2つの鍵 第1話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

美奈は夏が嫌いだった。



ギラギラと照りつける太陽が



自分を溶かしてしまいそうな錯覚を覚えるのと、



すでに過去の男となった『彼』の事を思い出すから。



つばのひろいしろい帽子で


太陽の光から視線を避ける様な仕草をすると、



ため息をつき美奈は今の夫の実家へ向かう為車へ乗り込んだ。



自宅から夫の実家までは高速を使えば



1時間で到着するはずだった。だが、お盆ということもあり、



高速は渋滞しており予定より遅く到着する事になりそうだった。



美奈は一旦、SAへ車を入れると飲み物を買いに売店へ足を向けた。



ほとんどが家族連れで、美奈も



娘の香を夫と先に行かせるのではなかったと



後悔した。だが義父や義母が香に早く会いたがっていたのは



知っていたのでしょうがないと心の中で首を振った。