素晴らしかった浜松国際ピアノコンクールの優勝者6人によるピアノ協奏曲のコンサート!コンサートは十二分に楽しめたので、浜松のまちを観光しましょう!

 

 

(参考)2018.9.16 覇者たちによるコンチェルトの饗宴(第10回浜松国際ピアノコンクール開催記念)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12405616069.html

 

(参考)2018.9.17 覇者たちによるコンチェルトの饗宴(第10回浜松国際ピアノコンクール開催記念)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12405914868.html

 

 

 

 

(写真)ヤマハ株式会社の本社!!!イノベーションロードはこの建物の中にあります。

 

まずは浜松ということで、ヤマハの本社にある企業ミュージアム、ヤマハ株式会社イノベーションロードに行きました。ここは今年の7月3日にオープンしたばかりの、ヤマハの製品開発の歴史を展示する施設です。以下のウェブサイトの通り、コンセプトステージからバーチャルステージまで、12の展示エリアからなります。

 

(参考)ヤマハ株式会社イノベーションロードの展示エリア(ヤマハの公式ウェブサイトより)

https://www.yamaha.com/ja/about/innovation/display/

 

 

これがもう音楽の魅力てんこ盛りの内容!!!大いに魅了され、事前に1時間くらいかかると伺っていたのですが、全然時間が足りない(笑)。何とか12の展示エリア全部を駆け足で周りました。ハッキリ言って全部が見どころですが、特に気になったのは以下の通りです。

 

 

◯イノベーションロードマップ

 

ここにはヤマハがどのように発展してきたのか、その歴史を体系的に見ることができる、分りやすく見応えのあるコーナーでした。一番印象に残ったのは、ヤマハの原点となるオルガン修理のお話。

 

1887年、医療器械の修理工だったヤマハの創業者、山葉寅楠は、浜松の小学校から当時高価だった輸入オルガンの修理を依頼されます。修理したものの評価が芳しくなく、東京の音楽取調所(現在の東京芸術大学)に見てもらったところ、「形はいいが、調律が不正確で使用には耐えない」と酷評されてしまったそうです…。

 

ここでへこたれないのが創業者の凄いところ。山葉寅楠は何と、音楽取調所で1ヶ月音楽理論を勉強し、再度修理をして、今度は「舶来品にも代わり得る」との評価を受けたそうです!専門外の音楽理論を1ヶ月で習得してしまうなんて、本当に凄いですね!そこから、オルガンやピアノの歴史が始まりました。

 

その後にディスプレイされているキーワードが素晴らしい。「次は、ピアノだ」「あらゆる楽器に挑戦しよう」「すべての人に音楽を楽しむ歓びを」「日本人にも豊かな余暇を」「楽器を気兼ねなく楽しめるように」「新しい楽器をつくろう」「“音”が社会にできること」などなど。

 

ヤマハという企業は、クオリティの高いピアノや楽器だけでなく、感動や価値観を創造する会社なんだ、ということがよ~く分りました。

 

 

◯ものづくりウォーク

 

ここはヤマハがどれだけ品質重視で、匠の技術により製品を作っているか、よく分るコーナーです。

 

例えば、ピアノの黒の塗装については、3枚の塗装のサンプルが展示されていました。どれもいい感じの塗装のように見えますが、ヤマハの基準ではこの内2枚はNGですと!黒色度・滑らかさ・光沢度の3つが揃って初めて合格となります。「黒」ではなく「漆黒」の美しさ。これがヤマハの目指す美しさ、ということでした。

 

 

◯ヒストリーウォーク

 

ここにはヤマハが作ってきた歴史的な製品が並びます。1903年のグランドピアノ(何と明治天皇皇后両陛下がお買い上げになられた、と伝えられているそうです!)、1904年のアップライトピアノ、1913年の自動演奏ピアノなど、貴重な歴史的な製品が並んで圧巻でした!

