その後だった。義父が武を殴ったのは。
「子供を使ってまで子作りをして欲しいと言ってはおらん。
しかも朝食の席で。恥ずかしいとは思わんのか。」
「父さんの方ですよ。
先にもう一人孫の顔が見たいな発言をしたのは。
僕は香にそれを確認したまでです。」
武は殴られた時に切れた唇の血を拭き取りながら、反発した。
武がこの様に反抗の態度を取るのは珍しかった。
義母が義父をなだめるまで時間を要した。
それ程、義父は興奮していた。
反対に武は反抗はしたものの、冷静だった。
だが、一刻もこの家から離れたいと思ったらしく
昼頃には帰ると言い出した。
香はもう一泊したいと駄々をこねたが父達の争いを見て、
何か感じるものがあったらしく、
最終的には大人しく美奈の車に乗った。
武の車に乗らなかったのはいつもの父と違う
何かを感じ取ったからだろう。