『手の治癒力』 山口創・著
科学的な知識もほとんどない古の時代でも、人々は手当ての癒しの効果については経験的によくわかっていた。
だからこそ4大文明のいずれからも、マッサージが癒しの技として登場し、近代医学が発達した今日でも衰えずに生き続けている。
人間の身体の基本的な構造が変わっていない以上、手当ての癒し効果も変わっていないはずである。
一方で、科学としての医療は「いたちごっこ」のように1つの問題を解決するや新種の病気が生まれ、私たちはいまだ病気から解放されることはない。この先もずっと「いたちごっこ」は続いていくに違いない。
そんな医療のもとでは、人々は「治療」よりも「癒し」を求めるようになった。
私たちはなぜ、それほど癒しを必要としているのだろうか。
その一因は、心と身体が乖離していることである。私たちは毎日の生活を科学技術に囲まれ、それらを使用しているうちに、いつのまにかそれらに支配されるようになり、知的合理的側面ばかりが偏重される社会の中で生きている。
しかし人は合理的なものからは癒されない。
育児、コミュニケーション、医療など、直接に触れ合う機会が減っている現代社会において、「触れる」ことの大切さを提唱されている。
仕事で実感するけど、患者さんへの触れかたの影響って本当に大きい
良い手を創れるように頑張らないと