困惑
諸事情で遅れたが、やっと先日の彼女に断りのメールを入れた。
電話で詫びを入れようかとも思ったが、横着をしてしまった。
夜半に彼女から電話がきた。
迷ったが、きっと電話をくれることに勇気を振り絞ってくれた彼女に敬意を表し、正直な気持ちを伝えた。
彼女からは意外な言葉が返ってきた。
曰く、自分に興味がないのなら1回だけ花見に連れて行け、あのコに義理立てするのなら割り切った自分のほうが今の俺にはお似合いだ、と。
薄々気づいてはいたものの、いや気づかぬようにしていたのかもしれないが、かつての憧れの彼女がそんな言葉を発したことに戸惑った。
彼女の言葉は正しいのだろう。俺があのコに義理立てしているのではなく、あのコと一緒にいたいと強く願っているということを除いては・・・。
俺は迷った挙句、興味がないと伝えた・・・。
彼女はわかった、と言った後、無理をしているのかもしれない明るい声で、都合のいい日付を連絡するとだけ言い残し、電話を切った。
ものすごく切なくなった。
これでよかったのか、答えは見つからないが、後味の悪さだけが俺の心を覆っていく・・・。
またあのコの笑顔が見たくなった・・・。
あの娘に会いたい by ウルフルズ
本意
日中にもかかわらず1通のメールが届いた。
かつて憧れていた彼女からだった。
再来週あたりの花見のお誘いだ。
きっと以前(といってももう半年ほど経つが・・・)会った時に言っていた彼氏と上手くいっていないのだろう。
もしかしたらその次の男か?
さてどうするか?
よくよく考えてみると、今年に入ってからあのコ以外とデートしていない。
かといって窮屈なわけではなく、かえって心地よいくらいだ。
恐らく彼女と一緒に行っても俺の脳裏に浮かぶのは、同じ話をしたときのあのコのリアクションであり、あのコのいつもの仕草を思い出すだけだろう。
この状況で彼女と出かけても楽しめるはずもない・・・。
今の俺にとってはあのコ以外とのデートは意味をなさないのだろう。
3秒で答えが出た。
明日にでも丁重なお断りを入れよう。
シェリー by 尾崎豊
両瞼
旧友からの電話で目が覚めた。
ゴールデンウィークの予定を合わせ、毎年通りみんなで集まろうとの誘いだった。
思えばやつらと出会ってから30年が過ぎ、みんなで集まるようになってからも20年が経った。
長い年月の中、俺たちにも色々なことがあった。
今日電話をくれたヤツに至っては、俺がかつて本気で付き合い、結婚まで考えていた彼女に振られた3日後に、まだ傷の癒えていない俺に向かって
その彼女のことが好きだ
とぬかしやがった。
さらに3日後にはやはり心の傷を負ったヤツの姿が・・・。
そんな出来事があったのもGW頃だった・・・。
今年もまたあの季節は巡って、俺の周りにはヤツらがいて、目を閉じるとあの頃のままの彼女の笑顔が浮かぶことだろう・・・。
春夏秋冬 by 泉谷しげる