(第82回)ベール
僕は最近、ケーブルテレビの番組を撮りはじめた。ケーブルテレビは放送地域が限定されるので、より地元に密着した番組制作が可能だが、最近はあまり密着しすぎるのも嫌がられる傾向があるようで難しい。
例えば、昔から視聴率が取れる三つの要素といえば「子供」「動物」「食べ物(特にラーメン)」であった。子供は無邪気でかわいいし、ビデオを撮る方もついつい子供の笑顔をアップで撮りたくなるのだが、親御さんの中には子供を撮られたくない人もいるようで、先日の撮影でも苦情が出たりした。
最近は子供を巻き込んだ事件が多いので、その親御さんの気持ちもよくわかる。テレビのみならず、インターネットに顔が出たら自分の知らぬ所でダウンロード、コピーされ、その肖像が一人歩きを始める結果になることも…。
盲目の少女(ヘレン・ケラー)の相談相手となる傍ら、音声の研究から電話を発見したベル。その電話が、インターネット、携帯電話といった情報網へ進化し、その結果、逆に子供たちの顔をベールで見えないようにしなければならぬ時代になりつつある。
それにしても最近のパソコン機器、IT関連の進化は凄まじい。
昔は、番組制作には特殊な業務用カメラと、編集スタジオを借りなければ出来なかったし、それには多くの予算が必要だったが、最近は家庭用のビデオもデジタル化されてキレイに映るし、パソコンと専用ソフトがあれば、画質を落とさず編集作業が可能である。
「一億総映画監督!」
とは某パソコンメーカーのCMであったが、まさに一人でもテレビ番組が作れるのである。
インターネット関連に話を移すと、例えば今僕はネットでアメリカのラジオ番組を聞きながらこの文を書いている。京都からアメリカの最新トップチャートが普通に聞けるのが現在である(無料)。
パソコンに取込んだ楽曲は、チューインガム大の機器に250曲ほど入る。ちなみにタバコの箱大の機器だと1万曲ほど入る。CDウォークマンだ、MDウォークマンだいっていた時代が懐かしい…。
仕事の打ち合わせは、ネットを介したテレビ電話で行なう(無料)。
一昔前のテレビ電話は、カタカタした紙芝居のようだったが、今は普通にフルスクリーン、フルモーションで映る。インターネットを介しているからチャット(文字情報をリアルタイムでやり取りする)も可能だし、パソコン上で扱える全てのデーターをやりとり出来る。これを利用して自宅と自宅で普通に会議が進む。ちなみにこれは海外相手でも可能である。
字引を引いたり、翻訳したりなんてこともネットで簡単に出来る(無料)。ちょっと気になった人名とか、調べごとなど、ネットで検索すればすぐに答えが見つかる。
便利、便利。
まさに「ドラえもん」の世界が到来しつつある。
しかしドラえもんがどんなに便利な未来の道具を出しても、必ずしものび太くんが幸せになるとは限らないように、パソコンやIT関連が進化したからといって、人が幸せになるとも賢くなるとも限らない。…ということを、常に自分に言い聞かせている。
道具はあくまで道具、という意識を忘れずにこれからもいきたい。
2005年4月1日号掲載

ベル 1847~1922 アメリカ
ろうあ者の教育につとめる一方、1876年に有線電話を発明。
| 追記・・・ドラえもんの世界が現実化しつつあるというのは、誰もが認めるところです。でも忘れては行けないのは、どんなに技術が進歩しても、人が幸せになるとは限らない…ということです…。どんなにコンピューターが発達して、CGですごい映像が作れても、歴史に残る名作が作れるかどうかは、やっぱり人しだい、だと思います。 |
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