いい子を演じる枠 | 読書セラピー(幸せのページ)

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木に吹いた風が緑色になるように
花に吹いた風が芳香を運ぶように
風に言葉を託して届けます。

“わかってもらいたい”
という気持ちと
“ひどいじゃないお母さん”
という2つの気持ちが
あるのに気づいたTさん。

そこで意を決し
お母さんに思いを
伝えることにー

“お母さん、小さい頃から
たくさん話したかったけど
お母さんはいつも
忙しくしていたよね。
だから話せなくなって
だんだんお母さんが
怖くなったよ・・・”

「話をしていると
私の体験は
母の小さい頃の体験と
重なるところがあり
なんとなく
わかってくれたみたい。

母も(小さい頃)
祖母に預けられ
寂しい思いを
したらしいんです。

それを思い出したのでしょう。
『どうしたらいい?』
と訊くので
私は『もうムリしたくない』
と答えました。

どこまで理解されたか
分かりませんが
自分ではうまく
言えたと思います」

生き延びるため
おとなしい
いい子でいようと決め
自らはめた「枠」。

Tさんはその枠を外し
穏やかに恨みを伝えたことで
ずっと心に詰まっていた
重い気持ちを流しました。

出典:『新しく生きる 今の自分でいい、そのままでいい』(高橋和巳、三五館、pp.100-101)