森本FP事務所のQ&Aブログ

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資産運用・家計・ライフプランの疑問・質問にお答えしています。

【設例】 40代後半の会社員です。
以前から話のあった給付付き税額控除は、これから本格的に議論されるとのこと。
具体的にどのような案があるのでしょうか。

【回答】 ご質問にお答えします。
給付付き税額控除は「国民会議」で制度設計が議論されることになりましたが、今のところ政府から素案などは出ておらず、白紙状態のようです。

ただネット上では、記事や動画などで色々と議論が交わされており、ひょっとすると、それも含めて「国民会議」なのかもしれません。

ネット世論の動向も見ながら、方向性が決められていく可能性もあると思います。

では、現段階でどのような案が出ているのかです。

私が見た中では、国民民主党が「社会保険料還付付き住民税控除」という案を提唱しているようでした。

ややなじみにくい呼称ですが、この案の要点をまとめると、下記の3つになると思います。

1.実際にその人が支払った社会保険料が還付の上限になる
2.現役世代の負担軽減を目的とするため、勤労者世帯が対象の中心になる
3.減税or還付額は、保有資産額に関係なく、年間最大6万円程度になる見込み

※ここでいう還付は給付と同じ意味です

この案の個人的感想ですが

まず1.は、不正受給を予防する観点から妥当で良い案と思いました。

2.は、仮に勤労者世帯のみ(個人事業主を含む)を対象とする場合は、公的年金や生活保護の受給世帯に支援が届かなくなることが課題です。

ただ、それらの世帯は、すでに税金から一部または全部の給付を受けているため、生活の困窮度合いなどをみて必要があれば、別途、税金の投入額で調整できます。

この案は、今までケアされてこなかった勤労者かつ、中低所得の世帯に対象を絞ることで、わかりやすくなると思います。

ちなみに、ここでいう中低所得とは、ざっくりとした数字でいうと年収500万円以下のイメージです。

実は日本は、この層の人たちが、諸外国に比べて税・社保の負担が重い構造にあるとのデータもあります。

3.の保有資産額を把握しない点は、制度の簡素化を図る意味で有効です。

行政が個人ごとの保有資産額を正確に把握するのは、ものすごくハードルが高いからです。

一方、個人ごとの勤労所得は、基本的にお住まいの市区町村がすでに把握しています。

毎年の所得を把握したうえで、市区町村が住民税の通知書を作成し、勤務先か自宅のどちらかに送っています。

要するに、保有資産額のチェックはせず、所得と社会保険料の情報のみで、市区町村がプッシュ型で減税or還付(給付)を行うということです。

あと、3.で一番気になるのが、年間最大6万円程度の部分かと思います。

この計算は、国民民主党の手取を増やす政策で住民税の控除額を引き上げることを前提に、その引上げ幅に住民税の税率(10%)を掛けると、6万円程度になる、という意味のようです。

ただ計算方法が直感的にわかりにくく、どの所得層も6万円程度だと、評判があまり芳しくなかった一律4万円の定額減税(2024年に実施)と似た形になってしまうかもしれません。

年間6万円程度だと、高所得者の方は、そもそもの住民税額が大きいため、気づきにくい額ですし、逆に中低所得者の方にとっては、生活支援として、もの足りない額かと思います。

本来は所得に応じて、きめ細かく減税or還付(給付)額を調整できた方がよさそうです。

なので、たとえば年収500万円くらいまでの世帯は、6万円ではなく15万円程度にして、年収500万円を超えるあたりから、ゆるやかに減少し最終的に1万円程度になる、といったメリハリのある制度設計がよいのでは、と個人的には思います。

まとめますと、今回検討されている給付付き税額控除は、就職氷河期世代など、今までスポットライトがあたらなかった現役世代の人たちに恩恵が生まれる制度になりそう、ということです。

「国民会議」は、ネットの声も参考にしている可能性があるため、興味があれば、SNSなどに意見を書き込んでみるのもよいかもしれません。

 

【設例】 30代・男性。昇給があり収入も増えてきたので、資産運用を考え始めています。
運用商品の選び方などで気を付けるべき点があれば教えてください。

【回答】 ご質問にお答えします。
運用商品の選び方などで気を付けるべき点を3つ考えてみました。

1.派手な宣伝
運用商品の広告宣伝は、特設サイトやパンフレットの作成程度なら十分許容されますが、たとえば芸能人や著名人を起用した大規模な広告などは、必然的にユーザーのリスクかコストに反映されます。

