2つの鍵 第20話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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美奈は意を決した様に指定された喫茶店の前に立った。


が、浩之に会う勇気がなかった。


喫茶店の前でウロウロしていると、後ろから声をかけられた。


「なぁに今さら迷ってるんだよ。」


ぎょっとして後ろを振り向くと後ろには浩之が立っていた。


昔より少し痩せた感じがする。


だがライダースジャケットを羽織ってるのは変わらなかった。


美奈は懐かしさと怒りと両方の感情が湧いて来た。


それは不思議な感情だった。


今にでも胸に飛び込みたい感情と平手打ちしたい感情。


それは女としての感情と


母としての感情の両方だったのかもしれない。


浩之は美奈の有無も言わさず肩に手を置き喫茶店に入って行った。


これでは完全にカップルに見られてもしょうがない。


だが、何故か美奈はその手を振りほどく気にはなれなかった。


昔の様に肩を組んで歩いた思い出がよぎり、


浩之に身を任せてしまったのかもしれない。