大増税時代の家計防衛術とは | 森本FP事務所のQ&Aブログ

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資産運用・保険・住宅ローンの疑問・質問にお答えしています。

【設例】 45歳会社員、妻と子1人を扶養しています。
定額減税で一人あたり4万円の減税があると聞きました。
ただ最近は、物価の高騰で出ていく方も増えています。
トータルで見ると、実質増税のようにも感じます。
今後、暮らしや家計をどう守っていけばよいでしょうか。
何かアイデアがあれば、教えていただけると幸いです。

【回答】 ご質問にお答えします。
仰る通り、近頃は、物価が高騰しており、定額減税が実施されても家計の改善効果はあまり実感できないかもしれません。

仮に世帯で12万円の減税を受けても、1年間で考えると、1か月あたり1万円なので、光熱費や食費、外食費などの値上がりで消えてしまいそうです。

しかも定額減税は、毎年ではなく1回限りの実施となる模様です。

また、物価の高騰に対して、賃金の上昇が追いついていないため、国の統計で実質賃金は25か月連続のマイナスとなっています。

約10年前から日銀が物価目標2%と定めて金融緩和政策を進め、その間、国債をたくさん発行し、政府が使えるお金も増えましたので、物価の上昇は、ある意味、実質的な増税と捉えても間違いではないかもしれません。

他にも、インボイス制度の導入や健康保険料に子ども・子育て支援金の上乗せなど、見えにくい形の実質的な増税もあります。

いわゆるステルス増税です。

では、このような大増税の流れの中で暮らしや家計をどう守っていけばよいかです。

まず1つ目は、金融資産の一部を外貨で運用するという視点があります。

物価の上昇は、円安傾向も少なからず影響しています。

仮にさらに円安が進んだ場合に備えて、金融資産を外貨に分散させる対策です。

もちろん為替リスクについての理解は必須ですが、円と米ドル等の外貨には、金利差があります。

外貨運用の利回りの高さに着目することがポイントになると思います。

ただし、外貨運用は、余裕資金を長期の視点で運用することが前提になります。

そんな余裕資金はないよという場合は、2つ目の家計の見直しをおすすめします。

最初のステップは、家計全体の状況把握です。

仮に資金管理口座が、国内の銀行預金のみであれば、単純に預金通帳の数字を追いかけていけば、大まかな状況を把握できます。
(注:他に証券口座等がある場合は、口座間の資金移動の把握も必要)

具体的には、1年間の集計期間を各自で決めて、例えば、昨年5月末時点の残高(1)と今年5月末時点の残高(2)をメモします。

銀行口座が複数ある場合は、(1)と(2)の残高は、口座ごとに拾った数字の合計です。

そして、下記の通り足し算、引き算をすると、年間の総支出額がわかります。
(1)+手取年収-(2)=総支出

総支出額の内訳は、食費、被服費、日用品費、水道光熱費、通信費などの基本生活費の他、住居費、保険料、車両関連費、交通費、教育費、教養娯楽費、小遣い、交際費、医療費など個別の状況による支出、このほか、例えば、家具や家電の購入、旅行や帰省など、臨時の支出があります。

預金通帳やカード明細等から出来る限り数字を拾い、電卓をたたいて、費目ごとの概算の年間支出額を推理で埋めていきます。

詳細にこだわらず、ざっくりと家計全体の状況を把握することが目的です。

数字を拾いきれず使途不明となる金額は、いったん費目を「その他」に分類しておきます。

この作業は、預金通帳などの明細が揃っていれば、1時間程度で出来ると思います。

テレビの1時間番組の視聴を1回見送れば、捻出できる時間です。

そのうえで、数字とにらめっこしながら見直しを考える流れです。

もちろん、ただ削減するだけではなく、ご自身やご家族の学びや経験、成長のために必要と考えるお金があれば、惜しまない方がよいと思います。メリハリが肝心です。

これならできそう、と思ってもらえるようでしたら、ぜひトライしてみてください。