サザンオールスターズ54th single
『ピースとハイライト』

(2013.08.07)






★週間1位
3作連続通算15作目

バンド初4年代1位(1980年代・1990年代・2000年代・2010年代)

★年間17位(33.9万枚)





【共通収録曲】
M1.ピースとハイライト
M2.蛍
M3.栄光の男
M4.人生の散歩道

off vocalなし




■完全生産限定 "胸熱35" カートンBOX
CD+納涼サマーポンチョ付
VIZL-660

■通常盤
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■アナログ盤
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■約35万人動員野外スタジアムツアー会場限定盤
納涼サマーポンチョ another ver.付






08年の「無期限活動休止」から5年、何故、サザンオールスターズは「復活★」=再始動したのか?

2014年~2016年いかなる方向性で活動を推進してゆくのか?


ひとえに問題はこの点に尽きる。









【06年】

『キラーストリート』ツアーに全力を費やしたサザンはすぐ休止した訳ではなかった。

まず、ゼロ年代を牽引するロック・バンドと共に次々と野外フェスに参戦した。


まず、7月17日、小林武司とMr.Childrenの桜井和寿が主催する


『ap bank fes '06 (つま恋)』


に桑田佳祐が参加。桜井和寿と約11年ぶりに『奇跡の地球』をセッションしたことが大々的に話題を集めた。


8月21日には再び民放で

『桑田佳祐の音楽寅さん ~MUSIC TIGAR~ '06夏の思い出作りSP』

が放送。ユースケ・サンタマリアがロック・フェスに参加するため桑田に曲作りを依頼。細かい指示を出したものの、当日ユースケは主演映画『UDON』のプロモーションで出演できず、原由子の出演を提案するという風変わりな展開となった。楽曲制作の合間にサザンのスタジオ・ライブも放送された。出来上がった曲は『突然の吐き気~えりの思い出~』。

