今シーズン(2018/2019シーズン)のN響も大いに楽しんできましたが、その最後を飾る定期演奏会を聴きに行きました。パーヴォ・ヤルヴィさんのメシアン/トゥランガリラ交響曲です!

 

 

NHK交響楽団第1917回定期演奏会Bpro.

(サントリーホール)

 

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

ピアノ:ロジェ・ムラロ

オンド・マルトノ:シンシア・ミラー

 

メシアン/トゥランガリラ交響曲

 

 

 

メシアンの大作、トゥランガリラ交響曲は大大大好きな曲。これまで何度も聴いてきていますが、最近では昨年1月の大野和士/都響の名演が特に印象に残っています。もしかすると、大野さんと都響による演奏の最高峰に挙げてもいいかも知れない、スケールが大きくかつ色彩感に溢れた感動的な演奏。今回のパーヴォさんとN響の演奏はどうでしょうか?

 

(参考)2018.1.20 大野和士/都響のメシアン/トゥランガリラ交響曲

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12346117382.html

 

 

私はN響のB定期は仕事で行けなくなった時のために、1日目と2日目の両方で定期会員になっています(当日券ではまず入れないので)。1日目に聴きに行けた時は、2日目を家族や友人、後輩にあげることもありますが、今回は大好きなトゥランガリラ交響曲なので、最初から2日間とも聴きに行く気満々(笑)。そして無事に実現しました。

 

 

2日間聴いた印象ですが、パーヴォさんとN響のコンビは、曲の勢いが良く出ていて、メリハリが十分付けられていて、こちらも素晴らしい演奏でした!冒頭から速めの進行、第5楽章「星たちの血の喜び」や第10楽章「終曲」もキビキビとしたテンポで、愛の喜びの「勢い」をよく表していた演奏という印象です。先週のたっぷりのブルックナー3番とは好対照でした。

 

第5楽章ラストは高音の高まりに耳が行きますが、パーヴォさんはワーグナー/ラインの黄金のラストを思わせるような低弦の強調!ハッとさせられる瞬間!パーヴォさんならではのニュアンス付けもふんだんに入り、とても唸らされる演奏でした。

 

また、大野さんと都響が第8楽章「愛の展開」に頂点を置いていたのに対して、パーヴォさんとN響は第10楽章「終曲」にクライマックスを作っていた、とも感じました。終曲途中で第6楽章「愛の眠りの園」の主題が帰ってくるところは、ここぞとばかりにたっぷりの指揮、大いに興奮しました!

 

 

ロジェ・ムラロさんは一昨年にトッパンホールで、メシアン/エローに棲まうムシクイたちの素晴らしい世界初演を聴きましたが、言わずと知れたメシアンのスペシャリスト。トゥランガリラ交響曲のピアノ・パートでも、第5楽章「星たちの血の喜び」のあたかもカデンツァのようなラストや第7楽章「トゥランガリラⅡ」の冒頭など、抑揚を大きく付けた豪快かつ繊細なピアノ、さすが!の一言でした。

 

(参考)2017.6.23 ロジェ・ムラロ ピアノ・リサイタル

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12286485781.html

 

そして、ピアノとチェレスタとジュ・ドゥ・タンブルが舞台の一番前に縦に並んで、同じ旋律をユニゾンで弾くのは視覚的な面も含めて何と楽しいこと!あたかも鍵盤楽器による三位一体!

 

シンシア・ミラーさんのオンド・マルトノは何と言っても第6楽章「愛の眠りの園」が聴きもの。柔らかいオンド・マルトノの音色に包まれて、とても心地良かったです。終曲ラストの音楽の高まりを受けて、制御不能になって暴走するようなオンド・マルトノにも魅せられました。

 

 

個人的な好みとしては、より濃厚だった大野さんと都響の演奏ですが、トゥランガリラ交響曲の勢いや音のダイナミックさがよく出ていて、パーヴォさんとN響の素晴らしい演奏、大いに堪能しました!大好きなメシアンの最高傑作を、N響の見事な演奏で80分×2日間聴いて、色彩感に溢れる音の万華鏡に包まれて、これ以上の喜びはありません!

 

 

さて、前回の記事でギュスターヴ・モロー展の記事を書きましたが、どうしてこのタイミングで観に行ったのか?その理由は、ギュスターヴ・モローの象徴的・官能的な絵が、メシアンのトゥランガリラ交響曲のめくるめく愛の音楽によく合っていると思うからです。

 

特に第6楽章の「愛の眠りの園」の音楽を聴くと、ギュスターヴ・モローの「一角獣」の絵を真っ先に思い浮かべます。この一角獣の絵は清らかなイメージの絵なので、趣旨が違うことは重々承知の上ですが、私は奥底で相通じるものを感じます。気だるく魅惑的なオンド・マルトノの響きが印象的な「愛の眠りの園」をサントリーホールで聴きながら、観たばかりの一角獣の絵を思い浮かべるのは、とても味わい深いものでした。

 

 

(写真)ギュスターヴ・モロー/一角獣

※ギュスターヴ・モロー展で購入した絵葉書より

 

(参考)パーヴォ・ヤルヴィ/hr交響楽団のメシアン/トゥランガリラ交響曲

https://www.youtube.com/watch?v=eCO7le_6LzU

※hr交響楽団の公式動画より。第6楽章「愛の眠りの園」は39:52~51:55です。

 

 

 

ということで、N響の2018/2019シーズンは見事に締まりましたが、今年9月からの2019/2020シーズンは以下の記事に書いたように、極めて充実した内容、N響が決めに来たもの凄いラインナップです!来シーズンもめちゃめちゃ楽しみ。みなさま、素晴らしい音楽・演奏を聴いて、幸せな気持ちになりましょう!

 

(参考)2019.1.11 ドゥネーヴ/カプソン/N響のルーセル&サン・サーンス&ベルリオーズ&レスピーギ(後半にN響の来シーズンへの期待の記事)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12432333515.html