昔、あるベテランFPの方が、雑談の中で派手に宣伝している運用商品は、ほとんど良い結果になっていない気がすると話していたことがあり、とても印象に残っています。

私個人も本当に良い投資は、鳴り物入りで登場したりせず、ひっそりと静かに存在していたものが多いと感じます。

多額の広告費は、TV局や広告代理店などにお金が流れるだけで、運用サービスそのものに費用が充当されるわけではありません。

運用商品のコストは、本来は有望な投資対象をみつけるための調査費用とか、投資家向けの有益な情報提供、適切なアドバイスを顧客に提供するための費用などに充ててほしいところです。

派手な宣伝は、消費者目線だと、たくさん広告が出ていて信用できそう、となりますが、投資家目線だと、広告費が事業の規模に本当に見合っているのかです。

これから本格的に資産運用に取り組むのであれば、ぜひ後者の投資家目線を持つことをおすすめします。

2.断定調
特定の選択肢のみを強くお勧めする案内には、注意が必要です。

長所短所の両面を公平に説明できるのが、本当に良いアドバイスと思います。

たとえば公共放送のNHKが制作する報道番組を見ていると、そのテーマの長所短所の両面を紹介していると気づくことがありますし、大手の新聞社も意見が分かれる内容は、両論併記を心掛けているようです。

その意味でいうと、最近人気の米国株投信や全世界株投信も長所だけではないので、注意が必要です。

まず第一に、右肩上がりの様子だけを見て、投資判断をしていないか。

価格変動リスクなど、基本事項の確認が大切です。

実際、株価の暴落につながるような金融危機は、過去に何度も起こっています。

2020年のコロナショック時は、比較的短い期間で株価は反転上昇しましたが、2008年のリーマンショック時は、株価が50%程度下落し、回復まで5~6年程度を要しています。

リーマンショックは、1929年の世界恐慌と比較されたのをよく覚えています。

このような長所短所両面の事実確認も大切です。

3.情報不足
投資の可否を判断するための情報が不足しているケースがあります。

私が経験した中では、どういう投資スキームなのか、実態が不明ながら、謎に右肩上がりのチャートの運用商品を見たことがあります。

ただ、その商品は、ある段階で監督官庁から疑義が出て、強制終了のような形で償還(お金が戻る)となりました。

セキュリティ面では、監督官庁を確認することも大事です。

運用商品のほとんどは、金融庁が監督していますが、一部に例外もあります。

監督官庁に登録された事業者が扱う商品であれば、投資判断をする上で必要な情報は法令で開示されることが一般的です。

また、どんな投資にもリスクは必ず存在します。
 
フリーランチ(タダ飯)はない、という言葉を常に頭の片隅に入れておくことが大事です。

作り込まれたWEBサイト、パンフレットなどで一見するとリスクなし、あるいはリスクがわずかのように見えることもあります。

経済関連の著書がたくさんある専門家でも、リスクの存在を見抜けなかったケースが実際にあります。

どこにリスクがあるのかを見極める。

そのためには、情報が必要です。

・・・

上に書いた3つの注意点は、該当すれば絶対に上手くいかない、という意味ではなく、経験上、落とし穴が隠されていることが多いと感じるポイントです。

該当すると思ったら、いったん立ち止まり、ネットも使って、いろいろな角度から調べてみることをおすすめします。

ただ、難しいのは、通常のGoogle検索だと結局、広告を含む記事、事実誤認や偏りのある記事などにもたどりついてしまうことです。

AIモードは、瞬時に概要がわかるので、とても役立ちますが、AIの回答が間違っている場合もあるため、注意書きで、金融の専門家に相談することを促す仕様になっているようです。

実際の投資の可否判断は、情報の裏取りや経験にもとづく深読みが必要で、さらに個人ごとの事情や考え方、心理的なリスク許容度なども複雑に絡みます。

そのため、ご自身の金融リテラシー(お金についての読み書き能力)を高めないと、本当に納得できる答えにはたどりつきにくいかもしれません。

とはいえ本業が忙しいと、お金の勉強をする時間は限られてくるのも実情かと思います。

趣味や余暇を楽しむ時間も当然必要です。

なのでもし多少の費用を負担できる状況なら、信頼の取れるFPなどのアドバイザーのサポートを受けるのも一つの選択です。

その場合も、アドバイザーの言いなりでは意味がありませんが、知識や経験を共有できるため、時間の節約になるはずです。

お金に強くなることは、人生に強くなることでもあります。

なおFPが提供するアドバイスも、広い意味では資産運用関連サービスです。

FPを探す、あるいはアドバイスを受ける際も上にあげた3つの注意点は、ある程度まで参考になると思います。

 

