おおきく振りかぶって (6)

ひぐち アサ
おおきく振りかぶって Vol.6 (6)
5巻の感想へのリンク
この6巻でも5巻同様、めった丁寧に試合をなぞっていくのですが、読んでいて異常に緊張が伝染してきて本当に震えてしまいました。
その原因はというと、描写の丁寧さは当然として、感情の順番が計算され尽くされているんですね。
この漫画は一球ごとに、投手、捕手、打者、野手、観客、監督とそれぞれの立場の心情、予測から展開されていくのですが、その予測に対しての結果が当たりと外れを目まぐるしく割り振っていくので、落ち着いて読んでいられないのです。。
相手打者の二球連続の予測の描写、当たりと外れ、相手監督の動揺、阿部の事後予測、モモカンの総括、続けて次の一球へのモモカンの予測の描写…、こんなテンポで繰り返されるものですから、彼らの緊張が移って震えてしまうのは当然、たまらん面白さです。
三橋の「ビクビクっ」は性的興奮の表れで、それは相手の立場との倒置による潜在的サディストだったら相当面白いキャラクタだなあ、となんとなく思ったり。
そんな変態思考は置いておいても、今巻もほんと面白かった~。7巻は決着付くかな、こんなテンポで甲子園決勝まで行ったら、私はぶっ倒れてしまいます。。
for Algernon
やっとまともな睡眠時間がとれる日々になれそうです。私は睡眠がずっと足りない状態で暮らしていると、一人で電車などの空間に閉じこめられると左腕が痺れて汗びっしょりになるのですが、これは病気なんでしょうかね…。
来週で「交響詩篇エウレカセブン」が最終回ですねえ。ラストシーンのレントンは笑っていて欲しいな。
あとは、「ノエイン もうひとりの君へ」がとても楽しみ。モチーフ、ストーリー、アニメのアイデア、すべてから凄みを感じます。こちらもラストでは是非とも笑っていて欲しい。それにしてもユウは、ろくでもない自分の未来像ばかり見せつけられて、本当にかわいそう。。
この4月でようやく、贖罪といいますか、私の役目は終わりとなりそう。君はきっとこれからもなにがしかを掴んでいけるでしょう。それこそが私の生まれた意味であると思っていますし、あとはずっと意味がある日々なのだと思うと、とてもとても晴れやかな気分です。
すずめすずなり (2)

秋山 はる
すずめすずなり 2 (2)
橋本修二郎(26歳)の引っ越した先は、駅からも近い木造アパート「コーポ白百合」。家賃も格安なのだがひとつだけ入居条件があった。それは「毎朝6時半に住民全員が揃って朝食をとること」。
個性的な住民との生活を送るなか、大家の中学二年生の娘、多恵子は橋本にほのかな恋心を。そして、橋本は絶望的なほどのニブチンなのであった…。
1巻を読んだ限りですとコーポ白百合を中心にした住民たちの変わらない日常を描いていくのかなあと思っていましたら、2巻からはみんなの感情の暴走から行動も暴走していって話をどんどん動かしていっちゃうんですね。
それに従って話もクローズアップしていってしまうのですが、それでも登場人物全員がそれぞれ役割を発揮しているんですよね。もうみんなが愛おしく、可笑しすぎる!
もう、多恵子が可愛すぎるんですよ。初恋を持て余してのオタオタっぷりが本当に可愛い。その描写も微に入り細を穿っていて、作者はよくもこんな感情を覚えているなあと変に感心したり。多恵子の顔や体型もいかにもって表現が絶妙すぎて、たまらなかった。。
次巻はたぶん、5月頃かな。指折り数えて待ちますよ、マジで楽しみだぁ。
クドリャフカの順番―「十文字」事件

米澤 穂信
クドリャフカの順番―「十文字」事件
「氷菓」の感想へのリンク
米澤穂信の古典部シリーズ3作目です。物語の展開などは「氷菓」と同じ構成なのですが、今回は古典部員4人の視点から語ることで、物語の世界を少しだけ解き明かしてゆきます。
視点が分かれるということは、それぞれの心の内が明かされるということで、今までは言動でしか分からなかったいろいろなことが見えてきて、シリーズモノの読者としてはこれは嬉しいことですよね。
特に奉太郎の親友、福部里志の視点はとても興味深くて、いつも笑顔で皮肉混じりだった彼の心の内にかすかな奉太郎への嫉妬があったというのは、よく考えれば十分ありえるなあとは思えるのですが、それでもやっぱりちょっとした驚き。里志もそんな自分の思わぬ心情に驚くのが微笑ましいですし、そっとフォローを入れる同じ古典部員の伊原摩耶花の優しさがまた温かくていい。
持たざる者の嫉妬という里志の視点は、そのまま事件の謎解きに繋がっていくんですね。私も何かを持っている者はその期待に応えなければいけないと思いますよ…。
最後に、こんなことを云ってはこの作品世界をぶち壊してしまうのは重々承知なのですが、もうちょっとラブコメ分増量でもいいんじゃないですかね。。
一瞬の光

白石 一文
一瞬の光
38歳で日本トップ企業の人事課長になったエリート、橋田浩介。彼はとあるトラブルから中平香折という女子大生と知り合う。
過酷な仕事にずっと忙殺されてきた橋田は、そんな日々に疑問を持ち始めていた。香折はその生い立ちに重大な秘密を抱えていた。そしていつしか二人は、その魂を苛烈に惹きあわせていく…。
橋田の、まるで噴火する直前の氷河のようなキャラクタも興味深いのですが、なんといっても香折のパーソナリティが強烈。彼女の持っている未熟さや成熟した一面が表裏なく連続的に露出しつづけるんですね。
香折の出現によって橋田が気付かされるものは、男女のことや幸せといった観念的で単純なものではなく、生の意味そのものです。ただ、本当に苛烈な物語ですので、悲劇や喜劇といった枠組みは吹っ飛び、意味だけが残ったという感じですので、やはり読書には答えを求めてしまう私にとっては、読後は何とも云えず呆然としてしまいました。
橋田と香折の純愛ものとして当然読めるのですが、なぜか読んでいる最中はずっと恐怖を感じていました。確かに香折の特異性が橋田のエリートとしての立場を少しずつ壊していくという怖さがあるのですが、なんかそれとは違う怖さなんですよね。
で、終盤までずっと分からなかったのですが、それは香折の愛情がホラーの手法で描かれているからなんですね。じわりと常に感じながらも、突発的に現れる愛情。これは白石一文の力量からくる確かな狙いですし、本作の最大の魅力になっているのです。
確かに物語や文章は荒削りなのですが、なんといってもこの作品の持っている熱量が凄く、ページをめくる手を止めさせません。
それにしても登場人物に対してよくこれだけの苛烈な運命を背負わせたものです、救えなくて申し訳ないと感情移入しまくり、半日はずーんと沈んでいました…。
