フットハットがゆく! -129ページ目

(第16回)勝つか一蹴

 
 原稿締め切りと発行日に約二週間の差があるので、リアルタイムなエッセイは書きにくいが、今回もサッカーワールドカップネタである。

 とにかく今は決勝トーナメントが始まり、気温以上に熱い試合が連日行われている。もちろんこの号が出る頃は、大会は終了している…が、いずれにせよ、今の僕にはワールドカップネタ以外は書けない。あしからず。

 自分が生きているうちは、二度とは行われないであろう自国開催のワールドカップ。僕は自分でも恐ろしくなるほど、この機会を楽しんでいる。仕事そっちのけ。ビール片手に、地上波の試合は全部テレビで見ているし、グループリーグ最高の組合せといわれたアルゼンチン対イングランドも、札幌まで観に行った。
 もちろん、もっともっと会場に足を運びたいのが本音だし、この機に共催国の韓国にも行ってみたかったが、チケットが取れないので、しようがない。

 にわかファンとなり、男前の選手を応援するのもいいでしょう。ウンチクを並べ立て、解説者のような見方をするのもいいでしょう。勝ったら祝杯を上げましょう。負けたらヤケ酒を飲みましょう。

 サッカーごとき球蹴りに死ぬほど熱くなり、なんとアホな連中だと思っているアナタ。何かにこれほど熱くなることができますか?
 酔って街でバカ騒ぎする若者を見て、白い目を向けるアナタ。会社の悪口をいって、飲み屋のすみでくだを巻いているのと、何が違うのですか?

 試合が行われる都市には、外国人のサポーターがたくさん訪れた。そういう集団を見て、わけも分からず「フーリガンだ!」と怖がったアナタ。幕末の黒船じゃないんだから。本当に日本人は、外国人に弱いよな。

 そんな我らが日本代表が、下手したら一蹴されるかも知れなかった強国ロシアを、稲本のひと蹴りで打ち負かした時の興奮と快感は、アナタも理解できるでしょう?

 4年前、フランスまで日本の応援に行き、トゥールーズでアルゼンチンに、ナントでクロアチアにそれぞれ0-1で敗れ、たった2戦でグループリーグ敗退が決まったあの悔しさを思い出すと、日本の決勝トーナメント進出には、本当に涙が止まらなかった。

 今回は自国開催。そしてその活躍いかんによっては、日本の名を世界にアピールできるのだ。ワールドカップの視聴率がいかに凄いかは、誰でも知っている。どんなに遠く離れた、小さな国の人間でも、ワールドカップで活躍した国と選手は知っている。たとえアメリカの大統領の名前を知らなくてもだ。

「ナカタのいる国の、イナモトのいる街から来ました」
 世界のどんな街に行こうと、それで友達ができる。それがサッカーワールドカップなのである。…終わってしまって寂しいが、次回のドイツ大会が見に行けるよう、お金をためようっと。

2002年7月1日号掲載 


勝海舟
勝海舟
幕末・明治時代の政治家。幕府海軍育成に尽力、江戸無血開城を実現。

追記・・・勝つか一蹴 = かつかいっしゅう = かつかいしゅう = 勝海舟。外国から日本にやって来るチームを黒船に例えるのも安易ですが…(笑)。それにしてもこのエッセイ、サッカー観戦ネタが多いですね…(汗)。


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