2つの鍵 第13話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

最初から読む方はここから



何事もなかった様な朝食の時、


夫の武が香ににこやかに突然聞いた。



「香は兄弟が欲しいかい?」



「うん。お兄ちゃんがいい。」



無邪気に答える香に武は笑いながら、香の頭をなで、



「それは無理だなぁ。弟か妹だな。な、母さん。」



美奈は昨晩の事もあり、


武を凝視しながら箸を置きしばらく答えなかった。



「ママ。香にも弟か妹が出来るの?」



子供を使ってまで子供を作ろうとする武の心がわからなかった。


だが、香が袖を引っ張りながら聞いてくるので、


無理やり笑顔を作りながら、



「そうね。香が良い子にしてたら出来るかもね。」



「うん。香、良い子にしてるっ。


だから弟か妹が欲しいなぁ。ねぇったら。」



「わかったからお行儀良く、ご飯を食べなさいね。」



義母はくすくすとその様子を見ていたが


義父は憮然とした表情で黙々と朝食を取っていた。