電波オデッセイ

著者: 永野 のりこ
タイトル: 電波オデッセイ 1 (1)
電波メガネ少年が美少女を追い掛け回す漫画を描き続けてきた永野のりこですが、この作品はちょっと違います。絶望の淵にいた中学生の原スミ子の前にある日、オデッセイという宇宙人が現れ、一年後に惑星に一緒に帰ろうと告げます。彼女は一年後の帰還に向けて素敵な思い出をたくさん作ろうと、ハチャメチャな行動をしだします。
作品中には、いろいろな痛みが散りばめられていて、読み手にザクザク刺さってきます。逃げ出すのか、目を背けるのか、立ち向かうのか、永野のりこの提示したものは、人とは旅人であり、人生はいつか帰るべき所へのオミヤゲ探しなのだ、ということでした。
前向きに生きようよ、なんて甘っちょろいことは口が裂けても云えない。それでもやっぱり、逃げ出すにしても、引き篭もるにしても、そこには前向きなものが欲しいのかなあ…。まだまだ今の私には消化できるような作品ではないのですが、心がグワグワンと揺り動かされる傑作ではありました。
ラスト1ページ、あれは凄い。
海がきこえる

タイトル: 海がきこえる
土佐弁を隠そうともしなかったその女性は、本当にひどい人でした。とても、付き合っているなんて云える状態ではなく、我が儘三昧、やりたい放題で僕を傷つけ、元々傷だらけだった彼女の心に新しい傷が付けば、同じ形の傷を僕にも付けようとしました。若すぎたのか、出会ってしまったと思いこんでいた僕はそれでも懸命に隣に居続けました。彼女の限界が超えてしまった時に、僕も初めて彼女を傷つけてしまい、僕等は別れました。
彼女を忘れかけた頃、レンタルしてきたアニメ「海がきこえる」を観ていると、懐かしい土佐弁が聞こえてきました。東京の少女と高知の少年の恋は、淡くハッピーエンドを迎えます。目一杯に日常を抱きしめた彼らの恋愛を見せつけられると、自分のそれとのあまりの違いに苦笑をしつつも、ひょっとしたらあの彼女も普通の日常を掴みたかっただけだったのではないかと、ぼんやり思えてくるのです。
なーんて、おおよそをフィクションでお送りしましたが、とにかくジブリでは一番心に残っている作品ですねえ。氷室冴子の原作も素晴らしかったですが、このアニメ作品の方が疾走感があり、ダイレクトに響きました。
ちなみに、宮崎駿はこの作品があまり好きではないみたいですね。ヒロインはトイレなんかに行くべきでない、とかなんとか。なるほど、確かにシータはトイレには行きませんよね…。
カリフォルニアの炎

著者: ドン ウィンズロウ, Don Winslow, 東江 一紀
タイトル: カリフォルニアの炎
「ストリート・キッズ」の著者、ドン・ウィンズロウによる、火災保険調査員がスーパーマンのように活躍する物語。
消防学校での火事講座は、「ストリート・キッズ」の探偵講座に通じる面白さがあったり、妙にデカくなる話のスケールなど、相変わらずのウィンズロウ、安心の心躍る一冊でした。
ただ、この本の最大の読み所は、翻訳者、東江一紀のあとがきにあります。角川文庫のあとがきで、創元推理の「ニール・ケアリー」シリーズの翻訳の遅さの言い訳を始めるなんて、なんて素敵な人なんでしょう。ここまでされたら仕様がない、許してやろうじゃないか。
ストリート・キッズ

著者: ドン ウィンズロウ, Don Winslow, 東江 一紀
タイトル: ストリート・キッズ
路上の少年だったニールは探偵のグレアムに拾われ、探偵のイロハを叩き込まれます。一人前になったニールは、ナイーブな心を隠すへらず口を武器に、家出少女の捜索を請け負います。簡単な仕事のはずが、事態は二転三転と…。
ニール、片腕の探偵グレアム、上司のレヴァインと非常に個性的な面々のぶつかり合いを、軽快な会話のテンポで進めていきます。どんなときでも挟まれるニールの軽口がアクセントになっているんですね。
グレアムの探偵講座も読んでいてワクワクさせるものです。ニールが一つ一つ習っていくんですが、これがとてもタメになるんです。尾行の仕方なんて、実生活でも有効でした(笑)。
シリーズは、今のところ3作目まで出ています。3作目の「高く孤独な道を行け」が出版されてから5年近く経ってます、原書の方は全5作とっくに出て完結してるというのに…。
このシリーズの魅力の一翼を担っているのは、間違いなく東江一紀の翻訳に依るところが大きいです。非常に面白い翻訳なんですが、いかんせん仕事が遅い!早く次が読みたいです。。
赤灯えれじい (2)

著者: きら たかし
タイトル: 赤灯えれじい 2 (2)
大阪の凶暴女とへたれ男のラブコメ、2巻。ラブコメではリアリティを持たせていけばいくほどファンタジーになっていきますね。今のところはとても心地がいいのですが、ときとして作者が世界をひっくり返してしまうラブコメも多いですからねえ…できればこのままがラブコメ好きとしてはいいんですが。3巻は何かありそう。