2つの鍵 第15話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

最初から読む方はここから



家に帰り着くと美奈宛てに郵便物が届いていた。


差出人は書いてなくシンプルな封筒だった。


しかし、少し重みがあり何かが入っている様だった。


美奈は不思議に思いながらも、


義父宅からの荷物を家の中へ入れながら差出人を想像した。



『まさか…。』



嫌な予感が頭をよぎる。


だが美奈はその人物を考えない様にした。


今の幸せな生活からその人物を入りこませたくなかったからだ。


荷物の整理も終わり、香におやつをあたえ、


武が見ていない台所で美奈は台所用ハサミで


その封書の封を切った。


中から出て来たのは1つの鍵と便箋1枚だった。


怖る怖る便箋の中身を読む。



『美奈へ



俺は以前のアパートにまだ住んでいる。


お前にその気があったら来てくれ。


いや、お前は来てくれるはずだ。待っている。』



美奈の嫌な予感は的中してしまった。


思わず鍵を床に落としてしまう。


その音に気付いた武が台所の近くまでやってきて、



「どうした?包丁でも落としたのか?」



「え、えぇ。ちょっと手が滑って。でも何でもないの。」



「怪我しなかったか?」



「大丈夫よ。ありがとう。」



美奈は足で鍵を移動させながら足元に持ってきて、


スリッパの下に隠した。


絶対に見られてはいけないと思ったからだ。


いや、見られてはいけない物だ。