 

中には、1973年から始まったウィーン・フィルとの共同開発によりできたウィンナホルン。そして、リヒテルが1994年に最後の来日公演の際に使用したコンサートグランドピアノ(リヒテルのサイン入り)なども!垂涎ものの展示にクラクラしたところです。

 

 

◯バーチャルステージ

 

ここではバーチャル映像と連動して、ピアノ、ベース、ドラムの自動演奏により、ジャズのセッションの演奏が流されていました。近くで体感してみたら、ほとんど自分がBlue Noteにいるような気分に!もはやこれでライブが成り立つレベル。あの~、マンハッタン(お酒)いただけませんか?(笑)

 

 

◯楽器展示エリア

 

Haruさん、でかぽめさん、ふみぇさん、その他ピアノ好きのみなさま、お待たせしました!(笑) ピアノの展示コーナーです。そして、ここではピアノの試し弾きができます!グランドピアノC1X、C2X、C3X、C5X、C6X、C7X、そしてコンサートグランドピアノCFXと並んでいて壮観です!せっかくの機会なので、これら7台と、世界に25台しかないと言う、ベーゼンドルファーのグスタフ・クリムトモデルを一通り弾いてみました。

 

これだけの数のグランドピアノを弾き比べしたことはなかったので、夢のような一時でした!やはり音色やタッチなど、1台1台違うものなんですね。CFXは見事というほかないです。

 

ただし、残念だったのは前日のお酒(本記事の最後を参照)が残っていたこと…。ドビュッシー/喜びの島は後半に船が難破して行方不明になるし、ドビュッシー/沈める寺はいにしえのカテドラルが浮上できずに沈んだままだったり(笑)。今度は体調万全で来ようと心に誓いました。でも、後で受付のお姉さんに「綺麗な音が聴こえてきましたよ~」と言っていただきました。営業トークでも嬉しい!

 

ということで、時間が全然足りなかったですし、試し弾きもヘロヘロでしたが(笑)、非常に楽しめたミュージアムでした!次に浜松に来る機会があったら、それこそ丸一日いても楽しめるレベル。ぜひまた再訪できればと思います!(なお、ミュージアムに行くには予約が必要です。ご注意ください。)

 

 

 

(写真)浜松市楽器博物館

 

続いて、コンサートホールのあるアクトシティ浜松の中から地続きで行ける、浜松市楽器博物館に行きました。さすがは楽器のまち浜松。ここでは世界中から集まった楽器を見ることができ、沢山の楽器があって壮観でしたが、特に気になったのは以下の通りです。


◯クリストフォリの復元(河合楽器)⇒ピアノは1700年頃にイタリア・フィレンツェの名家メディチ家に仕えていた楽器製作者のバルトロメオ・クリストフォリによって考案されましたが、それを復元したものが展示されていました。

◯ジラフ・ピアノ、キャビネット・ピアノ、スクエア・ピアノ、タンジェント・ピアノなど、いろいろな形態のピアノ!

◯二重奏のためのデュオ・ピアノ!何と2台のピアノがくっ付いています!

◯ハープシコードの系統のヴァージナル、スピネット⇒フェルメールの絵に出てくるヴァージナルってハープシコードの系統なんですね!

◯山葉フルコンサートグランドピアノ「FC型」(昭和25年製)。戦後初の純国産フルコンサートグランドピアノ第1号。発売当時価格150万円。YAMAHAの文字が今のものより大きい。

◯日本初のシンセサイザーの試作第1号!(1969 京王技術研究所)

 

◯リュートは古代ペルシャのバルバットが祖先。またバルバット→ウード(アラビア半島)→リュート(ヨーロッパ)と西へ伝わった。ヨーロッパへはスペインを経由したか、十字軍の遠征の際に伝わった。また、バルバット→ピパ(中国)→琵琶(日本)と東に伝わった。

◯バラライカは17~18世紀に中央アジアの弦楽器ドンブラから生まれた。胴が三角形であるのは製作しやすいことが理由。

◯ポストホルンは新鮮な肉の到着を知らせるため、ホルンを吹きながら村々を回った肉屋に、人々が郵便物を託すようになったのが起源とも言われる。⇒そうなんだ!知らなかった!

 

時間が限られて、全てじっくり見ることはできませんでしたが、世界の各地で本当にさまざまな楽器があって、非常に見応えがありました!大人も子供も楽しめる素晴らしい博物館。お勧めです!