【設例】 税金の勉強をしている20代・男性です。
税金の種類には、所得税、法人税、相続税、消費税などがありますが、ネット上では消費税減税を求める声が一番大きいようです。なぜでしょうか。

【回答】 ご質問にお答えします。
消費税減税を求める声が一番大きいのは、おそらく一般庶民の家計にきびしい税金だからだと思います。

例えば、少ない年金収入でかつかつの生活をしている人、シングルマザーとか借金などで生活が苦しい人、自然災害で被災した人なども消費税を払わなければいけません。

小学生がお小遣いでお菓子を買う時も払います。

これに最近の物価高も拍車をかけます。

例えば、これまで1000円で買えていた衣料品が2000円に値上がりすれば、消費税も100円から200円にアップします。

また中小零細企業にも負担感のある税金です。

その会社が下請けの立場だったりすると、値下げ要求を受けたりして、物価高でも消費税分をきちんと価格転嫁できないケースが少なくないと想像します。

消費者が相手の、例えばラーメン屋さんでも、お客さんが来なさそうなら、1000円+税100円ではなく、税込1000円とせざるを得ない場合もあると思います。

必ずしも消費税分について顧客の納得を得られるわけではないため、実質は、売上税であるとの指摘もあります。

人件費を含む経費を引いて赤字のお店でも、消費税(売上税)だけはおさめなければなりません。

また、インボイス制度の導入で例えば、イラストレーターの仕事で年収200万円のような人でも消費税の免税がなくなり、簡易課税を選ぶ場合でも少ない手取から9万円程度の消費税をおさめなければなりません(2割特例は考慮せず)。

物価高による生活コスト上昇もかさなり、日本文化の担い手のような人でも、もうやめるしかない、と追い込まれているケースがあるのではないかと推察します。

なお、自動車など海外に輸出される物品には、輸出免税といって消費税がかかりません。

一方、仕入れ税額控除といって、輸出企業は仕入れ先に支払った消費税の控除(還付)は受けられます。

そもそも消費税は、最終的に国内の消費者が負担する前提なので、日本を代表する大企業であっても、消費税は負担してもらえません。

ちなみに、ネット上には消費税は維持し、現役世代の社会保険料を軽減すべきとする意見もあるようです。

確かに消費税は、資産生活者や、外国人旅行者の国内消費でも負担してもらえるため、その意見にも一理あります。

ただ社会保険料は、労使折半なので、財務力のある大企業にも半分負担してもらえるメリットはあります。

また、あくまで保険なので保険機能により将来受取れるお金もあります。

本当に困窮している生活者を救うという意味では、やはり消費税減税なのだと思います。

とはいえ消費税は、財務省としては、どうしても下げたくないようで、3%→5%→8%→10%と推移し、過去に一度も税率が下がったことはありません。

そこで、限られた予算で家計を助ける制度として今考えられているのが「給付付き税額控除」です。

中・低所得者かつ、金融資産が少なめの人を抽出し、その家庭が支払った消費税分を給付金で戻す意図を含めて検討されており、個人的にもわるくない仕組みと思います。

そもそも家計の金融資産は、国全体で2286兆円(昨年9月時点)もあり、赤ちゃんからお年寄りまで国民一人当たりの平均値で約1800万円です。

水の流れのように潤沢なところから、枯渇気味のところに自然な形で戻すことができれば、お金で困る人は少なくなる理屈です。

とはいえ、その家庭が支払った消費税分をまるまる戻すほどの給付は難しい可能性もあります。

その意味では、これ以上の消費税率アップがないよう要望をあげ続けるのは大事かもしれません。

意思表示できる手段のひとつが選挙なので、10代、20代など若い人は特に、選挙にいった方がよいと思います。

投票率は年代ごとの集計もあるので、どの党に入れるかはともかく、少なくとも投票所に足を運ばないと、その年代向けの政策が軽視されがちになります。

大人任せにしているうちに、重要なことがどんどん決められてしまい、気付いた時にはぐうのねもでない状態になっているかもしれません。

まとめますと消費税は、将来の家計にとても影響のある税金です。

また、多段階累積控除といって意外と複雑な税制なので、深掘りして調べたり考えたりするのは、とてもよいことと思います。