N響の新しいシーズンの開幕公演、パーヴォ・ヤルヴィさんとのポーランド・プロを聴きに行きました。ジョシュア・ベルさんのヴァイオリンも楽しみです!

 
 

NHK交響楽団第1918回定期演奏会Apro.

(NHKホール)

 

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

ヴァイオリン:ジョシュア・ベル

 

【オール・ポーランド・プログラム】

 

バツェヴィチ/弦楽オーケストラのための協奏曲

ヴィエニャフスキ/ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調

ルトスワフスキ/小組曲

ルトスワフスキ/管弦楽のための協奏曲

 

 

 

まずはバツェヴィチ。第1楽章。勢いの良い弦楽の音楽。プロコフィエフやヒンデミットに似ているかな?とも思いましたが、すぐにバツェヴィチの独特な和声を感じます。叙情的な第2楽章、アクセントが目まぐるしく変わるリズミカルな第3楽章。弦楽による独特な和声と構築感のある音楽を楽しめました!

 

バツェヴィチは1909年生まれの女性の作曲家です。作曲家の父親から音楽理論を学び、後にパリでナディア・ブーランジェに師事したそうです。先週金曜が生誕200周年だったのクララ・シューマンからの流れもいい感じ。

 

 

続いてヴィエニャフスキ。第1楽章は切々と歌われる短調、途中に出てきてホッとする長調、ジョシュア・ベルさんの伸びやかな美音のヴァイオリンが心地良い。叙情的で甘~いヴァイオリンに魅了される第2楽章も素敵な演奏。スリリングで激しいリズムの第3楽章は、ジョシュア・ベルさんの超絶技巧もはまって素晴らしい聴きもの!観客も大いに湧いていました。

 

ヴィニャフスキのヴァイオリン協奏曲第2番は久しぶりに聴きましたが、本当にいい曲ですね。もっといろいろなヴァイオリニストにより演奏されるのも聴いてみたいです。ジョシュア・ベルさんは昨年末にニューヨークのカーネギー・ホールでブラームスを聴きましたが、東京では久しぶりの印象。プログラムを見たら、N響定期は23年ぶりとのことでした!それにしても見事なまでのイケメンぶり(笑)。

 

(参考)2018.12.28 ハイメ・ラレード/ジョシュア・ベル/NYSO@カーネギー・ホール

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12432778677.html

 

 

 

後半はルトスワフスキ/小組曲から。第1曲「笛」はピッコロが大活躍の後に、ストラヴィンスキー/春の祭典に似たリズム主体の弦が印象的。第2曲「万歳ポルカ」は3拍子の摩訶不思議なリズムの面白い曲。

 

第3曲「歌」は同じくストラヴィンスキー/ペトルーシュカに似た雰囲気が楽しめ、第4曲「踊り」では、リズミカルな音楽が続いた後、ラストはまるでアイヴズ/交響曲2番のような印象的な不協和音の後、ラヴェル/ラ・ヴァルスに似た終わり方!(笑) 4曲ともユニークで面白い曲でした!

 

 

ラストはルトスワフスキ/管弦楽のための協奏曲。大好きな曲です。第1楽章は強いティンパニからの入り、ティンパニはリズムを刻むだけでなく、1音1音にニュアンスが宿る演奏です。ヘンデル/ハレルヤコーラスの旋律に似た下降音のシーンは、弦楽から金管へとホールをぐるっと回ってリレーするような感覚、N響の音圧がもの凄かったです!その後の爆発するシーンも、パーヴォさん、その前をたっぷり溜めて非常に意欲的な指揮!

 

第2楽章。くるくる回る無窮動のような不思議な音楽から、金管が朗々と吹かれるシーンに切り替わりハッとさせられます。この辺りにはコープランドの音楽も感じます。第3楽章はコントラバスからのパッサカリアの音楽。ピアノの絡み方が雰囲気たっぷり。

 

木管群や他の弦楽、金管が入ってからはめくるめく展開!ルストワフスキの筆致とそれを完璧に表すN響に圧倒されます!ラストのコラールに入る前はパーヴォさんたっぷり溜めて、コラールから終わりまで豪快に鳴らして終わりました。

 

 

何この壮絶で完璧なルストワフスキ!パーヴォさんとN響の圧倒的な名演!

 

 

いや~新シーズン1発目から凄い演奏を聴きました!ルトスワフスキは1999年にスタニスラフ・スクロヴァチェフスキ/N響で管弦楽のための協奏曲を聴いてファンになり、昨年は交響曲第3番を2回聴いて、ますます親近感を持っていましたが、今日のパーヴォさんとN響の演奏は本当に凄かった!この渋い演目にも関わらず沢山入った観客もめっちゃ盛り上がっていましたね!

 

(参考)ルストワフスキ/管弦楽のための協奏曲

https://www.youtube.com/watch?v=cXQ1fgmUIPY (29分)

※hr-Sinfonieorchesterの公式動画より

 

(参考)2018.6.1 ジョルト・ナジ/浜田理恵/藝大フィルのオール・ルトスワフスキ・プロ

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12380837517.html

 

(参考)2018.9.6 アントニ・ヴィト/シャルル・リシャール=アムラン/都響のポーランド・プロ

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12403173686.html

 

 

 

パーヴォさんとN響のポーランド・プロ、素晴らしい公演でした!N響の9月からの新シーズンは魅力的な曲目のコンサートが目白押し。この後も楽しみでなりません!大いに期待しています!

 

 

 

 

(写真)ポーランドのクラクフにある日本美術・技術センター“マンガ”館。ここは「日本美術マニア」だったポーランドの著名なコレクター、故フェリクス・マンガ・ヤシェンスキさんが収集した、浮世絵など7000点に及ぶ日本美術コレクションの常設展示のための施設です。

 

今日のコンサートは日本・ポーランド国交樹立100年にちなんで企画されたプログラム。ポーランドと日本との間には本当に沢山の交流の歴史があるのです。今日はショパンだけではない、ポーランドの素晴らしい作曲家の音楽を堪能できて、とても感慨深かったです。