2012年に発売された桑田佳祐『I LOVE YOU -now & forever-』完全生産限定盤の[BONUS DISC]に初めて音源が収録された。




そして今度は、サザンが主催しロック・フェスを開催した。
桑田佳祐が呼びかけ・サザンが中心となり



『THE 夢人島 Fes. 2006 WOW!! 紅白! エンタのフレンドパーク Hey Hey ステーション・・・に泊まろう!』




を浜名湖ガーデンパーグにて大々的に実現した。

福山雅治・ポルノグラフィティ・FLOW・BEGIN・Dragon Ash・ONE OK ROCK・GLAY・ミスチルらが出演。


特に特別ゲストで加山雄三が招聘されたことは話題を呼んだ。


当日、桑田佳祐がバックをつとめ

「加山雄三 with 桑田 Special Band」

が誕生し、加山のレパートリーが実に12曲にわたり披露された。ただし、運営方法など教訓とすべき点もあり、その後のロック・フェスに生かされた事柄も多々あった。



こうした8月のロックフェスに突入する直前、サザンオールスターズは52枚目のシングル

『DIRTY OLD MAN ~さらば夏よ~』

を発表。またしてもオリコン1位に輝いた(年間38位)。『キラーストリート』以来、桑田佳祐は自分の内面世界に関わることを作詞し始めたと言える。


しかも、この曲でサザンはTOP10入り「作品数」を通算42作(32作連続)とし歴代1位を獲得した。

通算トップテン入り「週数」でも239週とし、続く2週目に山口百恵を抜く240週を記録したことで、歴代単独1位に輝いた(現在、更新中)。



11月30日~12月2日は桑田佳祐が恒例のAAAに参加し、


『Act Against AIDS'06 星条旗よ永遠なれ!?~私のアメリカン・ヒーローズ』


を開催。パシフィコ横浜国立大ホールで、06年の幕が降りた。







【07年】

サザンで出来ることをやり尽くしたことにふまえ、桑田佳祐が高い音楽性を追求する年となった。

この年、桑田は質の高い曲をハイペースで量産した。



きっかけは「4月1日」だった。

突如、Yahoo! JAPANで、レコーディング中に強制捜査をされ桑田佳祐が失踪した!、というキャリア初のスキャンダルが報道され、世間が騒然となった。

ただし……「今日は4月1日です」などと断り書きされた形で……。

案の定、翌4月2日、エイプリールフールの嘘八百だったことを明らかにし、桑田のソロ活動再開ならびに07年活動概要が発表されたのだった。


この年2007年、桑田佳祐はソロデビュー20周年だった(10月6日)。
※(2017年はソロワークス30周年を迎える)。


5月16日、畢生の傑作

『明日晴れるかな』

をリリース。

1位、年間7位(35.9万枚)に輝いた。

TVドラマ『プロポーズ大作戦』の主題歌で、『ドラゴン桜』以来の山下智久と長澤まさみの共演も話題となった。

『それまでの自分は、
「Eなら開放弦も使えるなぁ」
とか、ギターという楽器の特性を優先して曲作りをしがちだった。
でも Act Against AIDS で外国の歌をカバーしているうち、その考えが少しずつ変化する。例えば、カーペンターズやクリフ・リチャードの曲などFで歌うことが多かった。そこに弦楽器とかブラスとか加わったアンサンブルでやるうちに、
「響きの違いが随分あるんだなぁ」
ということを勉強した。』

(桑田佳祐著『桑田佳祐 言の葉大全集 やっぱり、ただの歌詞じゃねえか、こんなもん』新潮社2012年 182頁。)

キーがFとなる、初めての曲となった。






熱い涙や恋の叫びも
輝ける日はどこへ消えたの?
明日もあてなき道を彷徨うなら
これ以上元には戻れない



耳を澄ませば心の声は
僕に何を語り掛けるだろう?
今は汚れた街の片隅にいて
あの頃の空を想うたびに



神より賜えし孤独やトラブル
泣きたい時は泣きなよ
これが運命(サダメ)でしょうか?
あきらめようか?
季節は巡る魔法のように


Oh, baby. No, maybe.
「愛」失くして「情」も無い?
歎くようなフリ
世の中のせいにするだけ


Oh, baby. You're maybe.
「哀」無くして「楽」は無い
幸せの Feeling
抱きしめて One more time.




在りし日の己を愛するために
想い出は美しくあるのさ
遠い過去よりまだ見ぬ人生は
夢ひとつ叶えるためにある



奇跡のドアを開けるのは誰?
微笑みよ もう一度だけ
君は気づくでしょうか?
その鍵はもう
君の手のひらの上に


Why, baby? Oh, tell me.
「愛」失くして「憎」も無い?
見て見ないようなフリ
その身を守るため?


Oh, baby. You're maybe.
もう少しの勝負じゃない!!
くじけそうな Feeling
乗り越えて One more chance.











さらに、8月22日には10thシングル

『風の詩を聴かせて』

発表。故人・飯島夏樹に捧げたこの曲も1位を獲得した。


12月5日はダメ押し的に

『ダーリン』

を発売。6作連続1位、通算7作目の1位に輝いた。

特筆すべきは、PVに元AV女優の夏目ナナが出演したことである。さらにC/Wには

『現代東京奇譚』

が収録された。この曲は阪本順治監督作品『闇の子供たち』の主題歌であり、歌謡ブルースの傑作だ。

映画はアジアの人身売買に関わる幼児売買春と臓器移植を扱った作品だ。
こうした映画から得たインスピレーションとザ・ピーナッツや欧陽菲菲ら人生の陰と陽を巧みに歌った歌謡曲のスター歌手へのオマージュに溢れている。特に原作者の梁石日と阪本順治の描く憤激を共有した桑田は、直截な表現をとる訳ではないが、明らかにヒューマンな怒りを爆発し、見事、歌謡曲として昇華させた。




人間(ヒト)はあてなき旅路に
疲れ果てたまま
己の仕掛けた罠に
堕ちてゆくのね


幼き日見た夢が
全て嘘と言うのなら
世の中は裏表
何故か教えて



階段を下りるように
沈む夕陽を見て
やるせない運命(サダメ)だと
言うのは易いけど


生まれくる子供らに
真心を伝えて
この胸に響くのは
母の大切な言葉



淋しくて 淋しくて
魂(ココロ)に死化粧
今は亡き面影が
泣くなと呼び掛ける


愛し合う悦びを
誰かと分かち合い
この命燃やすのは
赤い血の如き涙





ところで、ソロデビュー26年を迎えた原由子が、8月8日、竹内まりやのシングル『チャンスの前髪 / 人生の扉』のゲスト・ヴォーカルを依頼された。『チャンスの前髪』はドラマ『肩ごしの恋人』の主題歌で、原作者の唯川恵たっての希望で竹内まりやがリクエストに応えた曲だった。


