スピーカーは音楽を再生する上での出口。
アナログオーディオの難しいところ、それは組み合わせ。
足りないところを補完する、と言ったケースはあまりなく
むしろ欠点を助長する場合もある。
プレーヤー、アンプの組み合わせ、レコードならカートリッジも含みますが
トータルバランスを取る事が非常に難しい。
ただ、昨今選択肢が限られている事と
昔ほど個性的な音を出すモデルは無いので神経質になるのは無用。
趣味とは準備の段階が一番楽しい、という話をしましたが
車でもなんでも買う前の検討段階が実は一番楽しい。
今回は私がスピーカーを選ぶ過程をお話ししようと思います。
①初代 コーラル X-Ⅲ \30,000(1本)
かつて存在したコーラルのベストセラー、X-Ⅲ
当時のベストセラーコンパクト3ウェイスピーカーで絶賛の嵐でした。
私は結果、コーラルを購入しましたが、最後まで悩みに悩んだ製品があります。
それは
BIG BENの愛称、YAMAHA NS-10M
こちらもベストセラー、レコーディングスタジオでも使われているモニタースピーカー
ビッグベンです。 漆黒のエンクロージャーに眩しいばかりの白いコーン。
どちらを選んでも正解だったと思います。
値段も同じクラス、楽器も製造するヤマハとコーラル。
コーラルは一般の方には馴染が無いメーカーですが、スピーカー自作をするファンには
フォステクスと並んでテクニクス、コーラルと人気が高かったメーカーです。
殆ど究極の選択に近いのですが、ウーファーは双方共に紙パルプコーン。
大きな違いは2ウェイと3ウェイ、ソフトドームとチタンドームの違い。
最も、コーラルX-Ⅲの構成は3ウェイと言うよりは実質2ウェイ+スーパーツイータ。
私の考えは素材の音は音質に影響する、と言う考え方から
ヤマハ採用のシクルドームは艶やかでヴォーカルに適している音色。
コーラル採用のチタンドームは煌びやかで金属楽器の音色との親和性が高い。
どっちを取るのか。
結果、金管楽器やシンバル、ギターの音のリアルさを求めてコーラルに決定。
実はコーラルはバスレフ、ビッグベンは密閉型という方式の違いもあり
より低音を求めるのならコーラルが有利ではあるのですが。
私は10cmフルレンジのコーラルユニットを使った自作スピーカーもあり、
本当の意味での初代は自作スピーカー(密閉型)です。
コーラルX-Ⅲはサイズを超えた実力があり、コスパでは最高と思います。
断捨離で廃品回収に出してしまったことを今でも後悔しています。
②二代目 ボーズ 121ウェストボロー \49,800(2本一組)
ボーズ本社があるマサチューセッツ州ウェストボロ地方に因んで名づけられたシリーズ
1992年11月発売、当時私が勤務していたお店の担当者がボーズジャパンの社長のご子息で
私と一つ違いでとてもウマが合い、仲良くしていて信頼も厚かった。
そんな彼から新商品の情報を得てすぐに注文、初回ロットの初回出荷で手に入れた。
実家で再生し、妹が感動しどうしても欲しいと言うのでそのまま譲って再度発注。
新開発D-222ドライバーユニットはバスケットが樹脂製、コーン紙はパルプに雲母をコート。
エアロバスレフポートの採用で低音も豊か。バーズアイメイプルの仕上げが美しかったが
経年変化で樹脂に印刷されていたものと判明、がっかりしたが音は素晴らしい。
サイドウッドを剥がした状態で使用
衝動買いなのに現在でも使い続けているので愛用して32年、まだまだ元気だ。
ネットオークションでも入手が簡単で、相場も1万円弱とお手頃です。
大きさもほどほど、サラウンド用にもお勧めのスピーカーです。
あと、サラウンド用のリアスピーカーに101イタリアーノ(赤)も所有。
これは後に母に譲渡。
2000年頃に発売された101シリーズ用のバズーカ型サブウーファー \39,800
ボーズ独自のアクースティマス採用のサブウーファー、AM-033。
これはカーオーディオにもリファインモデルがあり、ずいぶんたくさん販売し好評だった。
