【設例】 40代・FP資格を持つ男性です。
2025年は、AI元年のような年でした。
米国株式市場も期待感からAI関連銘柄が急騰するなどの現象がみられました。
これからAIが進化し、FPの仕事もAIに取って代わられるのでしょうか。
【回答】 ご質問にお答えします。
結論から言うと、仕事の一部は、AIに取って代わられる可能性が高いと思います。
例えば、複数ある保険商品のうち、年齢ごとに一番保険料の安いものを抽出するとか、各社の住宅ローンのうち、金利タイプごとに一番金利の低いものを提示するなどは、AIが得意とするところです。
もっともGoogle検索が登場した時代から一部はすでに取って代わられている、ともいえるのですが、AIなら瞬時にわかりやすく比較提示できるようになるはずです。
ただ、AIが得意とするのは、瞬時に計算するとか、瞬時に比較するなどの作業なので、人間との役割分担は残ると思います。
例えば、車の自動運転も技術開発は進んでいますが、今のところ人間の介入をゼロにはできていません。
航空機も同じでイレギュラーな状況に対応できないためです。
FP分野でも、例えば住宅の購入or賃貸など、個別の状況や考え方で判断が分かれる内容については、人間のFPが空気を読み、想像力を働かせながら意思決定の支援をする必要が残るのではないでしょうか。
では何を基準に判断するのかというと、個別のライフプランです。
ライフプランとは、主にお金の面から見た人生設計のことです、といつも説明していますが、ライフプランに“一般的な”答えはありません。
私自身、FPとして個別具体的な数字によるプラン作成をたくさんお手伝いしてきましたが、AさんとBさんのライフプランは、ほぼ同じだったというようなことは全くなく、本当に千差万別で家族構成はもちろん、興味の方向性や将来予想、お金の使い方など、本当に人それぞれだなと日々感じています。
ここまで説明した通り、仕事の一部は、AIに取って代わられると予想される一方、資料作りなどでAIを有効活用しているFPは多いようです。
一人で活動しているFPが多いので、調べものや本業以外の雑務をAIが代行してくれるのは、むしろ歓迎すべきことです。
また、顧客側のAI利用も進んでいます。
少し驚きましたが、2025年は、新規のご相談者の中にFP事務所での相談をAIから勧められたとおっしゃる方が実際にいらっしゃいました。
AIに全てをコントロールされるのは、ある意味怖い世界ですが、提供する商品やサービスがAIから評価されないと、生き残りにくい時代がくるのかもしれません。
資産運用に関しては、AIを活用したロボアドバイザー(ロボアド)も今後普及していくと思います。
例えば、英国では「アドバイスギャップ」といって多くの人がプロのアドバイスを受けられず、十分な金融リテラシーを持てないまま放置されることが課題といわれています。
もちろん日本の課題でもあるのですが、英国では、一定以上の金融資産の保有がないと、費用対効果の関係で金融アドバイザーの利用につながらない状況があるとのこと。
そこでアドバイスギャップを埋める一つの解決策として、対話型ロボアドの活用などが考えられているようです。
ロボアドは、一般的な事例にあてはめて何か提案するのは得意ですし、利用者が増えればコストの低減にもつながるはずです。
ただし、やはり人間にしかできない部分は残ります。
資産運用の成否を決める要素の半分以上は、知識ではなく、実は「感情のコントロール」と個人的には考えているのですが、感情が絡むと、途端にAIは不得意になります。
人により異なる感情の変化を理解しながら資産運用のアドバイスを行うのは、今のところAIには難しいと思われます。
そもそもAI自体には喜怒哀楽の感情がありませんので、資産運用が上手くいっても、一緒に喜び合うことはできません。
なので、人間に相談したい人とロボット(AI)に相談したい人で2極化するのではないかと予想しています。
注文住宅のような手作り感のあるプランを希望される方向けとして、FP相談サービスは、存在価値を増していくのではないでしょうか。
まとめますと、FPの仕事のうちAIに取って代わられる部分は確実にあるが、人間にしかできない部分も必ず残り、その残る部分を人間のFPが担当していくのではないか、と現時点では予想しています。
【設例】 50代・女性、会社員です。
子どもがいますが既に自立しています。
最近、子育て支援に関するニュースをよく見ますが、児童手当に2万円を上乗せする話が出たと思ったら、高校生扶養控除を縮小する案も一時浮上して消えるなど混乱気味になっています。
今後、子育て支援策はどのようになるのでしょうか。
またそれで、どのような社会に向かうと思われますか?