 

 

 

 

(写真)浜名湖オルゴールミュージアム

 

今回の浜松滞在中、せっかくなのでと、浜名湖にも足を伸ばしました。浜松からバスで1時間くらい。浜名湖にはロープウェイで登ったところにオルゴールのミュージアムがあり、楽しんできました。特に気になったのは、以下の通りです。

 

◯1920年代のスタインウェイの自動演奏ピアノ

◯ベンチに座る酔っ払いの人形。ベンチに掛かった上着の裾がオルガンを演奏します。

◯シャボン玉を吹く羊飼いの少女の自動人形

◯ストリートオルガンには帽子が必要⇒演奏が終わった後にお金を集めるために必要なんだそうです(笑)。

◯風と共に去りぬのテーマや、カルーソーの歌の歴史的なSP

◯1999年にスイス展を開催した時に、スイスの視察団から授与された記念カウベル⇒即座にマーラー6番を連想(笑)

 

ここは展示を観ているだけでも楽しいですが、1時間に2回、アンティークのオルゴールや自動演奏楽器の実演が解説付きであります。そのうちの1回は、毎回違うオルゴールや自動演奏楽器になるそうなので、ずっといても飽きません。

 

かかった曲は、ホルスト/惑星の木星の中間部、となりのトトロ、ルパン三世のテーマ、バンジョー・オーケストラという自動演奏楽器によるバンジョー、見上げてごらん(グリッサンドが入り素晴らしい!)などを聴きました。

 

何と、カヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲も流れましたが、オルゴールで聴くとメルヘンの世界で、この後にトゥリドゥが殺されてしまうシーンをイメージすることができません(笑)。

 

そして一番印象に残ったお話。昔、酒場にあった自動演奏楽器を聴くには、1曲につきお酒一杯分の料金、今の500円くらいを払う必要があったそうです。今はスマホやネットで簡単に音楽が聴ける時代ですが、過去にはこういう時代があったんですね。

 

そして、現代の人たちは、果たして過去の人たちほど音楽を貴重なものとして、大切に聴いているのでしょうか?音楽による喜びを過去の人たちほど得られているのでしょうか?自戒も込めて、思わずにはいられません。

 

昨年8月にリューデスハイムの自動演奏楽器コレクションを体験した時にも同じような気持ちになりましたが、これら2つの記事はたまに見返すようにしようと思います。

 

(参考)2017.8.13 リューデスハイム観光(ブレムザー館の自動演奏楽器コレクション)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12308082501.html

 

 

 

 

(写真)JR浜松駅の新幹線乗り場近くにあるヤマハのコーナーのクラビノーバ

 

ここは今年の冬、素敵なジャズシンガーの田中真由美さんが公演で浜松に行かれた時のブログに、JR浜松駅構内にグランドピアノが置いてある、と紹介があり、今回楽しみにしていたものです。

 

ところが、どうやらここの展示は変わるようで、私が行った時には、グランドピアノはなく、ヤマハ株式会社イノベーションロードに連動したと思われる展示内容で、試し弾きができるのはクラビノーバのみでした。ここは人が沢山通るので、めちゃめちゃ緊張しますが、少々弾いてみました。

 

う~ん、新幹線の乗降客がスーツケースをゴロゴロと音を立てて引きながら、急ぎ足で通る横で弾くような感じ。座っている人のいる待合室は少し離れているので、静かな環境で人が立ち止まって、という雰囲気ではありませんでした…。(お酒も抜けたので)沈める寺1曲だけ弾いて、そうそうに切り上げましたが、これはこれで思い出になりました。

 

 

 

ということで、さすがは浜松!という場所を大いに楽しむことができました!ヤマハ株式会社イノベーションロードと浜松市楽器博物館は十分見切れなかったので、ぜひとも再訪できればと思います。

 

 

 

 

 

 

(写真)ピアノがヘロヘロになった原因の前日のお酒。アレクサンダー・ガジェヴさんの素晴らしいラフマニノフ3番を聴いた余韻のもと、ウォッカ・ベースで3杯。モスコ・ミュール→ソルティ・ドッグ→バラライカ。なお、その前に鰻に合わせて日本酒をしたたかいただいていることは言うまでもありません(笑)。