アクースティマスはダブルバスレフの発展、応用したスピーカーの構造で
スピーカーの振動を共鳴管高価で増幅する考え方から生まれた技術だ。
AM-033には専用のネットワークボックスが付属し、それを介するが
スペック未公開なので、聴感上だが恐らくカットオフ周波数は200Hz辺りで
スロープ(低音を分けたときの周波数角度みたいなもの)はなだらかに設定されている。
地味に効き目が来るタイプでいかにもズンドコ鳴るのではない。
③三代目 トリオ LS800 \65,000(1本)
LS800、A10、CDX-2000
トリオ(ケンウッド)の名作。本当はLS1000が欲しかった。
ずっと憧れていて手が届かなかったスピーカー。 ヤフオクで購入。
トリオのLS800や1000はなかなかヤフオクに出展されない。
ダイヤトーンが人気なのか、YAMAHAと共によく見かける。
出展者も子供部屋捻出のために泣く泣く手放すのだと言う。
私のLS800愛を語ったところ、出展者の方はとても喜んでいた。
NECのA10と組み合わせて鳴らしたら感動した。
私の理想の組み合わせが30年越しにかなった瞬間でもあった。
バスレフ型でポートは背面、高剛性を追求した今ではかなりやりすぎな構造。
実は新素材が大好きで、クロスカーボンやチタン、ボロンドームなどの金属素材
アルミハニカム平板スピーカーも興味がある。
なのに愛用しているスピーカーはパルプコーンのユニット。
やはりスピーカーコーン紙の素材はパルプに戻るのだと思う。
LS800はコルゲート加工(波型の加工)にリブ(放射状の骨)で補強するという
徹底ぶり、もう見た目だけでもイカツイ。
私はカーオーディオを仕事として25年、その間にいろいろな発表会に出席したが
ケンウッドのスピーカー設計技術者ともよく話をしてその技術やアイデアには
非常に素晴らしいと感動したものだ。
パソコンのスピーカー
①初代 ボーズ コンパニオン
どうしても商品ページが見当たらない。ボーズ初のPC用スピーカー。
黒のモデルで当時大ヒット、小さな筐体に似合わない迫力だった。
これも妹へ譲渡。
②二代目 ボーズ MM2 \37,600
ボーズは定価販売、値引きをしない。
なので購入テンポは新宿伊勢丹だった。デパートで購入した唯一のスピーカー。
15年ほど愛用しているが、これ以上のスピーカーは無い。
これだけコンパクトで驚くほどの低音、ぞくっとするほどのリアルな声の再生。
電池駆動に対応したMM3もあるが、最新型のアクティブスピーカーは充電式。
どちらを使うか悩ましい。
所有しているのはこれの初代モデル、ヨドバシ新宿で衝動買いした。
サウンドリンクミニは客船乗務時に活躍した。
音量を上げても全く歪まないので、厨房中に響き渡るほどの音量でも平気だった。
コスパではJBLが良いが、購入当時は選択肢が少なかった。
番外編
私が気になる、欲しくてたまらないスピーカー
①KEF LSXⅡ \198,000
カラーが素敵すぎる、コアキシャル(同軸型、ウーファーとツイーターが同心円状配置)。
コアキシャルは音源が同じ位置という利点から音場が良い傾向がある。
美しい、デザインも音も美しいスピーカー。
②JBL 4305P \264,000
アンプ内蔵のアクティブスピーカーなのにモニタースピーカー。
JBLは音楽を楽しく聴く為に選ぶことは最適解の一つだ。
高性能DAC内蔵、値段は高いが妥協が無い製品。
③ポークオーディオ エリートES15 \46,200
https://jp.polkaudio.com/shop/polkaudio-bookshelfspeakers/es15
正直、ポークオーディオなら予算に会えばどれでも良いのですが
ここは本当に値段以上のパフォーマンスがあるメーカーです。
あまり馴染が無いかもしれませんが、アメリカのメーカーでカーオーディオでも人気。
実績のあるスピーカーメーカーです。
YAMAHAはもう高級路線に行ってしまったし、国内メーカーの選択肢が無いのは
日本のオーディオメーカー衰退を強く感じます。