My Dear 1話から読む方はこちらから
「早いな。おじさんが亡くなってもう10年か。」
「私達が12の時だから時間が経つのは早く感じるのよ。
それより本当にうちに泊まるの?」
賢治は壁の時計を見ながら、
「もうこんな時間だし。前の仕事が忙しかったから。」
私も改めて時計を見るともう12時を過ぎようとしていた
「今日、泊まるのはしょうがないけど明日は帰ってね。」
「奈々子も冷たくなったな。昔は一緒に風呂に入った仲なのに。」
そんな子供の頃の事を言われても困る
「それは幼稚園の頃の話でしょ。今はいい大人なんだから、その辺は考えなさいよ。」
私と賢治がちょっとした口喧嘩をしてた時にお母さんが昔お父さんが着ていたパジャマを持ってきた。
「けんちゃん、これお父さんのだけど寝る時に使って。」
「ありがとうございます。」
賢治はお父さんのパジャマを受け取るとパジャマに顔をうずめた
何をしてるのだろうと思って見ていると、
「10年経ってもおじさんの匂いは残ってるんだな。」
そう呟いた
私もお父さんが亡くなってもお父さんの匂いは微かに覚えてる
その匂いを思い出す旅に泣きそうになるけどもうお父さんはいないんだ
結局賢治は客間で寝て、私は久しぶりに実家の自分の部屋で寝た
ウトウトとしてた頃私の部屋がノックされた
もうすぐで寝れそうだったのにと、思いつつドアを開けるとパジャマ姿の賢治の姿があった
「わりぃ、寝てた?」
「もうすぐで寝れそうだったのに。」
私が不満を言うと賢治は悪い事をした様な顔をしてもう1度謝った。
「わりぃ。」
「何よ。こんな時間に。」
「さっき話した俺と付き合うの真面目に考えてくんない?」
あまりの賢治の真剣な顔に私は黙ってしまった。