見事だったゲルマニアの女神像。ニーダーヴァルトからゴンドラリフトでリューデスハイムに降りてきました。さっそくリューデスハイムを観光します。

 

 

(写真)ブレムザー館(自動演奏楽器コレクション)

 

(写真)ブレムザー館の前の木製の自動オルガン

 

まずはブレムザー館の自動演奏楽器コレクション。ガイドツアーで見学します。ツアーの時間までちょっとあったので、館の前の木製の自動オルガン(1Euro)を鳴らしてみました。すると…ローレライが聴こえてきました!うん、ちょっと音程が外れているところもあるけど(笑)、いい味出しています。正確な音や演奏だけが人を感動させるとは限りません。

 

ガイドツアーが始まりました。ここはヨーロッパで最大の自動演奏楽器の展示を誇ります。ガイドツアーでは、10種類以上の自動演奏楽器による演奏を聴くことができました。(ガイドツアーでなくても見学できるようですが、実際に音を聴くことができるので、ガイドツアーに参加することを強くお勧めします。45分です。)

 

(写真)Hupfeld Phonoliszt-Violina mit 6 Geigen(リゴレット「女心の歌」)

※ブレムザー館のHPより

 

これが実に奥深い内容でした!例えば上の写真の自動演奏楽器。ヴァイオリンが逆さまに6台据え付けられていて、機械的に演奏されます。何と、弦を押さえるのも、弦を弾くのも機械仕掛け!リゴレットの「女心の歌」がピアノの伴奏により豊かな響きで奏でられました。自動演奏とは言え、生演奏なので、迫力があり、しかも温かみがあります。紙に穴の開いたパンチのようなものが記憶媒体ですが、きっとCDみたいにキッチリでなく、時代とともに緩くなっているので、それが独特の味わいにつながっているんだと思います。

 

(写真)Symphonion Nr. 131(ローレライ)

 

別の自動演奏では、60cmくらいの大きな円盤が回り、グロッケンシュピールやチェレスタなどにより、オルゴールのような幻想的なローレライが聴けました。ローレライがいかに地元で愛されているかよく分かります。何度聴いても素敵な音楽。

 

こんな感じでガイドツアーが進みますが、手回しオルガンでは、トリンク・トリンク・トリンクの歌を、ハンドルを回しながらガイドのマダムが歌っていました。この方、素敵な歌声で、説明も名調子。ケ・セラ・セラの音楽の時には踊ったり、音楽の喜びを全身で伝えます。素晴らしいガイドを聴きながら、音楽の喜び、楽しみ方の神髄を本当に会得されているのは、こういう方なのかな?と思ったしだい。このような方がいらっしゃってヨーロッパの素晴らしい音楽が受け継がれているのでしょう。非常に感銘を受けました。

 

ピアノの自動演奏もあり、リストの愛の夢第3番が演奏されました。往年のピアニストによるという、タメタメでとても味のある演奏!ピアニストがいないので、鍵盤が押さえられているところが高速で飛び飛びで移動していくのがよく分かり、改めてピアニストのやっていることって凄いことなんだな、と思いました。

 

ここで案内のマダムが「誰か弾きませんか?」と呼びかけ。しかも「弾きそうなのは…、あなたかな?」と何と私を指してきました!(笑)どうして?演奏に指が反応してたのかな?でも、愛の夢は過去に友達の結婚式で弾いたことはありますが、今はさっぱりです…。旅程の時間が押していたのを気にしていたこともあり、残念ですが丁重にお断りしました。でも、後でよく考えたら、最初のさわりくらいは弾けたかも?それに別に愛の夢でなくても良かったことに気づき、みすみすベヒシュタインを弾く機会を逃してしまいました。本当にもったいない…。

 

その他、蓄音機や初期のレコードもありました。再生音楽の黎明期のもので、聴こえるのはカスカスの歌声。でも、不思議な感動を覚えます。昔の人は苦労をしながら、このカスカスの音から音楽の喜びを感じていたんですね。

 

翻って、今は沢山の種類の音楽を高品質で簡単に楽しめる、とてもいい時代になりました。でも、果たして昔の人たちが苦労しながら楽しんだように、純粋な気持ちで音楽に向き合えているのでしょうか?音楽をただ大量消費するような聴き方になってしまっていないでしょうか?自戒を込めて、改めて音楽の喜びや大切なことを教えてくれた、このブレムザー館でのことはずっと忘れないでおこうと固く誓いました。マダム、本当にありがとう!

 

 

ブレムザー館が充実しまくっていたので、その後は駆け足でリューデスハイムのまちを周りました。

 

(写真)ブレムザー城。内部はワイン博物館です。6世紀のフランケン地方の貴重なワイングラスがありました。ほとんど太いフラスコのような感じでしたが(笑)。ブラームスとマックス・レーガーもリューデスハイムに所縁があるそうです。まあ、要するに、みんなワインが好きなんですね(笑)。

 

(写真)カトリック教会

 

(写真)市役所の壁画。ワインの造り手への愛情溢れる絵です。

 

(写真)日本人の観光客も沢山来られるようですね。

 

(写真)いつも賑やかな、つぐみ横丁。何往復でもそぞろ歩きをしたくなる道です。

 

 

(写真)つぐみ横丁のお店のシャッター(朝に撮影)。夜になると本当にこんな感じです(笑)。

 

(写真)ドロッセルホーフの外のメニュー表。ドロッセル(つぐみ)とぶどうの実がいい感じ。

 

 

お昼ご飯はやはりつぐみ横丁にある、老舗のドロッセルホーフで食べることにしました。男性のキーボードに合わせて女性が歌を歌っていましたが、さらっと、ヴェルディ/ナブッコのヴァ・ペンシエーロが歌われていました。こういうのは本当に痺れます!ヨーロッパを旅する醍醐味です。

 

(写真)お昼はアンズ茸フェアをやっていたので、アンズ茸クリームソースのマカロニサラダ&リューデスハイマー・リースリング。どちらも美味い!

 

 

 

これで旅行の1/3が終わりました。素晴らしく感動の連続だったライン地方の旅。初めて訪れましたが、このライン川沿いのエリアが非常に人気があるのがよく分かりました。ライン川の川下りで船から見た素敵なまちの数々、具体的には聖マリア大聖堂のあるオーバーヴェーゼルや、河岸の素敵なホテル群のあるボッパルトなどの散策、大ファンになったアスマンスハウゼンのシュペート・ブルグンダーとの再開、ブレムザー館でのピアノの再トライも含め、ぜひぜひまた訪れてみたいと思いました。

 

 

 

 
 

 

そして、午後にリューデスハイムから列車を3本乗り継ぎ、5時間かけて、次のまちにやってきました。次回からはこのまちを中心に旅が展開されます。(続く)

 

(写真)次のまちでは、何はともあれ、まずはこれ!マイセルズ・ヴァイス。世界で一番美味しい白ビールです!