My Dear 1話から読む方はこちらから
「東口からどうやって橋本さんのご自宅にお送りすればいいですか?」
「あっ、架橋の下を渡って最初の信号を右です」
道を教えるのが谷口さんにだったから緊張しながら私のマンションまでの
道のりを説明した
マンション前に着くと
「じゃぁありがとうございました。賢治、またね」
私はそのままマンションに入ろうとオートロックの鍵を探していると後ろから声をかけられた
それは賢治だった
「奈々子のマンションも分かった事だし、今日はお泊りしちゃおうかな」
「なっ何言ってるのよ。明日は私早いんだから。それに賢治もコンサートのリハーサルでしょ」
事務所公認の仲になったとはいえ急に泊まるなんて言われても困る
「明日のリハは午後からなんだ。鍵はポストに入れとくから泊めてよ」
「ダメよ。付き合ってるって言ってもそこまでの関係じゃないでしょ」
「だ~か~ら~、これからそう言う関係になっていくんだよ」
「とにかくダメったらダメ。ほら、谷口さんが待ってるよ」
マンション前にはまだ谷口さんが運転している車が止まっていた
「わかったよ。今日は引き上げるけどまた来るから」
そう言って私の頬にキスをすると谷口さんの運転している車に戻って行った
私はキスされた頬を触りながらその車を見送った
次の日、会社に行く為に駅のホームに立ってるとふいに雑誌のコーナーに目が止まった
そこには賢治に彼女が出来ている事が大文字で書かれている雑誌があった
そう言えば私達のツーショット写真を載せない代わりに
賢治には彼女がいる事を独占記事にするって言ってたっけ
私は230円を出してその雑誌を買った
会社について雑誌をペラペラとめくる
最初のページに賢治の事が書いてあった
私の事は「一般人女性」としか書かれてなかったから少し安心した