【設例】 東京都在住40代自営業。家族は妻と子供1人です。
おかげ様で仕事は順調で、家計にも少し余裕が出てきました。
国の社会保障制度は、あまり当てにできなさそうなので、そろそろ自分でiDeCoに加入しようと思っています。
ところでiDeCoは、どこか新しい制度の響きがありますが、昔からあったのでしょうか。
【回答】 ご質問にお答えします。
iDeCoは昔からありました。2002年からです。
ただ、iDeCo(イデコ)と愛称が付いたのは、2016年です。
正式名称は、昔も今も「個人型確定拠出年金」です。
ちなみに自営業者(第1号)のiDeCo加入者は、2016年12月末の約7.7万人から2026年3月末の約40万人と約5倍に増えています。
その間、制度全体としては対象者の拡大などがありましたが、自営業者向けとしては、2016年から大きな変更はありません。
なので、単純に認知度が上がったのだと思います。
「個人型確定拠出年金」というお堅い名称も普及を阻む一因だったのかもしれません。
1.まず、名称が長い
どこで聞いた知識か忘れてしまいましたが、人間の脳は構造として、人の顔はほぼ無限に覚えられるが、人の名前を覚えるのは限界があるそうです。
実際、フルネームで人の名前を覚えるのは、意外と難しく、苗字だけしか思い出せないことも多いです。
芸能人でも覚えやすさを意識し、あえて下の名前だけで活動している人もいます。
それと同じで「個人型確定拠出年金」という言葉は、よほどの関心がないと、覚えにくいですが、iDeCo(イデコ)と短くすることで認知度を高められたのかもしれません。
2.専門用語が含まれている
「確定拠出」と「確定給付」の概念の違い、「企業型」と「個人型」の2種類あることなどを考慮すると、「個人型確定拠出年金」が正確な表現です。
ただ、専門知識がないと、やや馴染みにくく、一般の方には、なにやら難しい、自分には関係のない制度と認識されていた可能性もあります。
3.既にある知識と関連付けられない
人の名前を覚えるのに、たとえば有名人と同じ苗字だったりすると、関連付けて覚えられることがあります。
それと同じでiDeCoの名称は、既に2014年から導入されていたNISA(少額投資非課税制度)と関連付けて覚えやすかったのではないかと思います。
「個人型確定拠出年金」だと、どんな性質のものかイメージしづらいですが、既にNISAを知っている人であれば、性質が似たものとしてセットで覚えられる効果があったと思います。
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他にも、お堅い名称として思いつくのは、今政府が導入を検討している「給付付き税額控除」です。
個人的には、きちんと整備した方がよい仕組みと考えていますが、上記と同じ理由で、世間一般には言葉の意味が浸透していないようです。
特に「負の所得税」の概念がわかりにくいです。
また「税額控除」と「所得控除」の違いなど、専門家でなければ馴染みが薄いマニアックな論点もあります。
なので個人的には、いっそのこと「ベーシックインカム」と表現すれば良いのではと思っています。
というのも、日本では「ベーシックインカム」の導入は困難だが、「給付付き税額控除」なら実現できるかもしれない、と昔から言われていた仕組みだからです。
報道されている通り、税額控除なしの「給付一本化」でまとまるのであれば、言葉の違和感もありません。
いずれにしても、ネーミングはすごく大事です。
たとえば東京都の「018サポート」も、ネーミングで上手く浸透した事例と思います。
また世の中には「独身税」とか「NISA貧乏」のように、伝わりやすさを意識して、短く表現できるネーミングの達人がいらっしゃるようです。
「給付付き税額控除」もiDeCoと同様、ネーミングの達人を探して依頼するとか、名称を公募するとか、何らかの工夫が必要になるのかもしれません。