家に帰り着くと美奈宛てに郵便物が届いていた。
差出人は書いてなくシンプルな封筒だった。
しかし、少し重みがあり何かが入っている様だった。
美奈は不思議に思いながらも、
義父宅からの荷物を家の中へ入れながら差出人を想像した。
『まさか…。』
嫌な予感が頭をよぎる。
だが美奈はその人物を考えない様にした。
今の幸せな生活からその人物を入りこませたくなかったからだ。
荷物の整理も終わり、香におやつをあたえ、
武が見ていない台所で美奈は台所用ハサミで
その封書の封を切った。
中から出て来たのは1つの鍵と便箋1枚だった。
怖る怖る便箋の中身を読む。
『美奈へ
俺は以前のアパートにまだ住んでいる。
お前にその気があったら来てくれ。
いや、お前は来てくれるはずだ。待っている。』
美奈の嫌な予感は的中してしまった。
思わず鍵を床に落としてしまう。
その音に気付いた武が台所の近くまでやってきて、
「どうした?包丁でも落としたのか?」
「え、えぇ。ちょっと手が滑って。でも何でもないの。」
「怪我しなかったか?」
「大丈夫よ。ありがとう。」
美奈は足で鍵を移動させながら足元に持ってきて、
スリッパの下に隠した。
絶対に見られてはいけないと思ったからだ。
いや、見られてはいけない物だ。