さて、前回の更新から随分経ってしまいました。

仕事の方がいろんな意味で大変なことになってしまい、プライベートな時間はほとんど取れない状態でした。

それもようやく落ち着いたので、久しぶりにレトロパソコンのメンテを行ないました。

 

お相手はFS-A1Fです。

 

中学校時代のクラスメートがこのモデルを持っていました。

学生時代の私はあまりお金がなくてMSXを買うことができず、本当にうらやましく思っていました。

結局私がMSXを入手したのは社会人になってから数年経った後です。

 

当時の憧れのマシン、という意味で思い入れのある機種です。

 

閑話休題。

 

◇◇◇

 

何はともあれ、まずは割ってみます。

 

○FS-A1Fの中

 

前のオーナーさんはとても丁寧に使っていたようですね。

外側は綺麗ですし、中にもほこり一つありません。

 

○空きパターン

 

お、空きパターンがありますね。

これは埋めるしか(笑

 

○メイン基板の下ごしらえ

 

劣化した部品の交換と、今後の機能強化に備えて下ごしらえをしました。

・メインメモリの増設

 FS-A1FはFS-A1と違って元から128KBまで拡張できるようになってましたので、

 空きパターンに元々載ってるのと同じメモリを載せました。

 確かFS-A1から外したメモリだったかな。

 厳密には全く同じメモリではなく、足したメモリのアクセススピードのほうが少し速いです。

・HYBRIDICにあったチップコンデンサの交換

 お漏らししてるっぽいのでラジアルリードの電解コンデンサに交換しました。

 元々載っていたコンデンサについては後ほど。

・CPUとBIOS-ROMのICソケット化

 詳しくは後ほど。

 

HYBRIDICの基板に光沢がなく半田も鈍色をしていたので、たぶんチップコンデンサがお漏らしをしたんだろうな~、と容量を測ってみました。

 

○HYBRIDICに載っていたコンデンサの容量


上が100uF、下が10uFが表示されたコンデンサの今の容量です。単位がnFですよ…。

完全に抜けてます。


パターンを辿ってみると、三つあったうち二つは電圧安定用でした。こちらは抜けても動作にはほぼ影響ありません。映像信号が不安定になるかもしれない、くらいです。

残り一つは音声信号の直流カット用でした。
入手時の動作確認は映像のみで音声は確認してなかったので推測ですが、たぶん音声がほとんど出ない状態だったと思われます。

下ごしらえは済んだので、次は電源基板です。
こちらも液漏れ跡があったので、コンデンサを交換します。

 

註:電源ユニットの一次側にはACプラグを抜いたあとも100Vを超える直流電圧がかかっています。ここに触って感電すると危険ですので、自分の行動に自分で責任を取れない人は安易に真似をしないでください。直流で感電すると、誇張なしで肌に穴が開きますよ(経験者は語る)


○電源基板コンデンサ交換中


まずは小さいコンデンサを交換しました。

大きいコンデンサは手持ちがないので、この日はここまでです。

 

◇◇◇


○電源基板コンデンサ交換後


大きいコンデンサが届いたのでこちらも交換しました。
元々載っていたコンデンサの品番に合わせて、一次側の大きいコンデンサと二次側のトランス直後のコンデンサ三つは105℃低ESR品、その他は85℃標準品を使ってます。

 

ちなみに2枚ある基板のうち、下側が電源基板、上側はAC100Vの受け口&スイッチとRF/コンポジットビデオ出力の基板になっています。
S信号出力改造のため、上側の基板からはRFユニットを外してあります。

この状態で1時間ほど通電させてエージングを進めたあと、RFユニットがあったところにS端子増設基板を載せて、本体に戻します。

○S端子増設後のFS-A1F


物理的にS端子が載っただけで、まだこの状態ではS信号は出力されません。

次にFDDです。
案の定ベルトが固化して切れています。

純正品はDFWV75C0007またはDFWV75C0009という品番なのですが、既にメーカーにも在庫がない状態です。
幸いDFW75C0009互換品の予備がありましたので、これを使ってFDDを修理します。
この互換品はオクで入手したものですが、我が家のFS-A1WSXで動作実績があるものです。

