もう1ヶ月も前のことですが、パラミタミュージアムで「棟方志功展」を見て翌日「陶芸空間 虹の泉」にいく計画で三重県へ。
夜は津か松阪どちらかで泊まり美味しいものを食べようと考え、
普段フレンチレストラン等に行ってもメインはその多くがビーフで、似たり寄ったりの味で飽きてきたというか つまらないので鹿肉やジビエに変更していただいていますが、久しぶりにサラッと綺麗な味の牛肉を食べようと、松坂に泊まることにしました。
松阪というと松阪牛が有名ですが、本居宣長旧宅(鈴屋)松阪城址 御城番屋敷(江戸時代の武士の家の町並み)など静かにしっぽりと江戸風情や古き良き歴史が探索できる良い街です。
この松阪には何度も行っていて、様々な思い出がありましたがその一つ。
大昔、バブルの時代。 大学を出て実家で父の染織を継ぐ予定でしたが、数年名古屋にいることになり、たまたまチェーンストアに入社してレディス担当として店舗に配属。 様々新企画を立てて実践してきましたが、四年目、26歳で本社のレディス部カットソーとブラウス・ジャケットのアシスタントバイヤーになりましたが、1年後、驚愕の事が起きたのです。
大勢の諸先輩を抜き去り、年間100億円以上も仕入れ権限があるレディスのカットソーとブラウス・ジャケット専門のチーフバイヤーに抜擢されてしまいました。
そして、この部署でチーフバイヤーとして私よりも数倍経験も知識もある年上のベテラン先輩バイヤーが2人も私の部下となり、昨日まで上司のようだった大先輩と三人でチームを作るのです。
先輩方は大ショックでしょうし、私の方は驚愕のみ!先輩には申し訳ないような感じですが、辞令が下りた以上
これはもうどうのこうのと言うより、なんとしても1日も早く先輩を越えねばなりませんし、知らないということは許されません。誰よりも早く業界一の専門知識と実践を覚えていくしかありません。そして常にどこよりも良い商品でどこよりも売り上げ利益を上げ続けなければいけません。
毎日脇目も振らず休みも取らず夜遅くまで世界のファッション情報から店舗情報、業界情報、商品知識、ガムシャラに身につけて行ったそんな時代のことです。
松阪に取引先の縫製工場があり、商談で何度か松阪に来るようになりました。
当時松坂にいつも一緒に行っていた取引先の社長は、新聞で毎日の綿相場のチェック、綿から糸値、編み立て、生地の地の目、網目の本数、縫製等、生地の見方から製品までについて、いつもどうやったら最高のものを最も安く作れるかを生産者以上に毎回徹底的に教え込んでくださいました。ここまで深い内容のわかる者は自社にはいませんでしたから、本当に勉強になりました。とても冷静でシビアな方でビジネスにはとても厳しく、専門知識の重要な恩師の一人でした。このような業界でも本当に詳しい本物のプロの方達から熱心に専門知識を教えていただけ深いアパレル人生を送れたことに感謝しています。
さて、時間をフルに使い充実した仕事の後の松阪は、やはり肉ですね。
「しっかり働いた日の夜は常に最高に旨いものでなければいけない。少々財布が軽くなってもそれが明日のパワーとなる」と、行くのはいつも松阪の金と銀。
和田金ですき焼き、牛銀で網焼きかすき焼きか、時々三松でステーキと、毎回この3軒だけを変えながら、いつも個室で仲居さんの焼く最高の松阪牛最高の勉強をさせていただいていました。
あれからもう何十年
松阪には仕事では行かなくなったのですが5、6年に一度くらいしか行っていませんが、今回は本当に久しぶり。
昔の習慣で、すき焼きなら、和田金か牛銀だけど、すき焼きなら和田金の方がなぜか微妙に美味しいと思うが、網焼きなら牛銀が良い。ステーキは三松だけど現在はステーキは他でもあるからなー。
和田金にするか牛銀にするか迷い、すき焼きはロース肉だし脂の甘さと砂糖も使うので甘いからお酒に合わせるには網焼きの方が良いな・・・でも網焼きはヒレ肉でもシャトーブリアンだろうからとても柔らかくサラッとして上品な味だから食べすぎてお代わりをしそうでお金が余分にいるかもしれない。
さて、和田金と牛銀どちらにしようか ちょっと迷った、 でも、牛銀で網焼きにしました。
タクシーで牛銀本店へ
昔と変わらない老舗旅館のような佇まい