【回答】 ご質問にお答えします。
以前に政府が打ち出した「異次元の少子化対策」の流れで給付金など子育て支援の充実化が検討されています。
ここで思いつく限りの子育て支援策を挙げてみます。
出産無償化
育休・時短勤務の給付金
児童手当
子どもの医療費助成
フラット35の金利優遇
子ども向けNISAの創設
幼保無償化
給食無償化
高校無償化
大学無償化...
上記は、今現在見直しが検討されているものも含みます。
ちなみに無償化と書きましたが、実際には細かな要件があり、すべての費用が無償化されるわけではありません。
また自治体ごとに差がある模様です。
例えば、多摩川格差といって、川崎市と東京都で大きな差があるとの指摘もあります。
東京都には、018サポートと呼ばれる月5千円の独自の支援もあります。
複雑なうえ制度の変更も多いので、実際に今恩恵を受けているご家庭以外は、詳細がわかりづらいのが実情です。
そんな中でやはり気になるのは、大学まで進学するのが当たり前の社会になりつつあることです。
進学に関するデータの推移を見ると、昭和の時代は、中学か高校の卒業後に就職する人がむしろ多数派だったのですが、今は、大学や短大、専門学校に進学する18歳が8割程度を占めています。
つまり昔は15歳頃までが親の責任だったのが、今は20歳頃までに変わりつつあるわけです。
あえて金銭面だけで考えると、子育て期間が15年か20年かの差は大きいです。
仮に授業料が無償化されたとしても、食費・被服費、住宅の個室等は親が確保しなければなりません。
他にも例えば、塾、部活、校外活動費、小遣い、スマホ代等が親の負担です。
政府や自治体からさまざまな支援があっても、子どもは無理だな、とあきらめてしまうご家庭もあるかと推察します。
また公的な支援は、政権交代などで突然はしごを外される可能性もあり、依存しにくいと考える人もいると思います。
ではどうなると、子だくさんの時代に戻れるのかです。
個人的には、親の責任は15歳までという認識が復活すれば、子育ては楽になるのではないか、と考えています。
実は私自身、中学生の頃に料理人を目指して専門学校のようなところに進むのはどうかな、とまじめに母に相談したところ、即却下された経験があります。
もし違う世界線が存在して15歳から料理人を目指して今お店を持っている自分がいたとしても、特に後悔はなかったと思います。
もちろん、ご家庭ごとの方針があるので、考え方の強制はできません。
例えば、経済的にゆとりのあるご家庭や大卒でないと就けない職業を目指す子は、大学までいくとよいと思います。
ただその子の個性に合わせた色々な進路があってもよいのでは?と個人的には思います。
いろいろと書きましたが、親の責任は15歳までの時代に戻ることは難しいかもと、正直思います。
ただ逆に言うと、親の責任は15歳までと開き直ることができれば、子育ての金銭面のハードルは下がっているということです。
例えば20年前なら上に列挙した支援策は、存在しないか、今ほど充実していませんでしたから。
社会全体としては、少子化が進むと、人口構成の変化で社会保険料を追加で徴収することが難しくなると思います。
すでに今現在でも税金と社会保険料を合わせた国民負担率は、46.2%(令和7年度の見通し)と公表されており、江戸時代の「五公五民か」と揶揄されています。
そこからさらに社会保険料を徴収しようとすると、江戸時代なら一揆や打ちこわしが起きる水準かもしれません。
つまり、手厚い社会保障制度を維持するのが難しい時代に入りつつあるわけです。
特に今40代・50代くらいの年齢層の人は、公的年金の実質的な目減りが避けられないとみています。
とはいえ、今から悲観的になっても仕方がありません。
しっかりと身構えて、自助努力で長く働くか、資産形成を進めるか、どちらかの対策プランを立てておくことをおすすめします。
【設例】 50代の夫婦です。
家計について安心して相談できる先を探しています。
これまで独立FPという言葉は知りませんでした。
