目指せ!森林インストラクター。 -26ページ目

目指せ!森林インストラクター。

日本の山を元気にしたい!
そんな思いから、森の案内人「森林インストラクター」の資格を取りました。

自然は私達に、たくさんのメッセージを投げかけています。
その声は、あまりにも小さく儚いものです。

そんな「森の囁き」を、お伝えします。

先日、森林施業の技術講習へ行きました。



私の所属する森林インストラクター東京会(FIT)の行う研修会です。





鳩ノ巣の森は私有林ですが、所有される方のご好意で「多摩の森・大自然塾」」事業のフィールドとして利用させていただいております。



これは、主催が森づくりフォーラム・事務局をJUON NETWORKが行い、運営スタッフはJUONにFITのメンバーを加え、さらに他のエリアで活動されている方等を交えて活動しています。



毎月第三日曜日には、一般参加者を募って市民の手による森作りを行っています。





そんな多くの方の手を経た鳩ノ巣フィールドだからこそ、研修の場として提供していただける事をまずは胸に留めておきたいと思います。





午前中はフィールド案内。インストラクターとして森林に入る心得を学びました。



常にインタープリターの目で植物や植生・環境を「観る」ことと同時に、知識を得たら自分なりに解釈・必要に応じた確認を取る事も大切です。





午後からは実際に技術を指導していただき、鉈の使い方をはじめ、基本となるロープワーク、鋸の挽き方、材の運搬を行いました。





刃物に関しては、自分の体の中心であるへその位置が重要で、鋸にしても鉈にしてもへその前で使用するように指導を受けました。



特に鉈は、無理のある体制では自分の足に振り下ろす危険があるので、注意が必要です。



足場・作業する台、そしてもし手が滑っても大丈夫なように周囲を確認する事。



基本を学び実践する事が、安全な作業の第一歩であり作業の鉄則である事を学びました。





材の運搬は、前後に分かれて行います。



声をかける側は意思の疎通をしっかり取るために、的確かつ明確な指示を求められます。



同時に、お互いの状況を確認しながら安全を確保する事が重要です。



ロープを使うので、余った部分が足に絡まる恐れもあるのでこちらも注意が必要です。



自分のあんぜんは勿論、相手との意思の疎通や周囲の安全確認が大切なのだと実感しました。





まだ今は参加者ですが、いずれは指導する側になって山に恩を返せたらと思います。







とはいえ、参加するのは「100年の森作り」。



じっくり焦らず、一歩一歩。









応援よろしくお願いします!! 