ですが、ベルトを交換するだけでは直りませんでした。
このドライブでフォーマットしたFDをこのドライブで使う分には読み書き共に問題なくできます。
しかし、このドライブでフォーマットしたFDは別のドライブではアクセスできず、別のドライブでフォーマットしたFDはこのドライブでアクセスできません。

このことから、

・回転数がずれている

・ヘッドのアライメントがずれている

以上のいずれかが原因だと思われます。


○FDDの回転数チェック


まずはオシロでFDDの回転数が規定どおりになっているか確認しました。

FDDにはINDEXという信号があり、ディスクが1回転するたびにパルスが出てきます。

2DDのFDDの回転数は300rpmですので、1秒間に5回、200msごとにパルスが出てくるはずですが、オシロで見る限り規定どおり200msごとにパルスが出てきています。

規定の回転数が出ているので、ベルトには問題なさそうです。

 

となるとヘッドのアライメントが狂っているのでしょう。

こうなると私には手のつけようがないので、別の手段を考えます。

 

他にもいろいろ機能強化をするための基板のパターン設計をして基板の製造を発注し、この日の作業はこれでおしまいです。


◇◇◇


1週間ほどして、発注した基板が届きました。

○FS-A1F機能強化基板


まずはFDDの修理です。

 

○FDD換装基板

 

PC/AT互換機用のFDDをFS-A1Fで使えるようにするための基板です。

(FS-A1FX/WX/WSXではこの基板は使えません)

 

PC/AT互換機用のFDDの端子は34ピン、FS-A1FのFDDの端子は26ピンとなっていて、そのままでは使えないので、ピンアサインの変更を行なっています。

 

またMSXのFDDにはREADY信号というPC/AT互換機では使っていない信号があります。

PC/AT互換機用のFDDも大抵はREADY信号を用意していないので、FDDの信号からREADY信号を作る回路も載せています。

この回路は「K-ichi's memo」というサイトにあるこちらの記事の回路図を参考にさせていただきました。

 

いくつかの部品が省けそうだったので写真の基板では載っていない部品がありますが、試行錯誤の結果、NPNトランジスタの代わりにMOSFETを使っていることを除いてほぼそのままになりました。

 

・本体側でプルアップしているからプルアップ抵抗はいらないでしょ

・4538BのQ~端子でREADY信号を直接ドライブしても大丈夫でしょ

とか考えて部品を省いてみたんですが、だめでした。

一見冗長に見えてもちゃんとそこには理由があるわけで。

先達の経験は生かさないといけませんねf (^^;;

 

○FDD換装後

 

FDD換装後のFS-A1Fです。

これでFDDはおーけー。次の基板です。

 

○機能強化基板部品実装前

 

今回のメイン。

機能強化のほとんどを担う基板です。

内蔵ソフトの無効化、FM音源追加、S信号の増幅をこの1枚で担当しています。

 

さくさくと部品を載せていきます。

 

○機能強化基板部品実装後

 

部品を載せ終わりました。

CPUとBIOS-ROMがあった場所のICソケットに挿して使います。

あとはCPUとBIOS-ROM、FM音源とpFM-BIOSのROMを載せてメイン基板に取り付ければ良いんですが、その前に。

 

ここ数日、電源を入れても映像が出ないことがありましたので、そちらの修理です。

 

映像信号はHYBRIDIC基板で作られています。

既に乾いていましたが、前述のようにHYBRIDIC基板はチップコンデンサから漏れた電解液にまみれていましたので、どこかで導通不良が起きているのでしょう。

 

