラー9番でも客演します。海外でもあちこちでご活躍のところ、年3回N響を振りに東京に来ていただけるのは本当にありがたいことです。
(写真)リッカルド・ムーティさん
2021年5月13日
Wiener Philharmoniker
Felix Mendelssohn Bartholdy/Ouvertüre „Meeresstille und glückliche Fahrt“, op. 27
Robert Schumann/Symphonie Nr. 4 d-Moll, op. 120
Johannes Brahms/Symphonie Nr. 2 D-Dur, op. 73
これまたウィーン・フィルと相思相愛のリッカルド・ムーティさんは、シューマン4番にブラームス2番という素敵過ぎるプログラム!ムーティさんとウィーン・フィルのブラームス2番なんて、どんだけ素晴らしいことか!聴かなくても伸びやかな演奏を想像して、それだけで思わず感動しそうになります。
(写真)ダニエラ・ファリーさん
2021年5月16日
Philharmonia Schrammeln
Wiener Frauenherzen
私も大ファンの、ウィーンの歌姫ことダニエラ・ファリーさんは「ウィーンの女心」と題した、何やら楽しげなリサイタル。この写真はファッション・モデルのようで色っぽさを前面に出していますが、実はとても人懐こくてチャーミングなのは、この2月のNHKラジオのドイツ語講座のインタビューでも伺えました。この1月のウィーン国立歌劇場のJ.シュトラウスⅡ/こうもりでのアデーレは最高でした!
(参考)2020.1.6 J.シュトラウスⅡ世/こうもり(ウィーン国立歌劇場)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12585485849.html
(写真)クリスティアン・ティーレマンさん
2021年6月5日
Sächsische Staatskapelle Dresden
Edvard Grieg/Konzert für Klavier und Orchester a-Moll, op. 16
(Klavier: Denis Matsuev)
Richard Strauss/Eine Alpensymphonie, op. 64
クリスティアン・ティーレマンさんはムジークフェラインザールでも大人気。昨年GWにウィーン・フィルとのブルックナー2番を聴いた時の、聴衆のエンドレスなスタンディング・オベーションはさすがの一言でした!
今回はシュターツカペレ・ドレスデンと、得意のR.シュトラウス/アルプス交響曲。私、以前にザルツブルク音楽祭でティーレマンさんとウィーン・フィルのアルペン・シンフォニーを聴いたことがありますが、正に「最高峰」の体験となっています。シュターツカペレ・ドレスデンとの演奏も、それはそれは素晴らしいことでしょう。
(写真)ルドルフ・ブッフビンダーさん
2021年6月9日
Kammerorchester Wien – Berlin
Wolfgang Amadeus Mozart
Symphonie G-Dur, KV 124
Konzert für Klavier und Orchester Es-Dur, KV 271, „Jenamy“
(Klavier: Rudolf Buchbinder)
Divertimento B-Dur, KV 287
ウィーンを代表するピアニストと言えば、ルドルフ・ブッフビンダーさんです。十八番のモーツァルトの協奏曲。ブッフビンダーさんはベートーベンも素晴らしいですが、モーツァルトも輪をかけて絶品です!さらにウィーンで聴ければ、あり得ないくらいに素晴らしい体験となりますね。
ということで、ほんの一部ですが、ムジークフェライン150周年の2020/2021シーズンのプログラムをご紹介しました。これら珠玉のアーティストやオーケストラのみならず、旬のアーティストやこれからの若手のアーティストも毎日のように客演して、大変賑やかなプログラムです。ちなみに、何と188ページもあります!(笑)
ただ、心配なのは新型コロナウイルス。オーストリアは比較的上手く対処したように思いますし、ムジークフェラインザールは東京オペラシティコンサートホールと同じくらいの、大ホールとしてはやや小ぶりの1,700席なので、工夫して感染防止対策を施して、何とか無事にシーズンを全うしてほしいと願っています!