前回は森林とCO2の関連についてとりあげました。



貯留庫として残す自然林と、更新していくべき森林がある事はお分かりいただけたと思います。





今回は、その森林の更新について見ていきましょう。





天然林でも人工林でも、木を利用するためには伐採が必要で、その跡に新たな林木を育てる必要があります。



これが更新ですね。





更新にも幾つか種類があり、気象・地形といった環境要因や更新樹種、育てようとする森林の形態によって適したものが採用されるようです。





大きくは、人工更新と天然更新に分かれます。



では、一つ一つ見ていきましょう。





人工更新



字のごとく、人の手による更新です。苗木や挿し木による「植え付け法」と林地に直接種子を蒔く「直播き法」があります。



人工更新の大きな特徴として樹種を選べることがあります、



林業では、適地適木を表す際に「尾根マツ沢スギ中ヒノキ」という言葉が良く使われます。



尾根には乾燥に強いマツ、沢筋には湿潤で肥沃な土壌を好むスギ、その中間をとれるヒノキを中腹に植えると良い事が経験で語り継がれたものです。





針葉樹では、スギ・ヒノキを筆頭に、アカマツ・カラマツ・トドマツ・エゾマツ・ヒバ等が植えられます。



広葉樹も、カシ類・ナラ類・ケヤキ・クヌギ・ブナ等の事例がありますが、針葉樹に比べるとまだ定着が遅れています。





天然更新



次に天然更新ですが、こちらは人が地表面の整備や切り株の萌芽等を利用しながら、自然の力による更新を促すものです。





大きく有性繁殖・無性繁殖に分かれます





有性生殖



種子による更新である点は人工更新と同じですが、違うのはそれが自然のものである点です。



さらに、二つの方法がありますが、樹種の性質によってその森林の扱いが大きく異なるので注意が必要です。





側方下種法=皆伐天然下種更新法



皆伐により裸地を作り、隣接する林分(隣の林)から飛散する種子の発芽によって更新する方法です。



条件は二つあり、一つ目は陽樹であること、もう一つは種子が軽い事です。



拉致に適応したパイオニアであり、かつ風によって種子を散布する樹種に有効な更新方法です。





上方下種更新法=母樹法・漸伐作業法



種子を落とす親木である母樹を残して伐採し、発芽を促す方法です。



種子が重く、かつ母樹の被陰にも耐えうる陰樹向きの方法です。







無性生殖



クローンですが、天然更新ですので、挿し木以外の自然状態でのクローンに何があるか思い浮かぶでしょうか。





形態は二つ。ヒントは、崩壊地や多雪地帯に見られます。





萌芽更新法



切り株からの“ひこばえ”を育てて更新する方法で、伐期が短く小径で仕立てるパルプ材・薪炭材やしいたけのほだ木等の広葉樹で行われます。





伏条更新法



東北・甲信越や高山など、雪の重みで下枝が地面に付いたところから根が出て、新しい個体になる事があります。



これを「伏条」といい、スギやヒバに見られる更新方法です。









このように、人工・天然の別や有性・無性によっていくつかの更新方法があり、その場の条件によって決められています。



同時に、森林は親子三代。孫の代でようやく成立するのだということを忘れてはなりません。





更新方法の選択は、将来的なビジョンに基づいた森作りのスタートだともいえるのです。



特に天然更新では、慎重な調査・計画が必要でしょう。





森と人、共に生きる道は無いのか?





木を見て森も見る。





様々なイベントで、そんなご案内をできるよう修行中です。





森林インストラクターは、受かってからが本当の勉強なんですね。











応援よろしくお願いします!! 

大型連休も終わり、五月も半分を過ぎようとしています。



もうすぐ、森林インストラクター試験の受験申し込みが始まります。



このブログをご覧の中にも、合格を目指して勉強されている方がいらっしゃるかもしれませんね。





思いつくままの更新で、話題のバランスに偏りもあると思いますが、いちおう夏過ぎには一通りの分野には触れていこうと思っています。



もっとも、予定はまだありませんが…





トヨタが黒字回復し、話題を集めています。



リコールの爪痕はまだ残るかもしれませんが、エコカー減税はじめ各国の販促政策が影響したそうです。



CO2ビジネスは、まだまだ元気そうです。





二酸化炭素といえば、森林とは切っても切り離せない関係にあります。



どんな時も何がしかの形で伝えていく役割を、森林インストラクターは担っていると言ってもよいでしょう。





実際のところ、森林は二酸化炭素を吸収するのか?





この問いへの答えは、イエスでありノーでもあります。



なぜなら、森もまた生き物だからです。





植物は、二酸化炭素を吸収して光合成により有機物を生産することで成長します。



同時に、生命を維持するために呼吸によってCO2を吐き出します。



この、総光合成量(CO2吸収量)から呼吸量を引いたものを純生産量と呼びます。





ここで考えなければいけないのは、森林内の有機物の“循環”です。



生産者によって生産される枝葉や樹幹(有機物)は、食べられたり枯死等による脱落により、最終的には分解者が無機物として土に還します。



この菌類による分解の過程で、CO2が放出されているのです。





こうしてみると、森林の炭素の収支は、現存する植物の増加分であることがわかります。



式にするなら、



 



 純生産量-被食量-枯死量=現存増加量





となります。





では、現存増加量の多い森林とはどんなものでしょうか。



成熟した森林では、毎年の成長と同じぐらい枯死するものがあり、全体としてバランスが取れています。言い換えれば、生産により大気より取り込まれるのと同量の炭素がまた大気に放出されるので、差し引き0になります。





