とても素敵な薔薇のまちエルトヴィレの観光を終え、ホテルで仮眠を取った上で、バスで20分のエーベルバッハ修道院に再び行きました。どうして2回も?目的は修道院の礼拝堂(バジリカ)でのバロックのコンサートです!

 


(写真)エーベルバッハ修道院の礼拝堂(バジリカ)

 

(写真)ラインガウ音楽祭のポスター(上)とプログラム(下)。沢山のコンサートがあります。


(写真)日中に行ったヴィースバーデンの大通りにも沢山のラインガウ音楽祭のフラッグが。音楽祭で盛り上がっている雰囲気が伝わってきます。


 

ラインガウ音楽祭は、ヴィースバーデンを中心にラインガウ地方の様々な会場で、コンサートが行なわれる夏の音楽祭です。中心となるクーアハウスだけでなく、修道院やお城、果てはワイナリーなど特別な会場でのコンサートもあるユニークな音楽祭。今回初めて参加してみました。今宵の出演者・曲目は以下の通りです。

 

 

Barock-Fest mit Julia Lezhneva

Basilika, Kloster Eberbach

 

Julia Lezhneva Sopran
Cappella Gabetta
Andrés Gabetta Violine & Leitung

 

Antonio VivaldiOuvertüre aus der Oper „La verità in cimento“ RV 739

 

Nicola Antonio Porpora„In caelo stelle clare“ Motette für Sopran und Orchester


Angelo RagazziSonata a quattro G-Dur op.1 Nr.8

 

Georg Friedrich Händel„Salve Regina“ Geistliches Konzert für Soprran, zwei Violonen und Basso continuo g-Moll HWV 241

 

Pause

 

Antonio VivaldiKonzert für Stricher und Basso continuo g-Moll RV 156

 

Georg Friedrich Händel„Un pensiero nemico di pace“ Arie des Piacere aus dem Oratorium „Il Trionfo del Tempo e del Disinganno“ HWV 46a

 

Antonio Vivaldi„Zeffiretti, che sussurrate“ RV 749.21 Arie der lppolita aus der Oper „Ercole su’l Termodonte“ RV 710

 

Francesco GeminianiConcerto grosso „La Follia“ Nr. 12 nach Arcangelo Corellis Violinsonate Nr.12 d-Moll op.5

 

Georg Friedrich Händel„Brilla nell’alma“ Arie der Rosanne aus der Oper „Alessandro“ HWV 21
 

 

楽団もソプラノ歌手の方も、これまで名前も音楽も聞いたことがありません。カペラ・ガベッタはアンドレス・ガベッタさんによって結成されたピリオド楽器のアンサンブル。ユリア・レージネヴァさんはロシアのソプラノ歌手です。どんな演奏や歌なのか、とても楽しみです。

 

曲目も普段バロック音楽を聴かない私にとっては、聴いたことのない曲ばかりですが、今回は敢えて予習はせずに臨みました。ヴィヴァルディやヘンデルなどの音楽かつ雰囲気のある修道院でのコンサートなので、おそらく予習なしでも十分楽しめるはず。ここは新たな曲たちとの出逢いの瞬間を純粋に楽しみましょう。

 

 

前半1曲目はヴィヴァルディのオペラ「訓練の中の真実」序曲。カペラ・ガベッタは小さな編成の楽団ですが、バジリカの中で音がよく響きます。とにかく熱い演奏で、指揮のガベッタさんが煽る煽る!楽団みなピタッとついていって音が馴染みます。2曲目はポルポラのモテット„In caelo stelle clare“。レージネヴァさん、めっちゃ上手い!聴いていて、これ誰かに似ているな?と、しばし考えたら、森麻季さんでした。日本が世界に誇るクリスタル・ヴォイス。レージネヴァさんの方が森麻季さんよりも声が太くて少し低めですが、全体の雰囲気は似ています。モテットですが、ほとんどオペラのアリアのような曲でした。

 

3曲目はラガッツィの4声のソナタ ト長調。2楽章がバッハを思わせてとても良かったです。4曲目はヘンデルのサルヴェ・レジーナ。オルガンがリードする曲です。バジリカの中でのオルガンの響きにはやはり格別なものがあり、感動しました!

 

 

後半2曲目はヘンデルのオラトリオ「時と悟りの勝利」より„Un pensiero nemico di pace“。この曲、ソプラノとヴァイオリンがもの凄い速さで追いかけっこをします。レージネヴァさんもアンドレス・ガベッタさんも凄い!手に汗を握るようなスリリングな演奏です。3曲目はヴィヴァルディのオペラ「テルモドンテのエルコレ」に使われることになるアリア„Zeffiretti, che sussurrate“。チェンバロ主導で和む雰囲気です。途中ソプラノが高らかに飛翔するメロディが美しく、今回の初めて聴く曲たちの中で一番好きになった曲でした。レージネヴァさんの高音が何とキラキラ光っていることか!

 

4曲目はジェミニアーニの合奏協奏曲「ラ・フォリア」。うん、これはどこかで聴いたことがある変奏曲。会場も大盛り上がりでした。最後はヘンデルのオペラ「アレッサンドロ」からアリア„Brilla nell’alma“。レージネヴァさんの信じられないような超絶技巧のアジリタに会場は興奮のるつぼと化しました!!!

 

アンコール1曲目(曲名不明)も凄いアジリタ、2曲目(曲名不明)は叙情的な曲でレージネヴァさん、温かい感じで締めました。

 

 

実は正直なところ、チケットを取った時は、夜に何か音楽を聴ければいいな、くらいの気持ちでしたが、結果めっちゃ感激したコンサートでした!いや~、ラインガウ音楽祭、レベルめちゃめちゃ高いですね!しかも修道院のバジリカで音楽を聴けるのは雰囲気があって本当にいいものです。普段聴く機会のないヴィヴァルディ、ヘンデル、ポルポラ、ラガッツィ、ジェミニアーニの素晴らしい音楽を堪能できたのも大いなる喜びでした。

 

レージネヴァさん、これ、ヒロイン誕生、ブレイク間違いなしなのでは?と、旅行中ずっと思っていましたが、東京に帰ってから調べたら、2015年のロイヤル・オペラ来日公演のドン・ジョヴァンニでツェルリーナを歌っているんですね!大変失礼しました…。「天才ソプラノ」の呼び声も高いようです。まだ20代後半、これから来日公演もまだまだあることでしょう。また聴けることを今から楽しみにしています。

 

 

7時間の時差がある中での旅行初日なので、絶対に途中で眠くなったり、召されたりするかな?と思っていましたが、一切ありませんでした。フライトで3~4時間くらい眠れたこと、コンサートの前に少し仮眠を取ったこともありますが、演奏や歌が歯切れよく熱かったのと、1曲1曲が短かったことも大きかったのかも知れません。ヨーロッパ入り初日の演目の選択として、今後の参考になりました。

 

ということで、旅行初日から2つのまちと修道院を周り、修道院での素晴らしいコンサートと、とても充実のスタートが切れました!旅行はまだまだ続きます。