どんな業界なのか教えていただけますか。
【回答】 ご質問にお答えします。
実は私自身、独立FPとして、おかげさまで今年で20周年を迎えました。
独立FPとか、独立系FPと呼ばれる人たちは、金融機関との雇用関係がない、フリーの立場で活動するFPを指すことが多いです。
一方、金融機関に所属して営業活動を行うFPは、FP資格者の間では、企業系FPと呼ばれています。
仮に日本FP協会に資格登録をしているFPであれば、どちらも同じ資格試験をパスしています。
継続研修も必須なので知識量などに大きな差はありませんが、異なるのは置かれている立場です。
企業系FPの場合は、会社の利益に貢献するため、どちらかというと金融営業、保険営業の色合いが強くなります。
一方、独立FPは、相談業、講師業、執筆業のいずれか、または全部を主体とすることが多いです。
独立FPの相談業務について、基本的に営業ノルマはありません。
そのため、相談者の側に立ったアドバイスが実現しやすいというわけです。
(補足:ただし、そのFPが他の事業者と提携しているなど、さまざまなケースがあるため、営業ノルマの部分は相談先のFPに要確認です)
また、独立FPには人気商売の側面があります。
職業的なポジションは、実は、お笑い芸人に似ているかもと昔からずっと思っていました。
お笑い芸人も独立FPもサラリーマンではなく、いずれも個人事業主ですが、笑いやお金のセンスだけで食べていくのは、なかなかたいへんです。
独立FPはフリーだけど、プアーだよね、と揶揄されたりします。
それでもセンスに自信のある人は、それで生計を立てたいと思うわけです。
笑いのセンスを数量的に評価するのは難しいですが、お金のセンスも同じです。
評価は、同じ業界の人でも難しいかもしれません。
とはいえ私自身、たとえば、FPが集まる会合などで話を聞いていると、この人はお金のセンスがあるなと感じることがあります。
そしてセンスのある人は、後から収入も付いてくる傾向があると思います。
ちなみに独立FP業界は、全国的にみても人数がとても少ないです。
そのためテレビや新聞、雑誌などのメディアで活躍しているようなFPとも意外とお互い知り合いだったりします。
そこも共通点で、芸人仲間みたいな感じですね。
また売れっ子FPになると、相談の依頼がどんどん増えてきて、受けきれなくなることもあるようです。
相談を受けきれなくなると、次のような選択が出てきます。
1)何か月も待たせる、2)他のFPを紹介する、3)予め対象者を限定する、4)スタッフを雇って任せる
4番目について、FPは税理士や社労士のような士業と異なり、事務代行の業務はありませんので、そのスタッフにも相談業務の一部をお願いすることになります。
主にそのFPの個性が生きる仕事なので、スタッフが担当した場合の再現性で苦労するケースがあるようです。
最後に、個別相談の募集はどのようにしているのかです。
いろいろなパターンがありますが、自社HPやFPの紹介サイト(例:日本FP協会のCFP検索)などから相談申込を受けるケースが多いようです。
多額の広告費をかけた派手な宣伝はできないので、非常に地味です。ネットでよく調べてもらい発見してもらう感じです。
インターネットが存在しない時代であったら、成り立ちにくい営業スタイルかもしれません。
他には、ありがたいことにサービスに満足してくれた相談者の方からのご紹介もあります。
金融営業の場合は、どちらかというと商品の成約を目指すのが仕事ですが、独立FPが提供するのは、あくまで相談(アドバイス)です。
アドバイスの品質を高めて、アドバイスそのものに満足してもらうことを目指しています。
ご参考として日本FP協会が作成した動画をみつけたのでご紹介します。
→相談会の様子
実際のアドバイス内容は、もちろんFPごとに異なりますが、個別相談の雰囲気がよく再現されていると思いました。
もし年末年始に時間が取れるようであれば、その間に家計の状況を整理し、年明け後などに個別相談を申し込んでみるのもよいかもしれません。