『子どもが教育を選ぶ時代へ』 野本 響子・著
長男の学びを見ていると、ついクイズ番組のように「結局は、何が正解なの?」と聞きたくなってしまいます。
私も自らの受験勉強を経て「正解か・間違いか」「正義か・悪か」みたいな二元論で考えるクセがついているので、正解がない感覚になかなか馴染めません。
なので、21世紀型の教育を見ていると、なんだか判然としないままに授業がどんどん進んでいくような錯覚に陥ります。
ホームスクールやインターナショナル・スクールの先生たちには、「答えはわからない」と平気で言う人が少なくありません。しかし、長男は逆に、先生たちは「わからない」ことを認めているから信頼できると言い、「自分の言うことに100パーセント確証を持つ人」「絶対」「これが当たり前」が口グセの人から離れ、「前言撤回」する人と一緒にいるようにしていると言うのです。
従来型教育が「世界をわかったもの」として見るとしたら、21世紀型教育の特徴は、「世界を未知のもの」として見ていることでしょう。
もし「世界をだいたいわかっている」なら、長老や経験者の知識をコピーするような暗記教育がベストなのです。これに対して、21世紀型は「正解」がないまま、答えを曖昧にしたまま、生徒自身に考えさせる授業です。
IBディプロマのTOKでは、最初に「自分がいかに無知か」 「『知る』ことがどれくらい難しいか」を学びます。
そしてこの「正解が決まらない不安定さ」に慣れることがポイントです。
本当は正しいかどうか分からないのに、正しいと思い込んでしまうことって多い。
「これしかない」と決めつけてしまうと、それ以外の可能性が見えなくなってしまう。
ハッキリ分からないからこそ、もっと知りたいという欲求が生まれてくるんだろうなぁ