フットハットがゆく! -127ページ目

(第18回)ヨーダは華がある

 
 七月十三日(土)、河原町通りのスカラ座へ。
 ビールとポップコーン片手に、席を探す。ふと見ると、最後部列はR列となっている。左から2番目、R2席に陣取り、ご満悦の僕。
 二杯目のビールを買って戻ると同時に、劇場が暗くなる。この瞬間のワクワク感がたまらなく好きだ。
 僕があえて公開初日に見に来たこの映画、そう、この夏最大の話題作「スターウォーズ」のエピソード2である。

 一応説明しておくと、SWシリーズ最初の作品は一九七七年に公開された。今でいうエピソード4である。その後、5、6と公開され、一応の完結の形をとった十六年後、九九年にエピソード1が公開となり、今回のエピソード2に至る。

 映画のストーリーをまだ見ぬ人の前で語る事は、投獄に値する罪だと僕は考えているので、内容に関しては何もいうまいが、まぁ一言だけいうならば、ヨーダの華のある活躍ぶりは、全国のおじいちゃんおばぁちゃんに勇気を与えることだろう。
 というか、基本的にこの映画に関しては、内容などどうでもよく、ただR2―D2とC―3POのでこぼこコンビが登場して、主人公達がライトセーバーをブンブン振り回してくれていれば、それで僕は満足なのである。

 僕が初めて見たSWシリーズは、八〇年公開のエピソード5「帝国の逆襲」であった。
 当時小学五年だった僕は、
「なんてかっちょええんや!」
 と思い、それから映画というものの虜になった。リバイバル上映でエピソード4を見てからは、僕の映画好きは病気のようになり、当時はレンタルビデオもなかったので、中学生になるとともに映画館に足を運ぶ回数も増えた。

 007、レイダース、ジャッキー・チェン、そしてスピルバーグのE.T.など、少年を別世界へと駆り立てる、そんな魅惑の映画群に触れて、
「将来は僕も映画監督に!」
 と大きな夢を描いたものだった。
 それはともかく、中でも一番かっちょえかった映画がSWだったのだ。

 一九八三年、完結編とうたわれたエピソード6「ジェダイの復讐」が公開となった。公開初日の一番最初の上映を見に行く事が、映画小僧のステイタスである。もちろん学校はサボり、始発の電車に乗って映画館へ。前売り券を握りしめ、開館の何時間も前から並ぶ。席を確保した後、コーラとポップコーンを買うが、パンフレットを読むのは映画が終わるまで我慢する。

 超満員の客席。この日この時間に集まった人々は、明らかに熱心なファンである。これだけ多くのSW愛好家とともに興奮と感動を共有できるかと思うと、それだけで気持ちが高ぶる。
 劇場が暗くなり、大音響とともに映画が始まる。…結局その日は、初回から四回、同じ映画を見た。


 一日十時間も映画館にいた、あの日の思いを忘れないために、今回のエピソード2もあえて公開初日に見に行くのである。
 コーラがビールに変わっても、SWを、ひいては映画を愛する気持ちは変わらないのだ。


 それでは今日はこのへんで。サヨナラ、サヨナラ…サヨナラ。


2002年8月1日号掲載 


淀川長治
淀川長治
神戸出身の映画解説者、映画評論家。
「それでは次週をご期待ください。さよなら、さよなら、さよなら!」は淀川の名台詞。


追記・・・ヨーダは華がある = よーだは はながある = よどがわながはる = 淀川長治…。河原町通りのスカラ座は何年か前になくなりました。最近はシネコンが増えて、完全入れ替え制のため、同じ映画を一日に何回もくり返してみるということはできなくなりましたね…(2008/7月)


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