My Dear  3話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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「けんちゃん、明日も仕事なの?」

お母さんは賢治の事を「けんちゃん」と言って我が子の様に可愛がっていた

「うんにゃ、明日もオフ。」

「じゃぁ泊まっていきなさいよ。」

お母さんの突然の提案に私は呆れた

芸能人が一般家庭に泊まれるはずもないだろう

ところが賢治は嬉しそうに、

「ホント?じゃぁ泊まっちゃおうかな。」

なんてのんきな事を言った。

「賢治!芸能人が普通の家に勝手に泊まったら事務所に何か言われるでしょ!」

「今、俺のマンションにレポーターが張り付いてるんだよ。今帰ったら例のスキャンダルの事を聞かれるから

こういう普通の家に雲隠れしてた方がいいんだよ。」

…。賢治の言う事も一理ある。いやいや、賢治の言う事に振り回されたらダメだ。

「そのレポーターがうちの事を嗅ぎつけたらどうするのよ。」

「大丈夫だって。マンションからここまで遠いから。」

なんて安楽的な考え。呆れちゃう。

「じゃぁおじさんにお線香上げてもいい?」

お父さんは10年前に脳梗塞でいきなり亡くなってしまっている

お父さんも子供の頃は賢治を可愛がってよくキャッチボールとかしてた

「どうぞ。お父さんも喜ぶわ。」

賢治はお父さんの仏壇に正座すると神妙な顔で祈っていた

賢治はお父さんが蒸発してるからお父さんに懐いてた

何をお父さんに祈っていたのだろう