2つの鍵 第21話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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そのまま2人は向かい合って座り、


正面から改めて浩之を觀ると美奈は身体を固くした。


それを観た浩之はニヤリと笑い、


「そう固くなんなって。


俺はただ美奈に会いたかっただけなんだからさぁ。」


「うそよ。貴方がそんな理由で別れた女に連絡するとは思えないわ。


お金?だったら無駄よ。私はただの主婦なんだから。」


「ひでぇ。久しぶりに会った元恋人にそんな事よく言えるな


そんなんじゃねぇよ。」


美奈は浩之の言葉を信じなかった。


いつもその手で財布からお金などを抜き取られていたからだ。


どうせ、今回もお金の事だろうと、


こっそりと美奈はへそくりを銀行から下ろして来ていた。


そうしたら浩之から思いもよらない言葉か出てきた。


それは美奈を震え上がらせるのに十分な言葉だった。


「香ちゃん。いや、『香』と呼ぶべきかな?あの子俺の子だろ。」


「…・!」


何故判った?顔立ちから?それとも父親としての直感?


いや、この男に父性などあるはずがない。


美奈はどう答えればいいか迷った。