My Dear  29話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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デスクで賢治の事が載ってる記事を読んでると後ろから声をかけられた

「橋本さんって嵐山 賢治のファンだったんだ」

それは会社で注目の的になってる井上君だった

仕事は出来るし、顔だちも整ってるから当たり前かもしれない

私は読んでいた雑誌をバックにしまうと

「ううん、ただ芸能人って彼女が出来ただけでこれだけ騒がれるなんて大変なんだなぁって思っただけ

それに私、芸能界にはあんまり興味ないし」

「そっか…。それより今日の夜時間空いてる?」

なんで私の予定を聞いてるのかは分からなかったけど

「今日は定時で終わり…。のはず」

「じゃぁさ、たまに一緒に夕食でもどう?仕事が終わったら会社の前の『zone』で待ってるから」

「う、うん」

会社ではモテモテの井上君が私を誘ったのかは分からなかったけど

食事位いいよね

その様子を見ていたのは同僚の麻美だった

麻美は私のデスクに近づくとパソコンを立ち上げてる私に話しかけてきた

「奈々子もなかなかやるわね。会社で注目の的の井上君から

食事のお誘いがあるなんて」

カップにコーヒーが入ってるのを私に渡しながら笑った

「そんなに深い意味なんてないと思うよ。井上君って独身だからいつも外食みたいだし

たまには誰かと食べたかっただけじゃないの?」

「そっかなぁ。まぁ私は井上君には興味はないからいいけど

他の女子社員にバレたら嫉妬の的になるわよ」

そんな仲じゃないのに…。