前回は森林とCO2の関連についてとりあげました。
貯留庫として残す自然林と、更新していくべき森林がある事はお分かりいただけたと思います。
今回は、その森林の更新について見ていきましょう。
天然林でも人工林でも、木を利用するためには伐採が必要で、その跡に新たな林木を育てる必要があります。
これが更新ですね。
更新にも幾つか種類があり、気象・地形といった環境要因や更新樹種、育てようとする森林の形態によって適したものが採用されるようです。
大きくは、人工更新と天然更新に分かれます。
では、一つ一つ見ていきましょう。
人工更新
字のごとく、人の手による更新です。苗木や挿し木による「植え付け法」と林地に直接種子を蒔く「直播き法」があります。
人工更新の大きな特徴として樹種を選べることがあります、
林業では、適地適木を表す際に「尾根マツ沢スギ中ヒノキ」という言葉が良く使われます。
尾根には乾燥に強いマツ、沢筋には湿潤で肥沃な土壌を好むスギ、その中間をとれるヒノキを中腹に植えると良い事が経験で語り継がれたものです。
針葉樹では、スギ・ヒノキを筆頭に、アカマツ・カラマツ・トドマツ・エゾマツ・ヒバ等が植えられます。
広葉樹も、カシ類・ナラ類・ケヤキ・クヌギ・ブナ等の事例がありますが、針葉樹に比べるとまだ定着が遅れています。
天然更新
次に天然更新ですが、こちらは人が地表面の整備や切り株の萌芽等を利用しながら、自然の力による更新を促すものです。
大きく有性繁殖・無性繁殖に分かれます
有性生殖
種子による更新である点は人工更新と同じですが、違うのはそれが自然のものである点です。
さらに、二つの方法がありますが、樹種の性質によってその森林の扱いが大きく異なるので注意が必要です。
側方下種法=皆伐天然下種更新法
皆伐により裸地を作り、隣接する林分(隣の林)から飛散する種子の発芽によって更新する方法です。
条件は二つあり、一つ目は陽樹であること、もう一つは種子が軽い事です。
拉致に適応したパイオニアであり、かつ風によって種子を散布する樹種に有効な更新方法です。
上方下種更新法=母樹法・漸伐作業法
種子を落とす親木である母樹を残して伐採し、発芽を促す方法です。
種子が重く、かつ母樹の被陰にも耐えうる陰樹向きの方法です。
無性生殖
クローンですが、天然更新ですので、挿し木以外の自然状態でのクローンに何があるか思い浮かぶでしょうか。
形態は二つ。ヒントは、崩壊地や多雪地帯に見られます。
萌芽更新法
切り株からの“ひこばえ”を育てて更新する方法で、伐期が短く小径で仕立てるパルプ材・薪炭材やしいたけのほだ木等の広葉樹で行われます。
伏条更新法
東北・甲信越や高山など、雪の重みで下枝が地面に付いたところから根が出て、新しい個体になる事があります。
これを「伏条」といい、スギやヒバに見られる更新方法です。
このように、人工・天然の別や有性・無性によっていくつかの更新方法があり、その場の条件によって決められています。
同時に、森林は親子三代。孫の代でようやく成立するのだということを忘れてはなりません。
更新方法の選択は、将来的なビジョンに基づいた森作りのスタートだともいえるのです。
特に天然更新では、慎重な調査・計画が必要でしょう。
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