徳川美術館開館90周年記念 初音の調度 | foo-d 風土

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とし月を

  まつにひかれて

   ふる人に

 

  けふ鶯の

   初音きかせよ

 

   源氏物語』 第二十三帖「初音より

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徳川美術館開館90周年記念 特別展 

 国宝 初音の調度 2025.04.12 (土)~2025.06.08 (日)

 

 私が初めて初音の調度を観たのはいつだったろうか おそらく40年も前ではなかろうか、そのあまりにも豪華で繊細で緻密な工芸の数々に驚いた思い出があります。

 と、書いてから、その時に購入した初音の調度の図録を思い出して取り出してみました。

 やはりそれは40年前、徳川美術館開館50周年の1985年(昭和60年)に発行されていた初版でした。その後も数年に一度位徳川美術館には行っていて、初音の調度も数回拝見しています。 そして今回また、復習も兼ねて行ってきました。

 国宝「初音の調度」は寛永16年(1639)、三代将軍家光の長女・千代姫が、三歳で尾張徳川家ニ代光友に嫁ぐ際の婚礼調度として誂えられました。 その豪華さは一日中見ていても飽きることがないと称えられて「日暮らしの調度」とも異称された程でした。それは、徳川美術館の1万件あまりの所蔵品の中でも一際、輝きを放つ、世界に誇る不朽の名品です。逸失の危機を乗り越え、計70件が一括で伝わる、江戸時代を代表する蒔絵の名品であり全品が国宝で日本漆工史上の最高傑作の一つといわれ、婚礼調度の歴史や形式を知る上でも不可欠な資料である。

この黄金に輝く精緻で豪華な大名婚礼調度、国宝「初音の調度」を全点一挙に公開されています。

テキストの画像のようです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「初音」とは

その年、その季節の最初の鳴き声。特に、鶯 (うぐいす) の鳴き声をいいます。

初音の調度は、

『源氏物語』 第二十三帖「初音(はつね)」の下記の情景を題材としたものです。

 新装なった六条院は、初春の陽にはえて、たとえようもなく美しい。正月元旦の夕方、光源氏は紫の上の六条院に来て新年の賀を述べる。そして、明石の姫君を訪ねると、ちょうど子の日にあたるので、童たちは庭の築山で小松を引いて遊んでいる。

部屋には母である明石の上より贈られた正月の祝物の、五葉の松枝にとまる鶯の作り物や鬚籠(ひげこ)・破子(わりご)が置かれ、それには

年月をまつにひかれてふる人に けふうぐひすの初音きかせよ

(現代訳= 長い年月、あなたにひかれて過ごして参りました。新年の今日、うぐいすの初音-初便りをお聞かせくださいまし)

という明石の上の詠んだ歌が添えられていた。

 源氏はわが子の便りをまちこがれる母の思いや、親子が離れ離れに暮す心情を不憫に思い、 硯をとり出して早速、姫君にお返事をしたためさせます。

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 使われているのは純度98%もの金粉や銀など高品質な素材が用いられていることや、質の高い木材が使われており、紅の綺麗な紅珊瑚も当時は良い色はアジアには無くて、ヨーロッパから取り寄せたそうです。

 この和歌の文字も蒔絵の中に一文字づつそっと入れてありますから、作品の中をよく探すと文字が見つかります。結構わかりにくいので探す楽しみもあります。

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 初音の調度の作者は、蒔絵を幸阿弥長重、書を梶井宮円融院(三千院門跡慈胤法親王)、金銀の彫金は後藤顕乗、 全体の意匠を岩佐又兵衛と、当時最高の芸術家達の名前が伝えられています。