父の「染と織の万葉慕情」を投稿していますが、読み解く中で様々な思い’を「余話」として記していきます。
染と織の万葉慕情の10話目から「麻」が登場しましたが、「麻」について少し学んでみたいと思います。

麻の種類は、「大麻 (ヘンプ/おおあさ/おおぬさ) 」、「苧麻 (ラミー/ちょま/からむし) 」、「亜麻(リネン/あま)」、「黄麻(ジュート/おうま)」、「マニラ麻(アバカ)」サイザル麻(ヘネケン)など20種類近くあり、植物としての分類も、大麻はクワ科、苧麻はイラクサ科、亜麻はアマ科など、異なります。
中国から渡来した帰化植物といわれ、縄文前期(10000年前)以前にはまだ存在しなかった可能性が高く、鳥浜貝塚で6000年前に「大麻 (ヘンプ) 」布が発見されていることから、10000年前〜6000年前のこの間に最初に「大麻 (ヘンプ) 」が渡来したものと思われます。

大麻 も苧麻も亜麻も現代では「麻」と十把一絡げに表現されていますが、明治時代までは「麻」とは大麻 (ヘンプ/おおあさ/おおぬさ)のことを指しており、苧麻 (ラミー/ちょま/からむし)や黄麻(ジュート/おうま)とは区別されて呼ばれていました。
大麻(おおあさ/おおぬさ)は古代から現代まで神事にも深く関わり、庶民の衣類や道具として、米に次ぐ農産物として日本中で大々的に生産され、衣服、油、漁網、鼻緒、食料など多様に利用されており、この様に重要な大麻は「麻の葉柄」として着物などでも日本の伝統柄として使われています。
麻は天然繊維の中では最も強い繊維で水に濡れても強いことが特徴で、通気性もよくシャリ感があるので 、湿度の高い日本に適した素材といえます。
素材特性として
● 亜麻(リネン)は人類最古の繊維と言われ、古代エジプトではミイラを包む布に使われていましたが、日本には近世まで存在せず、初めてもたらされたのは明治7年(1874年)露駐大使であった榎本武楊が北海道開拓使長官の黒田清隆へフラックス(亜麻(リネン)の原草)の種子を送り、札幌で栽培させたところから始まります。
一般に麻は表面がザラザラ、チクチクとした肌への刺激を想像されますが、リネンはソフトでしなやかな風合いで、ラミーに比べると毛羽立ちが少ないのが特徴です。
そのため、キッチン、バス、ベッドまわりの衛生用品に多く用いられ、ヨーロッパでは下着に使われたことから、ランジェリー(Lingerie)の語源はリネン(Linen)だとも言われています。
● 苧麻(ラミー)はハリ・コシがあり、白く絹のような光沢
原草となる苧麻ちょま/カラムシ)は、多年生の植物で高温多湿を好み、
天然繊維では最も強く、ハリ、コシがあるのが特徴で、色が白く絹のような光沢があります。
しかし、ラミー糸は毛羽立ちが多く絡まりやすくて切れやすい性質がありそのままでは織りにくいため、特に経糸(たていと)に使用する場合は糊付け加工が欠かせません。
●大麻 (ヘンプ/おおあさ) は10000年前〜6000年前に麻の仲間では最初に渡来したと思われます。
ヘンプ・大麻(たいま)は、喫煙・飲食で摂取され麻薬に使われる悪いイメージがありますが、日本で古来から栽培されてきた大麻草は外国製とは違い麻薬成分をほとんど含まず、歴史を紐解いてみても、部屋の中で大麻草を整理しているときに酔っ払って寝てしまったとか、多少ユーモラスな逸話が残っているぐらいで、江戸時代以前に問題になるような大きな問題は起きていません。
それどころか、大麻は日本の歴史的に深い関わりがあります。 6000年以上前に最初に渡来した大麻は、素晴らしい布としてもそうでしょうが、その不思議な陶酔成分があることから薬効によって祷りや呪法、神との対話などで使われて、それが 神を祀るときの布として用いられるようになったと思います。
大麻は、『古事記』では天の岩戸の前で賢木の枝に下げた「白丹寸手(しらpmにきて)=楮でつくった布」「青丹寸手(あをにきて)=麻でつくった布」で紙垂(しで)が作られている。
白さと不思議な薬効で「清々しさを表し、清浄で潔白で穢れを祓うもの」とされてきました。このことにより、日本にとって神聖な場所である神社で使用する素材としてしめ縄でも扱われていますし、天皇即位の大嘗祭では「あらたえ」が平安以降は麻で作られ、古墳からも出土されており、穢れを祓う紙垂(しで)は現在は和紙ですが、古くは麻の枝葉や麻布であったとされますし、神職がお祓いに使う大幣(おおぬさ)は大麻と書き、大麻(おおぬさ)を使用しています。ほかにお盆の迎え火の風習もあります。
大麻(ヘンプ)は古の時代から神仏事に欠かせないものであり、普段の衣類から、縄、網、漁網や釣り糸、あらゆるものに使われていて米に次ぐ莫大な生産量であり、布といえば麻であった時代、大麻は生活とともにあったと考えられます。
また、日本の伝統柄「麻の葉柄」は大麻の葉がモチーフになっており、背丈が大きく成長が早い大麻の性質から、子供の成長を願う縁起物として古くから人々に愛されてきました。
このように古代から日本人の精神的支柱であった神道や、日常の生活と深く係りとても重要な大麻でしたが、戦後1946年に薬効の弱い日本大麻もGHQにより禁止されてしまいます。一説ではアメリカの占領軍が日本人の精神的支柱であった神道の影響力を分断し弱めるためだったと言われています。これにより日本人の精神にも生活にも深く結びついていた麻文化は大打撃を受けます。
現在は大麻取締法による規制のため日本国内での取り扱いはほとんどなく、麻織物の多くはリネンまたはラミーが主流になっています。
近年、人々の健康志向の高まりや地球の環境保護の観点から有効な植物として、海外では大麻が見直されつつあります。 大麻は、極端な温度変化を伴う土地(南極、北極、湿地帯など)以外は栽培が可能で少量の水で育つため痩せた土地でも栽培でき、成長が早く丈夫で、除草剤、農薬や化学肥料も必要もありません。
サステナブル素材として、大麻(ヘンプ)が下記のように注目されています。
◉農薬・化学肥料が不要 であり、ヘンプは害虫に強く、栽培時に農薬・化学肥料を使用する一切必要がありません。
◉成長が早く、雑草よりも早く成長するため除草剤を使う必要がありません。
◉土壌が改良される
◉不良土でも育つ
年間降水量100~200ミリの土地でも栽培でき、ヘンプは少しの水で育ちます。
そのため、用途がなく放棄されてきた土地の有効活用にもなると、世界的に、ヘンプ栽培がおこなわれています。
◉あらゆる土地で栽培可能
冷帯から温帯、熱帯まで、痩せた土地から肥沃な土地まで幅広い土地で栽培ができます。
日本古代から連綿と続く大切で重要な文化が台無しにされています。悪用を防止しながら一刻も早く古来からの日本文化の復活のために日本大麻の解禁が望まれます。
皆さんも日本古来の重要な産物であり、未来へ向けても重要な素材のヘンプの一刻も早い解禁へ賛同よろしくお願いします。