静岡県は浜松に、浜松国際ピアノコンクールの歴代の優勝者によるピアノ協奏曲のコンサートを聴きに行きました。

 

 

第10回浜松国際ピアノコンクール開催記念

ガラ・コンサート 覇者たちによるコンチェルトの饗宴

(アクトシティ浜松大ホール)

 

指揮:山下一史

管弦楽:東京交響楽団

 

ブラームス/ピアノ協奏曲第2番

(ピアノ:アレクサンダー・コブリン)

 

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番

(ピアノ:アレクサンダー・ガジェヴ)

 

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番

(ピアノ:アレッシオ・バックス)

 

 

 

あれ!?あなた!また旅に出かけたんですか?

 

はい。7月から札幌→札幌→金沢→草津温泉→松本と週末に出かけましたが、今回は浜松で非常に魅力的な企画のコンサートがあったので、駆け付けたしだいです。

 

 

魅力的な、と簡単に言ってしまいましたが、このコンサートは浜松国際ピアノコンクールが今年の11月で10回目を迎えるに当たり、歴代の優勝者を招いて9月16日(日)・17日(月・祝)の2日間、開かれるコンサートです。コンクールは3年に1回なので、単純計算で30年に一度しかない貴重なコンサート!(かも?笑)

 

 

これは聴きに行くしかありません!

 

 

コンサートだけでなく、浜松は毎日お世話になっているピアノのYAMAHAがあったり、昨年大いに楽しんだ大河ドラマの女城主 直虎にゆかりのある龍潭寺が近くにあるのも魅力です。

 

そして何と言っても鰻!(笑)松本でたまたま美味しい鰻を食べて火が付いてしましました。そのことは後日の記事で。

 

 

なお、今回のコンサートはコンクールの過去の優勝者たちによるコンサートですが、そもそも私はコンクールというものにはあまり関心がなく、たまに日本人の演奏家の優勝や入賞のニュースがあると、やったね!と思う程度です。

 

今回はコンクールそのものではなくて、その後も活躍されている若手の実力派、旬のピアニストを沢山聴くことのできる格好の機会。ということで興味を持ったしだいです。

 

 

 

まずはアレクサンダー・コブリンさんによるブラームス2番。第1楽章。出だしは燻らすように立ち昇るピアノ!その後の最初の盛り上がりはかなり抑揚を付けていました。途中の聴きどころ、ピアノが和音を踏みしめながら葛藤する場面。コブリンさんは左手を強調してオケにも負けない聴き応え。情熱的な第2楽章はオケとがっぷり四つ、といった感じの熱演でした。

 

第3楽章。飛び飛びのピアノ、神秘的な和声が素晴らしい。コブリンさん、弱音を利かせて素敵なピアノ。東響のチェロも味わい深く素晴らしかったです。第4楽章。チャーミングな旋律と激しい旋律の対比が見事。聴き応え満載の協奏曲を見事に締めていました!

 

 

コブリンさんはプログラムのインタビューでブラームス2番のことを「完璧な音楽と呼べる数少ないものの一つだと思います。ピアノとオーケストラが完璧に呼応する中で、魂の純粋な言の葉が表現されています」と言っています。正にそのことを思わせる秀演でした!

 

 

 

次にアレクサンダー・ガジェヴさんによるラフマニノフ3番。第1楽章。冒頭から非常に雰囲気のあるピアノ。歌い回し、右手と左手の意図的なずらし、急に速くなったり、ゆっくり溜めたり、抑揚が半端ないピアノ!大いに魅了され、第1楽章で早くも涙が…。

 

第2楽章。何と詩情豊かなピアノ!その歌い回しっぷりに魅了されまくりです。これ、もしかして即興でやっているのでは?ほとんどジャズですね。後半の盛り上がりも絶妙、翻っての弱音のいじらしさ。何もかも素晴らしい!この辺り、素晴らし過ぎて、もう涙でぐしゃぐしゃに…。

 

第3楽章。第1主題からして主旋律を歌ったり、裏旋律を強調したり、自由自在。何という魅力的なピアノ!ラフマニノフ、メロディアスな部分もありますが、装飾音主体のパートは、もはや曲そのものがジャズのように聴こえてきました。オケもラストの盛り上がり前でもの凄いアッチェレランド!オケを煽るピアノ!ラストも自在に、極めて感動的に決めてくれました!

 

 

何この魂を揺さぶられるピアノ!恐るべきピアノの破壊力!これこそ芸術!

 

 

いや〜めちゃめちゃ凄いものを聴きました!この時点で浜松まで来て良かったと断言できるレベル!アレクサンダー・ガジェヴさん、恐るべし!

 

なお、ここでさらに衝撃の事実が!ガジェヴさんはプログラムのインタビューでラフマニノフ3番について、こう話されています。

 

「私が常に愛してやまない作品、オーケストラと共演したい曲目のトップリストに位置する「夢の」コンチェルトです。まだこの作品を舞台で弾いたことはありませんが、私のキャリアがスタートした浜松という場所で初めてこの曲を演奏することは最高のアイディアだと思いました。」

 

つまり、この方は、この日に初めてラフマニノフ3番を聴衆の前で演奏したんです!信じられない!それがこんなとんでもなく凄い演奏だなんて!と同時に、自分がその初めての演奏の聴衆の一人になれた幸運を、噛み締めました。

 

 

 

最後はアレッシオ・バックスさんによるチャイコフスキー1番。第1楽章。バックスさんは弾きっぷりがとても良い。フレーズの最後までしっかり弾き切り、非常に聴き応えがあります。

 

第1楽章はスペクタクルな場面が多いですが、各場面とも見事に決めていました。それにしても、ラフマニノフの後でチャイコフスキーを聴くと、ほとんど古典派のように聴こえますね。

 

第2楽章。途中のジャズっぽいところ、それ以降の小さな音で駆け抜けるところを卓抜なピアノで魅了させます。

 

第3楽章。冒頭から迫力のピアノ。最後の盛り上がりもピアノが壊れてしまうんではないか?と思わせるくらいの迫力!素晴らしいラスト!東響もアッチェレランドを大いに掛けて大熱演でした!

 

 

バックスさんはプログラムのインタビューで浜松について、こう語っています。「日本、とりわけ浜松が大好きです。(中略)浜松は程よい大きさの街で、食べ物や人々も素晴らしい。そして、何と言っても「妻と出会った街」ですから特別な想い入れがあります。」

 

そうなんだ!コンクールの時に出逢ったのでしょうか?あるいは日本人の女性?奥さんも客席にいらっしゃったのかも知れませんね。実はそれが一番のプレッシャーだったりして?(笑)

 

 

 

浜松国際ピアノコンクールの優勝者によるコンサート、非常に楽しめました!3人ともコンクールで優勝しただけでなく、その後も第一線で活躍しているだけのことがある、ものの見事なピアノでした!今後ますますのご活躍を祈っています!