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コーヒーもう一杯 (1)




山川 直人
コーヒーもう一杯(1)

 今回は「ビッグコミック」で連載20年目の山川直人の紹介です。

 なんていうのは大嘘で、「コミックビーム」のエンターブレインからなんですね。調べた限りですと、同人誌以外の刊行では4冊なのかな。今回は「口笛小曲集」との同時刊行でして、過去の2冊も、一冊は2年前でもう一冊は1991年、両方絶版です。
 つまり、ようやく日の目を浴びたというか、実質的な商業的スタートと云えそう。なんですが、それにしてはすごい漫画でした。

 非常に高い比率でデフォルメされたキャラと、圧倒的な網掛けの表現。内容は、毎回コーヒーを絡めた喪失や小さな幸せのオムニバスでして、崩れようがないほど安定しています。特に諦観を持った喪失に良い切れ味があって、もの悲しくさせてくれます。

 本当に熟達していて、「ビッグコミック」のベテランみたいなんですよね(笑)。また全てを追いかけていきたい漫画家が増えてしまいました。
 けど、同人誌(自費出版物)が相当数出ていて、その殆どが品切れなんですよねえ。探し回るにしても、お金掛かりそうですよ…。

生意気な人

overture


 今年の夏期休暇こそスペインに行こう、と毎年云いながら貯金ゼロ。

 妹が夏休みということで一緒に暮らしているのですが、この前私のパソコンで絵を描いてたので覗いてみると、めった上手いのです。
 負けじと私も描いていたら、妹が、
「お兄ちゃん、人物のバストアップばかり描いていても上達はしませんよ」
などとおっしゃるので、
「そうですね、背景も描いてみますよ」
と、描いてみましたが、下手すぎる。。
 背景って線もさることながら、色が難しい…。時間かけないと駄目っぽいですねえ、大変だ。

 素麺はいい加減食べ飽きてきたのですが、暑いとまた素麺になりそう。。

トランスルーセント ―彼女は半透明 (1)





岡本 一広
トランスルーセント 1巻―彼女は半透明 (1)

 体が徐々に透明になるという病気になってしまった中学生の白山しずかと、同級生の唯見マモル、そして二人を囲む人たちの日常の物語。

 この透明病というのはすでに社会的には認知されてはいるが謎も多い病気で、毎回その病気を巡って悩むしずかと励ますマモル、というパターンなのですが、別段この病気ばかりにクローズアップしていかないところが凄いところかと。
 体が透明と云うことを設定的な奇抜さや絵的な面白さで留まらせて、しずかを支える周りの人たちとの関わり合いに話の中心を持っていくところがとても良いのです。
 特にマモルの、悩みを軽々と飛び越えていく明るさと、しずかにかける言葉のなんという優しさ。本当の元気を分けてくれる漫画ではないでしょうか。

 岡本一広は10年前の四季賞なんですねえ。掲載誌の「コミックフラッパー」ってなんだっけと思ったら、「アトリ抄」や「アガペ」と一緒なんですね、妙に納得。
 来週にもう2巻が。これはかなりの期待を持って待ちますよっ。

白鳥異伝





荻原 規子
白鳥異伝

 双子のように育てられた遠子(とおこ)と小倶那(おぐな)。必ず遠子の元に帰ってくると約束し、小倶那は都に出る。しかし数年後、小倶那は「鏡の剣」の主として、遠子の国を焼き滅ぼしてしまった。
 遠子は小倶那を殺すことを胸に誓い、剣を滅ぼす勾玉を探す旅に出る。様々な人と出会い成長する遠子。
 そして遂に、二人は再会した…!

 もうストーリーに関しては云うことがないぐらいです。あらすじを書いてる最中から胸が詰まって涙ぐむ始末。。
 少年と少女が出逢う物語として、ここまで昇華したものはないのではないでしょうか。遠子の強さ、明るさ、弱さ。小倶那の繊細な心、勇気。人々の息吹がしっかりと感じられる世界の中で二人が翻弄され結びついていく様子は、まさしく王道であり、その輝きはすごいものでした。

 一つの壮大な物語を、始まりから終わりまでを丹念に書かれています。これだけの物語を一切の省略もなく描ききるということに荻原規子の登場人物たちへの愛、そしてこの世界への愛を感じるのです。
 叙事を丁寧に積み重ねていき、残るものは叙情。それこそが本当の物語の姿だと教えてくれる一冊でした。

花の名前





斎藤 けん
花の名前

 高校一年の冬、水島蝶子は両親を事故で失う。蝶子は親戚の家をたらい回しにされた末に、十二歳年上の従兄弟、水島京(けい)に預けられる。深く落ち込み喋ることも出来なかった蝶子は、ぶっきらぼうな京との暮らしの中で次第に明るさを取り戻していく。そして、二人の間にも花が咲くようにゆっくりと愛情が芽生えていった…。

 すでに立ち直り、明るくなった蝶子からの物語なので、影を落とすようなシーンはなく、最初から暖かく進んでいくのがとても心地いいですね。
 蝶子と京が相互補完のように優しさを与えあっているのも、物語として響きました。優しい関係であるのですね。
 
 正直、読んでいたときは、絵的には羽海野チカのデビュー作と云われても分からないかもと思いましたし、ストーリーもあまりに完結した、広がりのない世界にも感じました。
 でも、絵は私もそんなに少女漫画を追いかけているわけではないので分かりませんし、ストーリーもまだ連載中ということでこれからの広がりに期待できますしね。

 何を置いてもですね、蝶子が可愛すぎるんですよ! 「可愛い」なんて言葉では生ぬるいほど可愛い。てゆーか、欲しい(危)。
 京の方も、ボサボサの頭、眼鏡、しまいには小説家だなんて、ツボすぎる…。こっちも欲しい(さらに危)。
 この二人のキャラだけで全部オッケーなんですなあ(笑)。読む人によっては甘すぎるでしょうけど、私の乙女回路がフル稼働してしまう作品でありました。