薬指の克服（その１）

子どもの頃にピアノなどを習ったことがなく、大人になってからフルートを始めた人に共通の悩みがあります。

それは、薬指がうまく動かないことです。

特に、右手の薬指を上げながら小指を下ろす中音のレからミへの動作ができません。

左手は、常にGisキーを押さえておかなければならないキーシステムのフルートでなければ、小指と一緒に動かせるので、右手に比べれば動きやすいです。

なぜできないのか。
私が不器用なのか。
先天的な不具合なのか。

いろいろ調べてみると、解剖学に答えがありました。

薬指が単独で動かないのは、特異体質ではなく、解剖学上当然のことで、むしろ子供の頃からピアノを習っているなどごく一部の人以外はできないのが普通だということが分かりました。

ためしに、手の力を抜いて、他の指は動かさずに一本の指だけを手の甲側に持ち上げてみます。

一番指の根元の関節だけを後ろに反らせるのです。

つまり、フルートのホールを開放する動作です。

そうすると、「人差し指」「小指」は簡単に持ち上がります。

「中指」は少し違和感があり、高く上げると人差し指と薬指も少し動きます。

ところが、他の指を動かさないで「薬指」だけを上げることは一般の人にはできないのです。

薬指と小指、あるいは、薬指と中指を一緒に上げれば何とか持ち上がります。

これをフルートを演奏する動作に当てはめてみると、中音のレからミに行く時に小指も一緒に上がろうとするためにフルートがぐらつきます。

小指を上げなければ、今度は中指が一緒に上がります。

だから、たとえば16分音符でドレミファと吹くと、レからミの間隔がどうしても短くなってしまうのです。

さて、かなり専門的になりますが、理由を知ることが克服への第一歩だと思いますので、正確に書いておこうと思います。

長くなりますので、次回以降、薬指が単独で持ち上がらない解剖学上の理由とフルートを吹くための克服法などに分けて書きたいと思います。

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