先週のR.シュトラウスやJ.シュトラウスのコンサートが最高だったクリスティアン・ティーレマンさんとウィーン・フィル。今日はブルックナー8番のプログラムを聴きに行きました。
~ 日本オーストリア友好150周年記念 ~
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(サントリーホール)
指揮:クリスティアン・ティーレマン
ブルックナー/交響曲第8番ハ短調WAB108(ハース版)
(参考)2019.11.5 クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルのばらの騎士&J.シュトラウス
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12542677853.html
ウィーン・フィルのブルックナーは過去に6番、7番、4番、2番と聴きました。いずれも極めて素晴らしい演奏でしたが、共通していたのは、ブルックナーの交響曲はウィーン・フィルのために書かれた音楽なのではないか?、と思えるほどに、非常にウィーン・フィルの音色や響きに合うことを実感したことでした。今日は名曲中の名曲の8番。実演を聴くのは久しぶり、非常に楽しみです!
(なお、今日はコンサートに備えて、仕事は早めに終え、仮眠をしっかり取って、集中力200%で聴きました。コンサート記事は、普段もアーティストのみなさまに失礼にならないように、集中して聴いて、指揮者やオケの表現をできるだけ感じ取って、ポジティヴに書くようにしていますが、今日はさらに集中したので、それなりに自信ありです。)
(参考)2014.8.17 リッカルド・ムーティ/ウィーン・フィルのブルックナー6番(ザルツブルク音楽祭)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-11918024782.html
(参考)2017.8.20 ヘルベルト・ブロムシュテット/ウィーン・フィルのブルックナー7番(ザルツブルク音楽祭)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12325050132.html
(参考)2018.8.18 ヘルベルト・ブロムシュテット/ウィーン・フィルのブルックナー4番(ザルツブルク音楽祭)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12419336324.html
(参考)2019.4.27&28 クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルのブルックナー2番(ウィーン・フィル定期演奏会)
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12460146060.html
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12461135446.html
第1楽章。冒頭の主題から、ニュアンスに溢れるウィーン・フィルの弦に魅了されます。繰り返しで金管を強めに重ねていたのが印象的。クリスティアン・ティーレマンさんはフレーズの終わりをゆっくりにしたり、フレーズ間を十分取ったり、強弱の振幅が大きかったり、かなり想いの込められた指揮です。
金管の合奏だけで旋律を紡ぐ場面。ブルックナーの金管パートは思い切った和声や直線的な旋律を採用していて、聴いていてこなれていない印象を持つこともありますが、ウィーン・フィルの金管で聴くと、とても滑らかで美しく、自然な音楽に聴こえてくるのは本当に不思議。
ヴァイオリンの繊細なトレモロの上で、たっぷりのホルン→オーボエのリレーが見事過ぎる!オーストリアの山の上の、のどかな風景を思い浮かべます。中間部の盛り上がりは、盛り上がっていく途中で急激に加速!きたー!ティーレマンさんの真骨頂の踏み込み!そして頂点もたっぷり盛り上げてくれて聴き応え抜群!
第1楽章最後の、金管が咆哮する厳しい場面もたっぷりでしたが、その前の登っていく場面にも痺れました。中間部のアッチェレランドとは異なり、今度はインテンポで盛り上がりますが、楽器のバランスや強弱を工夫して、大いに魅せてスリリング!ティーレマンさんの自由自在の指揮に、もう手も足も出ません(笑)。
第2楽章。冒頭から弦楽と木管群と金管群のブレンドが素晴らしい!サントリーホールに軽やかに舞い上がる音楽。何なんでしょう、この美しいオーケストラは。低弦がグリッサンドばりに下がっていくところは、大いなる脱力感を醸し出していて、まるで大あくびをしているかのよう(笑)。
中間部で素敵なハープが聴かれるシーンがありますが、その前段の終わり方を、1回目は木管がどうぞ!と言わんばかりに緩めるニュアンスが素敵。逆に2回目はホルンが強く吹いてしゃしゃり出て、ハープに重なるのが可笑しい(笑)。ティーレマンさんのユーモアをも感じさせる指揮、そのニュアンスを見事に音にするウィーン・フィル!
第3楽章。冒頭からの弦楽の深くて温かい響きに魅了されます。途中で金管が一歩一歩盛り上がっていく場面は、ウィーン・フィルの金管パートの構築感が見事過ぎる!クラリネットが意気消沈して降りていくところは、逆にニュアンスを付けずに真っ直ぐ降りていったのが印象的。何も考えずに吹いたり奏でたりしているところのない、よくニュアンスの込められた演奏です。
そしてハース版ならではの音楽がたっぷり聴ける場面。私はこの曲はノヴァーク版で曲が入っているので、ハース版のこの場面を実演で聴くと、いつもと違う音楽が出てきた、という印象をどうしても持ちますが、ウィーン・フィルで聴くと、このハース版だけにしか出て来ない部分の音楽が極めて自然につながり、さらにいろいろな楽器による音楽を知覚することができ、大いに痺れました!
