犬の躾けと訓練(その3)
問題行動について
犬の問題行動の原因の多くは、病的なものを除いては飼い主の犬の習性を正しく理解していないこと、おかれている環境と成長期の躾けにあります。
接し方を変えれば解決可能です。
犬の問題行動は、犬が生活している群れ全体、すなわち家族の問題であり、飼い主の責任です。
問題行動とは・・・
無駄吠え・咬み癖・人の食事中に食べ物を欲しがるなどの他、お散歩の時に自分の行きたい方向に引っ張る・飼い主に対して唸る・咬む・・・
『少々手を焼かせる程度なら』と思っても
黙認しているとエスカレートし、口に拠る破壊行動・攻撃的行動などの危険な状態になることもあります。
しかし、あたかも犬が人に迷惑をかけているように取られるこれらの行動は全く異常ではありません。
犬があまりに身近な動物であるが故、その精神や行動に対して充分に理解しているつもりで、独自の躾けを強要し、犬が悪くなると犬自身の問題として捉える場合が多いようです。
問題行動の根本原因の一つに『犬にとって問題となる人の行動』がありますが、これを認識している人は極めて少なく、相変わらず問題行動を呈している犬に強制・体罰を強いている場合が多いようです。
体罰や強制は、一見短時間に効果をあげることができるように思われがちですが、根本的に改善することは困難で、さらに二次的な問題行動の原因になります。
その原因は
【病気や遺伝・生まれつきのもの】
例えば、白久や聴力に異常がある場合やホルモンの関係でとても支配欲や縄張り意識・防衛本能が強くなってしまっているもの等です。
このような原因の場合は、獣医学的な対処や治療が必要です。
【犬のからだに異常がない場合】
原因には飼い主側にある場合が多いようです。
『飼い主が飼っている犬の種類による特性を理解していない場合』
充分な運動量が必要な犬種なのに余り運動させていない。
神経質な犬種なのに小さな子供が触るのを放っておいた。
等が原因になります。
『犬という動物そのものの特性を理解していない場合』
仔犬の時に正しい躾けをせずに甘やかしたり、吠えるたびに要求を聞き入れるなどして、飼い主がリーダーシップを取っていなかったばっかりに、犬達が飼い主を「アルファ(リーダー)」と認めておらず、犬の方が飼い主より上位であると勘違いしてしまう、所謂『権勢症候群』の症状を現したもの。
問題行動の予防
犬の性格は、遺伝と環境に影響されます。
特に社会化期や思春期までにどう扱われ学習したかにより、その後の問題が発生します。
温和で従順な性格に育て、問題行動を予防するには次のような点に注意しましょう。
社会化期(3~12週齢)に適切に社会化を心がけることが重要です。
犬を日常生活に溶け込ませる為に、人との生活を一から教えましょう。
【人が主導権を持つ】
犬が喜んでアルファとして人を尊敬するには知性的な面で主導権をとる必要があります。
犬の躾けと訓練(その1) で示したようなアルファとなるためのポイントを実施し、犬が何を望みどうしたいかを感じ取る人が輪の知性を育てることが重要です。
【体罰の禁止】
犬が理解していないうちに不都合な行動をとっても体罰は厳禁。
信頼関係の構築に支障をきたします。
咬みつきの抑制
『咬む』ことは犬の正常な伝達手段・自己表現です。
咬む原因としては・・・
○支配性
○恐怖
○テリトリー制
○捕食性
○遊びとしての攻撃
○疼痛
があります。
乳歯が生えそろい永久歯に生え変わる頃までに、咬む加減を習得させましょう。
仔犬が手や衣服にじゃれついて咬みついたら、無視して黙って退却し『咬むことは嫌われることだ』と気付くまで続けます。
次に咬んだ時に「イタイ!」と大声で叫ぶ。
仔犬との生活の中で一番大きな声を出すことで『咬むことはいけないことだ』と気付かせましょう。
仔犬とはいつも穏やかに接し、「イタイ!」という声に敏感に反応するようにします。
無駄吠え
『吠える』ことは犬の感情表現・コミュニケーションの一つです。
しかし、玄関先に他所の人が来ただけで日がついたように吠えて騒ぐ、室内飼いなら来訪者に申し訳ないし、玄関先でも鳴き続けられたら近所迷惑で苦情の原因にもなります。
このような『無駄吠え』悩みや苦情は決して少なくないのですが、犬からすれば『無駄に吠えているわけではありません』。
『無駄吠え』とは、我々がそう表現するだけで、正当な理由があるはずです。
その理由を人が見極め、吠える要因を減らさなければ改善しません。
【犬は何故吠えるのか】
最も多いのが『縄張り』に関わるものです。
防衛本能に起因するもので、縄張りを守る為の正常な行動です。
例えば、新聞配達員・郵便配達員が戸をたたいたり、庭に入ったりしたときなど『その外敵に対する警戒・警告』です。
また、何らかの要求(お腹がすいた・遊んで欲しい・お散歩に行きたい・オシッコやウンチがしたい等)を訴える為に吠えることもよくみられます。
【飼い主の対応が無駄吠えを助長】
『泥棒には吠えて欲しいがお客さんに吠えては困る』
『昼間はいいが深夜や早朝は困る』
と人側の理屈や基準を押し付けても犬には理解できません。
また、吠え始めても最初は静止せず、耳障りになって始めて注意していませんか?
これは飼い主が無意識とは言え吠えることに対して『OK』を出していると言うことです。
【無駄吠えの予防】
ポイントはこれらのような『例外』を作らないこと。
或いは、『このぐらいならいいか』と安易な妥協をしないことにあります。
また、仔犬の社会化期に『人好き・犬好き』に育てることが大切です。
分離不安
飼い主に強い愛着ががあり、飼い主の不在時に不安になり悲しげに吠えたり、物を壊したり、不適切な場所での排泄をしたりする心の病気です。
飼い主と犬の間にある過剰な愛着の為、精神的に未成熟に育つ為に起きると言われています。
飼い主と犬との過剰な愛着を断ち、犬の精神を発達させて、お互いの関係をより自然のものにすることが重要です。
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