楽しみに聴いてきたシルヴァン・カンブルランさんの常任指揮者としての最後のコンサートのシリーズ。今日は4本目、ラストのベルリオーズのコンサートを聴きに行きました。

 

 

読売日本交響楽団第215回日曜マチネーシリーズ

(東京芸術劇場コンサートホール)

 

指揮:シルヴァン・カンブルラン

ピアノ:ピエール=ロラン・エマール

 

ベルリオーズ/歌劇「ベアトリスとベネディクト」序曲

ベートーベン/ピアノ協奏曲第3番ハ短調

ベルリオーズ/幻想交響曲

 

 

(参考)2019.3.7 シルヴァン・カンブルラン/サラ・ルヴィオン/読響のイベール&ドビュッシー

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12445154630.html

 

(参考)2019.3.14 シルヴァン・カンブルラン/読響のシェーンベルク/グレの歌

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12446990090.html

 

(参考)2019.3.19 読響アンサンブル・シリーズ特別演奏会 カンブルラン指揮「果てなき音楽の旅」

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12448442940.html

 

 

 

まずはベルリオーズ/ベアトリスとベネディクト。活き活きとして色あざやか、物語の舞台が見えてくるような演奏でした!カンブルラン/読響のフランスものは、テンポを変えたり、抑揚を付けたダイナミックな演奏。大いに堪能しました!

 

次にベートーベン/ピアノ協奏曲第3番。エマールさんのピアノは旋律をじっくり歌うベートーベン。個人的には3番はつんのめるくらいに弾き急いだ方が味が出るように思いますが、新たな一面を見せてくれた素敵な演奏でした。全般的に穏やかなベートーベンでしたが、第1楽章のカデンツァや第3楽章のラストは迫力のピアノ。エマールさんの解釈は面白いですね。

 

 

後半はベルリオーズ/幻想交響曲。この曲は過去に素晴らしい演奏(サー・コリン・デーヴィス/ロンドン交響楽団など)を聴いたので、個人的にはもうコンサートでは積極的に聴かなくてもいいと思っている曲。しかし、今日ばかりは特別です。

 

その演奏ですが、もう堂々たる名演!カンブルランさんと読響の集大成!大いに魅了されました!

 

たっぷり目に進んで充実の響きの第1楽章。カンブルランさんの踊るような軽やかな指揮とエレガントな響きが実にマッチした第2楽章。イングリッシュ・ホルンの響きが切なく、雷鳴が悲劇的な第3楽章。読響の金管群の爆発がスペクタクルで見事だった第4楽章。ここでいよいよ弾ける(はじける)も、ヒエロニムス・ボスの地獄の絵のように精緻で色あざやかな第5楽章。もう素晴らしかったです!

 

 

観客は大いなる拍手、爆発的なブラボーで応えましたが、何と!アンコールが始まりました!オッフェンバックのオペレッタ「天国と地獄」のフレンチカンカンです!

 

これは幻想交響曲の第5楽章「ワルプルギスの夜の夢」の流れを引くとともに、最初のベアトリスとベネディクトをからかうようで、何と遊び心のあるオシャレなアンコール!大いに唸りました!今年が記念年のベルリオーズとオッフェンバックなのもいいですね。

 

そしたら、読響の弦楽パートの方などが舞台から退出。あれ!?出番がなければ、そのまま座っていればいいのに?と思ったら、赤と白のボンボンを持ってきて4人で踊り始めました!(笑) はっちゃけた踊り、読響のみなさんのノリが素敵(笑)。カンブルランさんもタスキをかけられてノリノリで指揮、会場からは手拍子!楽しい!

 

さらに、後ろの方で動きがあったので、派手な鳴り物でも出すのかな?と思ったら、何と!大きな横断幕が出ました!幕には日本語とフランス語で「ありがとう、シルヴァン。また日本で会いましょう!」の文字が。大いなる感動!もう涙涙…。読響、やりますね!

 

 

(写真)カーテンコールのシーン。オケの後ろに赤の横断幕が!

※この日はカーテンコールの写真撮影OKの掲示が出ていましたが、私はホール内では写真を撮らないので、東京芸術劇場のツイッターから写真をお借りしました。

 

 

そして、いつまでも鳴り止まない拍手。掟破りの(いわゆる)一般参賀2回でマエストロ・カンブルランにみんなでお別れをしました。カンブルランさんもかなり感激されていましたね。今日の観客は特別な素晴らしい瞬間に立ち会えました。

 

 

シルヴァン・カンブルランさんと読響のコンサート、最後も素晴らしく、見事に有終の美を飾られました!常任指揮者としては今日のコンサートが最後。オペラも振られるので世界中で引っ張りだこのカンブルランさんですが、ぜひ2~3年に1回くらい客演していただけるといいなと思っています。またお会いできると嬉しいです!!!

 

 

 

 

(参考)シルヴァン・カンブルラン/読響の思い出と言えば、何と言ってもメシアン/アッシジの聖フランチェスコ。もちろんCDも購入しました。一生の宝物です。

 

CDにはカンブルランさんのインタビューも入っていました。「ワーグナーの《パルジファル》にも儀式や宗教的題材が出てきますが、それらを超えて音楽として私たちに訴えてくるものがある。そうなると《アッシジの聖フランチェスコ》には、《パルジファル》に近い点があるのでは、と感じます。」というご発言がありました。

 

私はもともと作曲家としてメシアンが大好きですが、その中でも特にアッシジの聖フランチェスコに惹かれます。メシアンの書いた唯一のオペラだから、聖フランチェスコという存在が好きだから、アッシジに行ったことがあるから、というのもありますが、ワーグナーの作品の中でも一番好きなのがパルジファルなので、カンブルランさんのご発言を聞くとスッと納得できるものがありました。

 

(参考)2017.11.19 シルヴァン・カンブルラン/読響のメシアン/アッシジの聖フランチェスコ(日本初演)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12329807449.html

 

(参考)2017.11.26 シルヴァン・カンブルラン/読響のメシアン/アッシジの聖フランチェスコ(2回目)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12331622167.html