靴を脱ぎ中居さんに案内され2階の奥座敷へ
かつて来ていた昔のまま 昭和から時間が止まった様な感じだ。
飲み物メニューを拝見
御酒(松阪城1合)
冷酒(鈴屋 300mu)
冷酒(半藏純米大吟酸 300ml)
冷酒(松阪城 本醸造本生720ml)
全て地元の酒だというのはとても良いと思いますが、高級肉を扱っている割にお酒の品揃えがちょっともの足りないね。
半蔵の純米大吟醸は華やかな香りとキレの良さで悪くはないが、
シャトーブリアンに合わせるのなら、もう少し旨みがサラッとした辛口で酸度が2.5以上の日本酒が欲しい。
その他純米無濾過で酸の効いたものとか、肉だから酸味の効いた日本酒、ワインならボルドーではなく、ブルゴーニュ。
酸味が効いた日本酒なら、ポン酢などもレモンも酢橘もいらないで、肉の素の旨さを楽しめるのです。
最初の一口はやはりビールだね
いつもの様に中居さんが肉も野菜も全て目の前で つきっきりで焼いてくださるが、
肉の焼き加減を聞かれて、最初の1枚はレアでお願いした。
ヒレ肉はシャトーブリアン
当然だが 良い感じに焼いてくださる。
程よく火の通ったシャトーブリアンは箸で持つと自重で千切れてしまいそうな柔らかさ
いい味だ。やはり網焼きがいい。
噛むとサッと切れ余分な脂がないさらっと上品な味。
"牛銀"特製と言われるポン酢がついてくるのだが、ポン酢もいいがそれより塩だけがいい。
時々大根おろしを乗せて。
2枚目はミディアムレアでお願いし、
中居さんは、なれたもの、上手な焼き方だ。
とても柔らかくサラッと美味しい
最後にご飯
三重県産のコシヒカリ
大粒でほんの少しアルデンテ
美味しいご飯。
柴漬けっぽいおしんこ
これが 美 味 しい
いい漬物だが、酸味がないから柴漬けじゃないね。
尋ねたら、晩菊という山形の漬物。
汁は椀を開けると赤だしに
麩がきちんと並んでいた。
ベトナムやラオスの山岳民族の刺繍によく似た柄がある。
様々な模様がそれぞれ意味を表していて、渦巻は過去や祖先から未来までを表し、平和や良い事があります様に
何かいい事
安っぽい赤出汁の嫌味でも若い赤出汁特有の角もない いい味で、結構美味しい。
しかし、赤出しは尾張徳川だが、ここ松阪は紀州徳川の飛地
尾張徳川と紀州徳川は犬猿の仲。
何故、松坂で赤出汁を出すのだろう?‥‥‥ 考えたがわからん。
中居さんに聞いたら、現当主が網焼きには赤出汁が合うと言って10年くらい前に赤出汁に変えられたとの事。
なんだ、こんなことか 歴史ではなかったのだ。
しかし、赤だしにはポリフェノールも豊富で、赤ワインに近い要素もあるので、肉臭さを洗う要素もあり、赤だしを選ばれたのは正解ですね。
久々に『美味い』と言える牛肉をいただきました。
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日本で牛肉を食べるようになったのは、みなさんご存知の通り、文明開花の牛鍋からですが、すき焼きは関東と関西では味が異なります。
関東のすき焼きは牛鍋からの流れで煮たもので、醤油・砂糖・みりん・酒・出汁で作った割り下を煮立たせてから野菜を入れ火を通しお肉を加えます
関西は焼くもので、鍋に牛脂を鍋にまわし、砂糖をパラパラと敷いて醤油をかけ、割り下は使わず、肉を焼き、そのあとに水分の多い野菜から入れ、煮えたところから食べていきます。
関東風は、すべての野菜と肉がわりしたとからまって全体がまろやかな味になった肉が美味しいです。
関西風は砂糖を敷いて醤油をかけるので、余分な味がなく、口に入れた時、割り下を使わないので最初に砂糖の甘さが舌に触るので関東より甘く感じますが、実際の甘さは関東よりちょっと甘い位です。焼く分 肉らしさは関西の方が強く、また、食べる時もまず最初に焼けた肉を食べてから野菜に移りますから、肉の旨みを楽しむには関西ですね。
すき焼きは中居さんが横で作ってくれるので、
僕は関西ですき焼きを食べる時は割下ではないので砂糖の量を調整できるので7分目位にお願いしています。
(中でも京都の三島亭は同じ関西でも他の店より砂糖の入れ方が多いような気もします)
しかし、良い肉は甘みもあるので砂糖を使うのがもったいない感じもします。