そして迎える第3楽章のクライマックス。ここぞと盛り上げるティーレマンさん!迫力がありつつも美しいウィーン・フィル!巨大な感動に包まれる瞬間!その後のハープの場面やその後の後奏は、たっぷりでなく、敢えてあっさり目の演奏。これが却って名残惜しさを増長して、大いに胸が切なくなりました。ということで、第3楽章は最初から感動の連続、ずっと涙が溢れて仕方ありませんでした…。
第4楽章。冒頭はウィーン・フィルの金管が雄叫びを上げるスペクタクルな場面。これが痺れるほどに上手い!さらに鎮まっていくトランペットの弱音のニュアンス!ほとんどその後の木管と同じくらいに柔らかい表現、本当に見事です。
その後の弦楽が主体となる深~い音楽の場面。若い頃にこの曲を聴き始めた時には、なかなか馴染めなかった場面ですが、ウィーン・フィルで聴くと、これが本当に自然な音楽として聴こえてきます。たっぷり堪能できました。
冒頭の主題が帰ってくる場面の前のめり感がとてもいい!そして、いよいよ迎えるラスト。幽玄な弦楽から始まり、金管が瞑想的に加わり、じっくりゆっくり盛り上がっていき、大きな頂点を築き上げます!プログラムには初演時のフーゴー・ヴォルフの言葉「これは大勝利であった」もありましたが、何と巨大で輝かしい音楽!
そして、最後のソーミレド。今日はゆっくり降りましたが、何と!最後のドを力強く伸ばすのでなく、すぐ弱音にして終えました!このパターンは初めてでビックリしましたが、すぐに、マーラー/交響曲第3番のラストやR.シュトラウス/ばらの騎士のラストの音楽のような、何か世界や次元が代わるような、そんなニュアンスを感じ取りました。
いや~、凄い!!!凄すぎる!!!クリスティアン・ティーレマンさんとウィーン・フィルのブルックナー8番。聴く前からただただ大きな期待しかありませんでしたが、それを余裕で上回る素晴らしさ!!!圧倒的な名演でした!!!!!
ということで、演奏だけでも極めて感動的でしたが、私は今日の特別なコンサートのために、しっかり準備をしました。1つ目はウィーン楽友協会アルヒーフ展を観に行って、ブルックナー8番の自筆スコアの実物とご対面したこと。2つ目はウィーン楽友協会アルヒーフのイングリッド・フックス副室長のブルックナーに関する講義を聞いたことです。
講義ではもちろん、ブルックナー8番の初演にまつわるお話もありました。信頼する指揮者にスコアを送ったものの難しいと告げられ、ブルックナーがショックを受けて改訂を始めたこと。初演は大成功であったこと、その他この他いろいろ。
こうして苦労に苦労を重ねて出来上がったブルックナーの傑作を、初演のウィーン・フィルで聴く。そのこと自体がクラシック音楽のファンとして、大変光栄なことに思います。遂に念願が叶って、大いなる喜びに包まれた今日の演奏でした。
(参考)2019.11.3 音楽のある展覧会 ウィーン楽友教会アルヒーフ展「19世紀末ウィーンとニッポン」
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12542040129.html
(参考)2019.11.10 音楽のある展覧会ギャラリートーク「ウィーン音楽界を彩ったブラームスとブルックナー」
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12544129495.html
そして、何と!ブルックナー8番なのに、通常はやらないアンコールが始まりました!アンコールは先週も聴いたヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「天体の音楽」!これが冒頭のワーグナーを思わせる半音階の和声、「天体」の音楽がスケール感を感じさせ、壮大なブルックナー8番の後に聴くには、これしかない!と思わせる絶妙のアンコール!こういう選曲は本当に痺れますね!
演奏は前回に続いてウィーンの雰囲気たっぷりの演奏。そして、私の涙腺ポイントの(笑)、ファ~ラミ~ソラシ♭ミレッレッレ~♪くう~、泣ける~。アンコールも素晴らしかったです!
(写真)前回に続いて、日本オーストリア友好150周年のロゴ。ブルックナー8番は1892年にハンス・リヒター指揮でウィーン・フィルが初演した、ウィーン・フィルにとって特別な曲です。なので、頻繁にプログラムに登場する曲ではありません。
日本オーストリア友好150周年における、ウィーンからの素晴らしいプレゼント。しかと受け取りました!最高の演奏を本当にありがとうございました!!!