若い森林ではどうでしょう。



こちらは、枯死量よりも成長量のほうが多く、炭素の吸収がよさそうです。



活発であるということは、呼吸量も多いという面もありますが、吸収という面では弱齢林のほうが有利そうです。



ですが、成熟した自然林にはそれまでの膨大な蓄積分があり、炭素の貯留庫としての役割を担っているともいえます。



ですので、成長量=CO2削減という単純な図式は成り立たず、吸収と貯留の両面からトータルした森林のあり方を考えなければなりません。





森林という立木としての存在も重要ですが、実は普段日常で目にする木材にも同じ事がいえます。



木材という形で存在するということは、そこに炭素が固定されているのと同義です。



林内に放置していても、やがては分解されCO2として放出されるのは書いた通りです。



これを伐り出して長い間使い続ける事は、その間炭素を木材という形で維持する事につながります。





勿論、伐採のために森林が破壊され、吸収能や蓄積量を減らすことはあってはならないことです。



伐採には必ず更新が伴うという森林維持の鉄則が守られるのならば、成長量に見合った分を伐採・利用する事は、実は森林にとっても人にとっても良い関係であるのです。





同時に、水保全・土保全等の役割がある事も考えれば、森林を保全・利用する事は人類にとってとても重要な意味を持つのです。









応援よろしくお願いします!! 

 



5/89の二日間、日比谷公園で「森林の市」が行われました。





林野庁主催のイベントで、市民の皆さんに森林や地方での活動や取り組みを広める事を目的に毎年行われています。





私も、森林インストラクター東京会(FIT)のスタッフとして参加しました。



もしかしたら、お会いしている方もいらっしゃるかおもしれませんね。





FITでは、イベントブースとしてネーチャークラフトの展示販売・体験コーナーを設けました。



その中で、クラフトコーナーにくっついていました。





ぶんぶんゴマ



鉛筆ブローチ



ケムンパ(通称。アカガシの殻斗にゴムを通し、ムクロジの頭をつけたもの。)





製作・体験の指導にあたりました。





クラフトでは、どうしても作る事や遊ぶ楽しさに目を奪われがちです。



勿論、自分で作る事の喜びから、創造性を養ったり道具や手先を使い方を学ぶのは大切な目的です。



さらに、実際に遊んでたのしむことも、愛着から物の大切さを学ぶ良い機会です。





ですが、



森林インストラクターとしてネーチャークラフトを通じて何を伝えるか。





というと、自然素材の素朴さ・温かみに触れて親しむことであったり、そこから生まれる興味を育てたり、「森の案内人」としての役割が加わります。





ちょこっとハードルが上がりましたね(汗;)





そんな指導を受けつつ、触れあいの中から学ぶことの多い二日間でした。







合間を縫って、グルッとまわってみると結構知らない事があるものです。



バオバブの実の実物なんかもありました。実際少し食べてみましたが、なんとも不思議な味でした。



私は、結構好きです。





気になったのが、「生きものマーク」です。



http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kankyo/100331_1.html





これは、農林水産業の営みに関わりながら、豊かな自然環境を創出する取り組みです。



まさに、生物多様性を暮らしの中で実現していこうとする活動だと思います。





その中には、朱鷺などの希少種を目標種に掲げるもの、身近な生物との共生を目指すもの。



さらに、生態系の一部として考え、地域・さらに流域を巻き込んだ取り組みも見られます。





環境に対して、何かできるの?





そんな声への答えの一つになりうるものだと思います。



まずは知る事。興味関心を持ち、学ぶこと。



次に、評価し、活動すること。



さらに、分かち合い、広げること。





血の通った「生活者」としての声こそが、本当の地域の力となる。



そんな大きな流れを感じるこの頃です。





始めは、ほんの小さな声かもしれなくても、確実に自然は応えてくれます。





そんな囁きを“お伝えする”。





それが、「森林インストラクター」として私のできることだと信じています。







応援よろしくお願いします!! 



沖縄も入梅。皐月に入り、初夏の装いも見られるようになりました。



ついこの間、高尾山で雪中行軍()を行ったのが嘘のようです。



身近なところでも、気温の変化は勿論の事、道端の草などに春を感じられます。





春の花の代表といったら、タンポポ。漢字で蒲公英、ちなみに英語ではdandelion.



荒地に開く大輪の太陽は、まさに雑草魂!