さらに、原は11月7日、風味堂のオファーに応え、スペシャル・ユニット「ハラフウミ」を組み、シングル『夢を誓った木の下で』を共作した。亀田誠治がアレンジした『オレンジ・ジュース』『大好き! ハッピーエンド』ではソロをとった。




そして、この年、桑田はソロ活動を充実させた1年の締めくくりに、ツアーに出て有終の美を飾った。11月21日から12月31日のカウント・ダウン・ライブまで、


『WONDA presents 桑田佳祐 LIVE TOUR 2007 呼び捨てでも構いません!! 「よっ、桑田佳祐」SHOW supported by ショコライフ』


全14公演を完遂した。





【08年】

この年サザンオールスターズは「無期限活動休止」を発表した。


直前に各メンバーが駆け込み的にソロ活動を進めた。


3月23日


『桑田佳祐 アコースティックライブ in 石垣島』


を沖縄・石垣市民会館で開催。ソロ曲のみならず『涙そうそう』をカヴァーした他、サザンの曲を半分以上盛り込んだことは前触れ的でもあった。


ドラマー松田弘は4月23日、アルバム

『GOOD CELEBRATION』

を「BOOGIE MATSUDA & FUNKY ★ FREAKS」名義でリリース。


ベーシスト関口和之も弘と同日、アルバム

『口笛とウクレレ2』

をリリース。今回は「関口和之featuring竹中直人・分山貴美子」名義で発表した。




そして、いよいよその時が来た。



5月12日、かねてから噂はあったものの『東京スポーツ』が「サザン解散」をいきなり1面で報じたのである。


これに対し所属事務所アミューズは「あくまでも推測による記事」と釈明しつつ、1週間後の19日に公式HPと新聞広告で今後の活動について正式に発表すると、含みを残した。



5月19日、『朝日新聞』に以下の全面広告が掲載された。




サザンから重大発表。
(この中に嘘が3つあります。写真は関係ありません。)



①サザンオールスターズ、バンド名を高名な占い師のアドバイスにより、おツルとオンガエシーズに改名!

②サザン NEW SINGLE 8月6日(水)に発売決定!

③桑田佳祐、無所属で衆議院選神奈川3区より立候補決定!

④サザンオールスターズ『真夏の大感謝祭』30周年記念LIVE開催決定! 8月16日(土)17日(日)23日(土)24日(日) at 日産スタジアム

⑤桑田佳祐、念願の花火師の資格を取得。作品『女体盛りの森』で文化芸術大賞を受賞。

⑥来年以降、サザン活動休止決定!



答えは sas-fan.net へ。



サザンオールスターズ30周年
🌸よく三十年間 休み休み 働きました🌸






全面広告の上半分が右の記事、下半分は写真で、「鶴の恩返し」の鶴に模したコスプレをしている桑田佳祐の前で、翁に紛したメンバーたちが襖を開け放っているカットだった。

こうして、サザンオールスターズはデビュー30周年活動報告と同時に09年以降の「無期限活動休止」を発表したのだった。

次いで、6月24日、8月に行う休止前コンサートの演奏曲についてリクエスト(ファン投票)を行うことなどが発表された。


さらに、7月15日、東京・渋谷の駅前交差点を始め主要5都市の街頭ビジョンに、53rdシングルのPV完成記念映像が一勢に流されたのである。



なお、8月2日、桑田佳祐の『現代東京奇譚』を主題歌とした阪本順治監督作品『闇の子供たち』が、渋谷・シネマライズなど全国でロードショー公開された。作品の質が高く、キャストも素晴らしく、なおかつ賛否両論の話題性も手伝い異例のロングランとなった。銀座で開催された大ヒット御礼舞台挨拶では、阪本監督と共についに妻夫木聡が登壇したことは記憶に新しい。余談だが、この作品をターニング・ポイントとして、かつてのように日本映画の問題作に人気俳優が積極的に出演するようになった。







②へつづく。










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