パターンを一つ一つ追っていったところ、いくつかのことがわかりました。

・VDPからのRGB信号からコンポジットビデオ信号を作っているのはCXA1145M

 この頃のゲーム機では定番の石です。

 ちなみにFS-A1とFS5500ではROHMのBA7230という石が使われていました。

・VDPから出ている混合同期信号のインピーダンス整合、音声信号のミキシング、CMTの信号入出力の処理を4069UBで行なっている

・音声出力のミュート処理やCMTのリレーのドライブもこの基板で行なっている

なんだかいろいろと多機能な基板です。

まだいくつかわからない回路/端子があるけど、せっかく解析したので後で回路図を起こしておこうかな。もしかしたら将来互換基板が必要になるかもしれないし。

 

さておき。

現象からおそらく同期信号がうまく伝わっていないようなので、それに関係するパターン/部品を辿っていったところ原因がわかりました。

 

○非導通箇所

 

赤丸のところの導通が不安定になっていました。

VDPからの同期信号のインピーダンスが高くてそのままではCXA1145に直接つなげないので、インピーダンス変換するトランジスタです。

マーキングからするとたぶん2SA1037AKではないかと思われ。

トランジスタだけだと極性が反転してしまうので、4069UBで極性を再反転しています。

 

問題の部分はエミッタの脚で、電源に繋がっています。

ここは100uFのコンデンサからも近いので、漏れた電解液を相当量被ったと思われます。

電源との接続ができていなければ、信号も出なくなるでしょう。納得です。

 

ついでにCXA1145と4069UBの脚、100μFのコンデンサに近いチップ抵抗も再ハンダして修理完了です。

 

さて、ようやく主役の基板の装着です。

 

○機能強化基板実装後

 

載せました。

HYBRIDICの基板からS信号を引っ張り出して機能強化基板上のアンプ兼75Ωドライバで増幅、先のS端子基板につなぎます。

S端子基板からは内蔵ソフト有効/無効切替信号をもらって機能強化基板につなぎます。

FM音源の音声出力をHYBRIDICの音声ミキサの入力に繋いだら、最後にメイン基板上のS1985からスロット選択信号をもらって、おしまいです。

 

FS-A1Fのマニュアルがないので内蔵ソフトのスロットがわからなかったのですが、FS-A1WSXのスロットマップと同じだろう、とスロット3-3を殺したら大当たりでした。

 

FM音源を使えるようにpFM-BIOSのROMにスロット番号を割り当てないといけませんが、それは内蔵ソフトを無効化して空いたスロット3-3を使うことにしました。

内蔵ソフトを無効化するとpFM-BIOSが有効になり、内蔵ソフトを有効化するとpFM-BIOSが無効になるようにしてあります。

こうすることでFM音源の有効化/無効化も行なえるので、ゼビウスのようにFM音源とPSG音源で曲が違うソフトも1台で両方聞くことができるというメリットがあります。

 

ちなみに内蔵ソフトとpFM-BIOSの切替はORゲートとNOTゲートで組みました。

基本のロジックゲートを組み合わせて、目的のロジックを組んだのは何十年ぶりでしょう(苦笑

 

○FDD換装&機能強化完了後のFS-A1F

 

これがFDD換装と機能強化が完了したFS-A1Fです。

最初は黒い筐体に白いFDDというのに違和感を感じていたんですが、ここ数日付き合っているうちにこれはこれでありか、と思うようになりました(苦笑

ベルトレスドライブなので今後はベルトの寿命を気にしなくても済みます。

 

【10/28追記】

その後、オリジナルのFDDでフォーマットしたFDを調べたところ、ちょうど1シリンダ分外周にヘッドがずれていることがわかりました。

ですがヘッド位置の調整はかなり難しい作業です。どうしようかな…。

【10/28追記終わり】

 

【12/30追記】

READY信号対応でフロントマスクが黒いFDDが手に入ったので、交換しました。

記事はこちら

【12/30追記終わり】

 

【'19/05/24追記】

機能強化基板を作り直しました。記事はこちら

【'19/05/24追記終わり】

 

以下、個人的備忘録

基板設計データその他はFS-A1F機能強化.LZH