四肢を伸ばすかのようなロゼッタは、日照を効率よく吸収する他、厳しい寒風をやり過ごし踏圧にも耐えるパイオニアの生き方そのものです。





そんなタンポポも、花を終え綿毛を飛ばし始めています。 



春の深まり、初夏の風物詩ですね。



新天地へ向け旅立つ種子も、また同じような開けた場所を選びます。



むしろ、日照が不十分な場所では発芽しません。



競争を避け、あえて厳しい環境に身を置く潔い生き方かもしれません。





のどかな春の風景ですが、実は暗い影を潜めています。



あちこちで、静かな侵略が始まっているのです。





ご存知の方も多いように、海外からやってきたセイヨウタンポポが勢力を拡大しています。



一見同じように見えますが、総苞片の開いて反り返っているのがセイヨウタンポポ、閉じてくっついているのが日本のものです。



外来生物の話題では、よく取り上げられます。





日本のものとの大きな違いは、セイヨウタンポポは自家受粉が可能である点です。



ですので、日本のものは近くに仲間がいなければ種子をつける事ができませんが、セイヨウタンポポは一株でも子孫を残すことができます。



同じ開けた環境を好むので競争の条件は同じですから、繁殖力で



はセイヨウに分があります。





株が増えていくという事は、生息域の問題もあるのですが、ポリネーターが奪われてしまうことも大きな影響を与えます(ポリネーター…受粉を助ける昆虫。送粉者)



ただでさえ繁殖力で劣るうえ、送粉者もいなくなってしまえば手上げです。





、最近研究では、セイヨウタンポポと在来タンポポの雑種が確認されているそうです。



ですので、総苞片の開きだけでは同定できなくなりつつあります。



このまま交配が進めば、在来タンポポの遺伝情報が失われてしまう恐れさえあるのです。



外来生物は、このように種の存続にとって大きな脅威にさえなります。





今年、名古屋で「COP10」が開催されます。



以前にも取り上げましたが、COPは締約国会議の略称です。



数字は開催数を表し、COP1510回目の開催を控える「生物多様性条約」締約国会議を指します。



他にも気候変動枠組み条約(COP15)等があり、国内開催のCOP10と併せて、森林インストラクターはじめ環境系の指導者の方々、また受験を考える方は抑えておきたいものです。





近頃ブームの多様性ですが、生物多様性とは何でしょうか?





簡潔に言うなら、「生物の多様性とそのつながり」といったとこころでしょう。



その中で、大きく三つの“多様性”が挙げられます。





種の多様性



生態系の多様性



環境の多様性





以前二本立てで書いた記事を載せておきますので、参考にしてください。



http://morinohito.cocolog-nifty.com/interpreter/2010/01/cop-d80d.html



http://morinohito.cocolog-nifty.com/interpreter/2010/01/post-4084.html







タンポポひとつで大げさな。



そういう方もいらっしゃるでしょうし、確かにそうかもしれません。





ですが、本当に「タンポポ」一つでしょうか。





タンポポが咲けば、その花に訪れる虫がいて、その虫を食べる虫・鳥…がいます。



もちろん、タンポポがそこにあるために、土地に良い影響があるかも知れないしその逆かもしれません。



タンポポが無くなれば、また違うものがその場を占めることになり、とんでもない事になりうる可能性もあります。





もしかしたら、将来、タンポポから未知の病気の特効薬が見付かるかもしれません。







全てつながりの中にありバランスが取れていること。



無数の可能性が秘められている事。





目先の都合ではなく、そういった広い視野での判断が必要なのだと思います。





「誰かが何処かでどうにかしている。」





様々なシーンで、胸に思い起こしてみてください。





私たちが受けている様々な自然の恵みを、「生態系サービス」と呼びます。



衣食住・環境・文化・医療・産業・経済―みんな自然の恩恵です。





哺乳綱サル目ヒト科、人類だって一動物に過ぎません。



それがちょっと文明を手にしていきがっている間に、地球がえらいことになっていた。





かつて「日本人」を目指した維新志士がいたように、「地球人」を目指す時代が訪れているようです。







応援よろしくお願いします!!