フットハットがゆく! -97ページ目

(第92回)あ、バカ寝入る

 
 先日、『ワンクリ詐欺』(ワン・クリック)というものにひっかかってしまった。

 うちのメールアドレスにはエッチサイトなどの迷惑メールが1日十件以上送られてくる。もちろんいちいち読まずに捨てるが、その時のメールは非常に巧みで、うちの会社名をしっかりと件名に入れこんで送って来たので、どこかのお得意さんかと思ってうっかり開けてしまった。
 開けると、
「貴社のサイトに当社の広告を出してほしい。当社サイトはこんな感じですからぜひご覧下さい。」
 とホームページアドレスが表示してあった。いってみるとなにやらエッチなサイトの入り口。
「こりゃあかん」
 と思ったが、いつものネットサーフの癖で、ポンと画面の一角をクリックしてしまった。するととたんに別ページが開き、
「ご登録ありがとうございます。入会手続が完了いたしましたので、2日以内に下記口座に4万4千円をお振り込み下さい。」
 という文字が…。

 が~ん。

 急いでワンクリ詐欺対策のサイト等を調べると、最善の対処法は「無視」。と書いてあったので、無視することにした。それにしても、
「エッチサイトを見に行った」
 という後ろめたさから、支払ってしまう人も多いと聞くから、やな商売というか詐欺というか…。


 詐欺というと、いまだに詐欺かどうか自分でも分かりかねるのだが、1年ほど前の話…

 バスを降りてしばらくいくと、非常に困った顔をした見知らぬおじさんに呼び止められた。聞くと、
「身内に不幸があり、北海道まで飛行機で帰らないと行けない。伊丹空港で待ち合わせている親戚が飛行機のチケットを持っているが、実は恥ずかしいことに今ここ(京都市左京区)から伊丹までいくお金を持ち合わせていない。後日必ずお返しするので、千円お貸し願えないか?」
 という。
 なんでも岩倉方面からタクシーに飛び乗って出て来たが、ここでお金がなくなってしまい降ろされたのだそうだ。あ~それは可哀想に。でも何となく怪しい気も…。もし1万円といわれれば絶対断るが、千円というところが微妙にミソである。
「早く行かないと飛行機にも間に合わないし、ぜひお願いします」
 と汗を流しながら必死に訴えるので、つい千円差し出してしまった。おじさんはお礼をいって、
「後日お返しするための連絡先をお聞かせ下さい。」
 といったが、なんか自宅の住所をいうのも気が引けたので、断った。おじさんはぺこぺこ頭を下げながら去っていった。

 もしこれが詐欺なら、一日10回これを繰り返せばよい日当になる。まぁ、彼の身内に本当に不幸があったかどうかは、もう知るよしもないのだが…。

 僕は昔、東京で詐欺まがいに合った時に上司から
「詐欺は悪いが、詐欺に合う方も悪い。だまされて泣き寝入りしている奴は、表面上みんなに同情されながらも、実は「あいつはバカだ」と軽蔑されている」
 と、いわれた。あぁ、せちがらい、せちがらい。イヤな話や。

 でも僕はひそかに、いつかどこかの道ばたで千円拾うと信じている。

2005年9月1日号掲載 


アバグネイル
フランク・アバグネイル
20世紀を代表する天才詐欺師。映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のモデル。


追記・・・あ、バカ寝入る=アバグネイル=フランク・アバグネイル…。いやぁ、詐欺を考える人は本当に巧みに詐欺をしかけて来ます。一番凄い詐欺は、被害者が詐欺にあったとは意識させない詐欺。昔の侍でいえば、斬られたことを斬った本人に気づかせない剣さばき…ということになるだろうか…。


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