ある日の喫茶店での出来事
最近困ったことが起こっています。それは何かといえば本が読めないということです。私のような『相談と解決』を生業としているFPにとって本、特に小説は欠かせない情報源なのです。
え?金融の専門書でなく?と思われるかもしれませんがそういった本はほとんど読んでいません。知識はお客様がいれば自然と身につきますから。
ではFPがなぜ小説を読むことが大事なのか。それは想像力(イマジネーション)を身につけるためです。人の行動を決定するものは感情とその制御能力です。感情を理解することが保険などの物売りではない私にはとても大事なのです。
ですがその本が読めないのです。もっと正確に言うと3行くらい読むと急に眠気が襲ってくるのです。オフィスだからかと思い喫茶店に移動してみましたが同じです。
仕方がなく喫茶店内から聞こえてくる会話に耳を澄ましていました。隣から聞こえてくるのは会計事務所もしくは税理士事務所に勤務していると思われる20代後半か30代前半の男女2人の会話でした。
内容は自分の言うことを聞かないからあの会社はダメだ的なお話。どんな提案か聞いてみるとどっかの本で読んだことがあるような提案らしかった。
力説する女性に対してまあまあと抑える男性。でも聞いた私の感想は『そんな案、飲めるわけないだろ』というレベル。経営したことないからそんなこと言えるんだ。そこまで言うなら自分でやってみろと喉元まで出かかるがやめた。
そう、社長や経営者の感情というものはなかなか理解しがたいものです。かくいう私のサラリーマン時代もこの女性と同じレベルだったでしょう。お恥ずかしい次第です。あの頃の自分を殴りたいレベルです。
サラリーマンは失敗してもごめんなさいで済むかもしれません。しかし経営者はそんな程度のリスクでは済まない話があります。もっといえば人生がかかっているくらいの話なんですよね。
サラリーマン時代はそんな悲しいレベルだった私にも社長様からアドバイスを求められることが多くなってきました。自分も経営者なのでその感情を理解してアドバイスします。その1つの仕事が1年かかって終わりました。
非情、薄情と言われようが
経営の第一目的は何かといえば『ゴーイングコンサーン』です。つまり永続する企業を作ること。そのためには利益がないと達成できません。その利益がどうも将来危ういと危機感を持っているようである企業をご紹介いただきました。
紹介者から聞くと先代の親から引き継いだ2代目社長でここ最近の収益状況に危機感を持っているのでまずは税理士さんに相談したようです。ですがどうもピンとこない話だったそうです。
後で社長に聞くと『経営を知らないのでは?』ということでした。次に担当の保険屋さんに聞いたそうですがこれもまた推して知るべしのようで次に私だったようです。
決算書を見ながら話して方針の確認。まずはひどい保険内容を改めれば300万くらい出てきそうなので資金の捻出。超小・零細企業にとって300万はでかい。
次に従業員との関係。そして親との関係でした。創業者との親とどう付き合っていくのかです。実は私が採用されたのはこの親との付き合い方のアドバイスが大きかったと言われました。
親が何を考えているかわからない。だからケンカになる。親と同居していたが奥様も爆発寸前。親が何を考えているのか。どうしてこう言うセリフを親が言うのか。そしてどうしなければいけないのか。
『親から会社を乗っ取る気か?』と言われませんでしたか?と聞くとやはり『言われた』と。あとを継いだ自分になぜそんなセリフを言うのか理解できていないようでした。
そういった『感情』をベースに紐解いでいき会社だけでなく家族という単位まで社長と私とで二人三脚で改善していきました。
『すべてうまくいきました。親とも従業員とも決算書も』
と報告をお受けその仕事も終わりました。税理士さんが1番驚いていたそうで褒められましたとのことでした。
私を含めた経営者の後ろは崖であり失敗は即墜落というリスクを背負っているのです。そんなことも理解できない、一緒にリスクを共有する気概も覚悟も知識もない若い女性の提案に頷きそして委ねるわけないだろうと。
そんなことを考えながら喫茶店を出ました。喫茶店て結構高いのね。でもイマジネーションを得るという目的からすれば安い投資でした。
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