4月になり、私がよく聴きに行く都響、読響、東響、バッハ・コレギウム・ジャパン、紀尾井ホール室内管弦楽団は新しいシーズンに入ります。今日はそのうち先陣を切って、読響のコンサートを聴きに行きました。指揮者は昨年バッハ・コレギウム・ジャパンの首席指揮者に就任しつつ、活躍の場をますます広げる俊英、鈴木優人さん。レミ・ジュニエさんのピアノも楽しみです!

 

 

読売日本交響楽団第621回名曲シリーズ

(サントリーホール)

 

指揮:鈴木優人

ピアノ:レミ・ジュニエ

 

ラモー/歌劇「インドの優雅な人々」組曲(鈴木優人編)

ショパン/ピアノ協奏曲第2番ヘ短調

ストラヴィンスキー/バレエ音楽<ペトルーシュカ>

 

 

 

まずはラモー/インドの優雅な人々組曲。この曲は以前にチェンバロの素晴らしいリサイタルで大いに唸った曲。今日は何と鈴木優人さんの編曲&チェンバロ弾き振りで聴きます。

 

(参考)2017.12.8 ピエール・アンタイ&スキップ・センペ チェンバロ・デュオ・リサイタル

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12334865698.html

 

 

いつもの読響とはどこか異なる、高らかで雅な音色、切れが良くて雰囲気抜群の楽しいラモーでした!読響は昨年10月のジョヴァンニ・アントニーニさんとのハイドンやバッハも抜群に良かったですが、古楽とも非常に相性がいいですね。

 

曲順は「コントルダンス」「タンブーラン」「ゼフィールのためのエール」「ボレと薔薇のエール」「未開人の和睦のパイプの踊り」「ロンド形式のミュゼット」。大好きな「未開人の踊り」はオケだとどこか奥ゆかしく雅な雰囲気になるのが印象的でした。

 

 

続いてショパン/ピアノ協奏曲第2番。ピアノはフランスの新星レミ・ジュニエさん。詩情やニュアンスに満ちた、めっちゃ雰囲気のある素晴らしいピアノ!どこかミステリアスな第1楽章、思い入れたっぷりの第2楽章、きらめきの第3楽章と、本当に見事な演奏でした!

 

アンコールはマズルカop.17-4。これがまたニュアンスてんこ盛りの素敵過ぎる演奏!特に中間部ラストの悲劇的な音、その後、短調に戻っての自暴自棄、そしてやるせなさ。最後、弱音で消え入り、訪れる長い静けさの余韻。レミ・ジュニエさんがこの短い曲の中に、どれだけハッキリとご自身の世界観を描いていることか!

 

また一人、才能に溢れた素晴らしいピアニストとの出逢い!今度はぜひ、リサイタルでショパンかドビュッシーを聴いてみたいものです。

 

 

 

後半はストラヴィンスキー/ペトルーシュカ。1月に新国立劇場の素敵なバレエ公演を観ましたが、何度も書いているようにオケだけで聴くのは苦手な曲です。今日は果たしてどうでしょうか?

 

(参考)2019.1.12 新国立劇場ニューイヤー・バレエ(レ・シルフィード&火の鳥&ペトルーシュカ)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12433019682.html

 

 

正直なところ、今日は鈴木優人さんのラモーを楽しみに聴きに来て十分に堪能したので、後はプラスアルファくらいの気楽な気持ちで聴きましたが…、

 

 

何この見事なペトルーシュカ!鈴木優人さんと読響の会心の演奏!

 

 

これはめちゃめちゃ驚きました!文句なしにこれまで聴いたペトルーシュカで最高!キレが良くて、抑揚がよく付けられて、色彩感豊か。ニュアンスが随所に付けられた、ものの見事な演奏でした!バレエの情景がビシバシと思い浮かび、もう楽しいこと!

 

特に、第1場「謝肉祭の日」でトランペットの強調を印象的に入れていたところ、第2場「ペトルーシュカの部屋」はペトルーシュカの悲哀や切なさをよく雰囲気を出して描いていたところ、第3場「ムーア人の部屋」では最初の方の神秘的な音楽を見事に聴かせていたところ、第4場「謝肉祭の日の夕方とペトルーシュカの死」では途中の熊使いの場面の前後の音楽の転換をあざやかに描いていたところ、などが印象に残りました。

 

鈴木優人さんはペトルーシュカについて、「ブーレーズ指揮のCDをケースが壊れるほど聴いた」とおっしゃっていて、思い入れのある曲ということです。モダン・オーケストラとの共演もありますが、「本籍はあくまでもバッハ」とキッパリ。つまり、鈴木優人さんの場合、バッハ・コレギウム・ジャパンがあるので、モダン・オーケストラとの共演はそもそも頻度が限られ、自分が好きな曲だけに専念して、思う存分、好きなように振れるのではないでしょうか?これは強いですね!

 

それと、今日のラモーやペトルーシュカを聴いて、読響がまた一段と素晴らしい演奏をしていた印象を持ちました。私は読響と言えば、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキさんとのブルックナーやゲンナジー・ロジェストベンスキーさんとのロシアものを聴く機会が多く、どちらかと言うと、重厚で豪快なオケ、というイメージを持っていましたが、今日の演奏のキレ味や色彩感は見事というほかありません。これはオケのみなさまのご努力とともに、この3月に常任指揮者をご退任されたシルヴァン・カンブルランさんの大きなご功績のように思います。

 

 

今日は才能溢れるレミ・ジュニエさんのピアノも大いなる発見でしたが、鈴木優人さんの指揮の素晴らしさにも改めて感心した、満足度の非常に高い絶品のコンサートでした!新しい年度も非常に幸先の良いスタートとなりました。いよいよ高いレベルで実力伯仲の東京の素晴らしいオーケストラ。引き続き、大いに楽しみたいと思います!

 

(参考)2018.12.22 2018年の思い出(東京のオーケストラの素晴らしさ)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12427572506.html

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12427573758.html

 

 

(写真)サントリーホールの帰り道の桜ももう満開ですね。新しい年度、そしてもうすぐ新しい、心の底から素晴らしさと喜びを感じることのできる元号。日本は本当に美しい国です。