ひかりのまち

浅野 いにお
ひかりのまち
新興住宅地を舞台にした連作オムニバスでして、脇役で出てくる人物が次の話の主役になっていくという形です。
他人の自殺を手伝う少年も、かつてストーカーに殺されかけた少女も、自分の街を取り戻したいチンピラも、登場人物は解放と幸せを探すことに必死。必死なんですが、最後は諦めながら何かをすこし掴んだりそうではなかったり。。
若い漫画家、つまり作者が登場するのですが、残酷なほどの傍観者、安全地帯にいるんですよね。この突き放した冷たさが、ゾクッときて堪らなかったりもします。
この登場人物がリレーしていくという、主観と客観がどんどん入れ替わっていく手法にしては、立場の対比がすこし弱いんですよね。それに最終話がストーリーのフォロー的立場として入っているのですが、これは蛇足だったかも。もう少し自信を持って終わっても大丈夫だったはずです。
でも、特殊な感性や境遇を出来る限りの一般性を持って描き出す、なかなか力強い一冊。次作がとても楽しみです。
蛇を踏む

川上 弘美
蛇を踏む
ヒワ子は蛇を踏んでしまった。すると蛇は女の姿に変わり、「あなたのお母さんよ」と云い、部屋に居着くようになってしまった。第115回芥川賞受賞。
作中の女性には誰でも内に蛇を飼っていて、それは自分自身をきつく縛り付け、寛容に溶けさせ、導き、突き落としていきます。
別段それは、例えば、昔の男だったり、仕事だったり、幼少の頃に自分を捨てた父親だったりと云った特別なことではなく、何でもいい、どうでもいいことなんですよね。執拗に誘い込もうとする蛇の向こう側に何もないと分かっていて、それでも藻掻くことが、女性ということなのでしょうか。
いや、いちいち読み手側の事象に代替していくこと自体、無意味なのかも。こちら側が寓話になってしまう寓話、が一番しっくりくる感じです。
ヒワ子が勤めている店の夫人の言葉を引用します。
コスガのことだってずいぶん好きだったわ。でもコスガはあんまりあたしのことが好きじゃないのよね。好きが裏返って嫌いになってまた裏返って好きになってあと三回くらい裏返ってそれですこし嫌いなのよね。でもそういう嫌いの中には好きがまだらにまぶされているからコスガはすごく気分が悪いんだわ。だから寝てばっかりいるのよ。
禍福は糾える縄のごとし、とは云いますが、これほど男性のことを正鵠を得て表した言葉を私はほかに知りません。
川上弘美が恐ろしい、これだから女性は恐ろしい。だから男たる私は、今日もいぎたなく眠るしかないのです。
LOCK,STOCK & TWO SMOKING BARRELS
知り合いの女性がいきなり、
「ついにBLの神様が見えるようになってきた」
なんて、ぶちかましてきたので、
「それ、ただのハルオミズノだろ」
などと返しながらも、私は百合唯一神を信じているのでした。
「はやて×ブレード」がお気に入りですが、「少女セクト」を握りしめていたりもします。
イラストの左側の女性は、「アフロが曲がっていてよ」と云っています。
今週の「交響詩篇エウレカセブン」は素晴らしかったですねえ。やっと手が繋がるシーンには、ぐはっと感涙。タルホが前髪を息でどかす仕草にも感動したり。
ここ1ヶ月ぐらいの、主にホランドが与えていたストレスは、確かに開放感には必要なことでしたが、あまりに執拗でしたよね。不動GENを見習えっ、って何度叫んだか…。
後期は、スカッといって欲しいですね。ストレスには常習性もあるにはあるのですけれど。。

林家 志弦
はやて×ブレード 3 (3)

玄鉄絢
少女セクト
「ついにBLの神様が見えるようになってきた」
なんて、ぶちかましてきたので、
「それ、ただのハルオミズノだろ」
などと返しながらも、私は百合唯一神を信じているのでした。
「はやて×ブレード」がお気に入りですが、「少女セクト」を握りしめていたりもします。
イラストの左側の女性は、「アフロが曲がっていてよ」と云っています。
今週の「交響詩篇エウレカセブン」は素晴らしかったですねえ。やっと手が繋がるシーンには、ぐはっと感涙。タルホが前髪を息でどかす仕草にも感動したり。
ここ1ヶ月ぐらいの、主にホランドが与えていたストレスは、確かに開放感には必要なことでしたが、あまりに執拗でしたよね。不動GENを見習えっ、って何度叫んだか…。
後期は、スカッといって欲しいですね。ストレスには常習性もあるにはあるのですけれど。。

林家 志弦
はやて×ブレード 3 (3)

玄鉄絢
少女セクト
わたしたちの田村くん

竹宮 ゆゆこ
わたしたちの田村くん
栄養補給といいますか、枯れた生活を送っている私にとってはラブコメ分を十分に補えた作品でありました。
不思議系美少女とクール系美少女の間で揺れ動く田村くん、とまあ、とてもわかりやすいストーリーなのですが、シンプル、定番というのも作者の云いたいことを純化させていきますから、これでいいのでしょうね。悶え転がりましたし。
初恋を知らない中学生には毒になりうるかも。過剰な妄想が原因となってその後の数年間が暗転してしまいますから。。
私はですね。この作品は全2巻なのですが、アマゾンの画像を選ぶ際も、どっちの二人のほうが可愛いかなあ、えへへ、なんていってしまう始末。
手遅れでした。
番外編に出てくる女の子のネット上のハンドルネームが「涙夜」っていうのは笑いましたねえ。数年前に妹のハンドルネームを思わず知ってしまって、ひっくり返ったのを思い出しましたよ…。
自分もラブコメ大好き連合に加わりたいと思っていらっしゃる方には、非常にお勧めです。
物語が、始まる

川上 弘美
物語が、始まる
私は公園で「雛型」を拾った。世話をしてみると、雛型はどんどん成長していった。そしていつしか、私は雛型との恋に落ちていた。
表題作「物語が、始まる」ほか、3編収録の短編集。
雛型とは人形のことで、最初は子供であった雛型も世話をすることで大人の男になっていきます。自我も芽生えはするのですが、基本的にはとことん従順で、たまに与えられるストレスも含めて、理想の男として描かれています。
物語が示唆しているのは、重ねた時間の長さや、ずっと一緒いても心地がいい素直さ、そしてたまにはビックリさせられたりと、恋愛の普遍的なことなんですよね。
すごいと思うのは、これを書いてしまう川上弘美でしょうか。なかなかの欲望が透けて見えて、私なんかは恥ずかしくなってしまったのですが、それにつけて川上弘美は度胸が据わっている人なんだなと思えるのです。
もしこの男女の立場が逆だったら、途端に下世話になるような気がするのは私だけでしょうかねえ。もうそこにはテーマはなく、直情的な欲望のみに感じてしまうのですが。
これが日本の創作の歴史のせいなのか、私の変態的な妄想のせいなのかは分かりませんが…。
