リスク回避

小学生の頃の話。父が帰宅してこんな話をした。

当時コレラが小規模に流行していた。

外科部長、内科部長、薬剤部長である父が三人そろってコレラの原因と疑われているバナナを食べた。賭けだという。

この三人が揃っていれば、万が一の場合も何とかなるだろうというわけだ。

しかし、本当はそうではない。主要メンバーが万が一感染した場合は病院機能がとんでもないことになる。

各部長をみんな集めて賭けをするなんて、それはとんでもないことで、リスク回避の考え方からは間違っている。

およそこんなことを思いついたのはあの外科部長だろう。いたずら好きだからなあ。

そもそもコレラなんて薬でなんとかなるわけではなかったのに。

当日父はお土産のバナナを一房持って、無事に帰ってきた。「自分たちで食べてから何時間も経っているから大丈夫だよ」っていう。いやいや潜伏期間が数日あるだろうに。

まあ、それにしてもそれはそれで面白い話だ。

後で分かったことは、コレラはバナナと無関係だったようだ。

（代表：橋本　裕子）

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