希穂さんが
幼稚園生だった頃の話です。
お母さんのお腹の内に
小さな命が宿りました。
3つ年下の男の子。
彼女はそれを知ってから、
嬉しくて嬉しくて
今か今かと
弟の誕生を待ちわびました。
ところが、流産という結果にー
「どうして産まれないの!
ママなんて嫌い!」
まだ幼かった希穂さんは
現実を受け容れることができず
お母さんを責めました。
彼女なりに傷ついたのでしょう。
数年経っても
悲しみは癒えません。
そんなある日
9歳になった希穂さんが
近所の公園で一人遊びを
していたときのこと。
背後から「おねいちゃーん!」
という声が聞こえてきました。
振り返った先には
小さな男の子が一人立っています。
「どうしたの?
迷子になっちゃったのかな?」
「迷子じゃないよ
おねいちゃんに会いに来たの」
坊やはそう言って
彼女の元に駆け寄り
いっしょに砂遊びを始めます。
名前は訊いても教えてくれません。
ただ、「6歳だよ」と年は
教えてくれました。
(もし、私に弟がいたら
こんな感じかな?)
ブランコや滑り台など
一通り遊んだ後
突然、「もう帰らなきゃ!」と
何かを思い出したように
立ち上がった男の子。
「うん、もう日が沈むもんね。
私も帰るね」
名残惜しかったけど
二人はバイバイしました。
「おねいちゃん
いつも僕のことを想ってくれて
ありがとう。
おねいちゃんの弟に
なれて良かった!」
その子の叫び声が聞こえたとき
驚いて振り返った希穂さん。
しかし、すでに彼の姿は
消えていました。
“いつまで経っても
気持ちの整理が
できない私を心配した弟が
わざわざ遠い世界から
会いに来てくれたのかもしれない”
初めて逢う姉と弟の
つかの間のふれあい・・・
あの日の出来事は一生忘れられない
大切な思い出として
いまも希穂さんの心の内に
生き続けています。
出典:『人間っていいな!』(「感動物語」編集部編、コスモトゥーワン、pp.161-163)
人に見られようが
見られまいが
自分らしく咲く人生を
送りたい・・・
・・・・・・
ある年の5月
所用のため山荘へ行った。
いつもは夏に行っていたので
5月は初めて。
約500メートルの山道を上がり
我が家へ入った。
と、思いがけず赤いものが。
(あッ、源平ウツギ・・・・)
前に知人が来て
植えていった源平ウツギが
名前通り、赤と白の花を
咲かせている。
おそらく、それまでどの年も
毎春、花を咲かせていただろう。
けれど、私が行くのは
夏だから花を見たことは
一度もなかった。
この庭には花と緑がないと
思い込んでいた。
源平ウツギは誰もいない庭で
風にも負けず
凍てにも負けず
季節のめぐりに
したがって無心に
花を咲かせていたのだ。
そのウツギの健気さに
胸を打たれた。
花は人に見られようとして
咲くわけではない。
自分自身のために咲く。
人が愛でようが愛でまいが
誰もいない庭でひとり咲いて
ひとり散っていった。
これこそ、まことの花の
まことの咲きようであった。
『女の背ぼね』
見られまいが
自分らしく咲く人生を
送りたい・・・
・・・・・・
ある年の5月
所用のため山荘へ行った。
いつもは夏に行っていたので
5月は初めて。
約500メートルの山道を上がり
我が家へ入った。
と、思いがけず赤いものが。
(あッ、源平ウツギ・・・・)
前に知人が来て
植えていった源平ウツギが
名前通り、赤と白の花を
咲かせている。
おそらく、それまでどの年も
毎春、花を咲かせていただろう。
けれど、私が行くのは
夏だから花を見たことは
一度もなかった。
この庭には花と緑がないと
思い込んでいた。
源平ウツギは誰もいない庭で
風にも負けず
凍てにも負けず
季節のめぐりに
したがって無心に
花を咲かせていたのだ。
そのウツギの健気さに
胸を打たれた。
花は人に見られようとして
咲くわけではない。
自分自身のために咲く。
人が愛でようが愛でまいが
誰もいない庭でひとり咲いて
ひとり散っていった。
これこそ、まことの花の
まことの咲きようであった。
『女の背ぼね』
それから数年。
お母さん、明日
私はトニーという
素敵な男性と結婚するの。
結婚式、お母さんにも
出席してほしかったな。
一生の記念日こそ
お母さんの知恵と
祝福が欲しいよ・・・。
当日はよく晴れ
素晴らしい日になりました。
披露宴が終わった後
長年の友人マリリンが
号泣しながら近づき
言うにはー
「悲しくて泣いて
いるんじゃないのよ。
どうしても話して
おきたいことがあるの。
あなた、フォーシェーという
名前の人を知らない?」
「あっ、それ母の旧姓。
フランス語から来ているの。
でも、なぜ?」
「結婚式の間ね
あなたとトニーが不思議な光に
包まれて見えたの。
そこには、二人への愛に溢れた
誰かの存在があった。
あまりに美しい光景だったので
泣けてしまって・・・。
そのとき、しきりに
フォーシェーという
名前が浮かんできたのよ」
「・・・・・・」
「まだあるの。
私はあなたへのメッセージを
受け取ったのよ。
その不思議な存在が
こう伝えてほしいって。
『あなたはいつも
愛されています。
それを疑ってはいけません。
この愛は友人を通して
あなたに伝えられるでしょう』
って」
私はマリリンと泣きながら
抱き合った。
人は亡くなったからといって
愛による結びつきまで
なくなるわけではないと
確信できたから。
私はずっと愛されていた。
そしてこれからもずっと。
ありがとう、お母さん。
お母さんの愛を感じながら
生きられるようになったよ。
スザンヌ・トーマス・ローラー
おわり
出典:『こころのチキンスープ6』(ジャック・キャンフィールド、マーク・ビクターハンセン、ジェニファーR・ホーソン、マーシー・シモフ:著、福岡佐智子:訳、ダイヤモンド社、pp.134-135)
お母さん、明日
私はトニーという
素敵な男性と結婚するの。
結婚式、お母さんにも
出席してほしかったな。
一生の記念日こそ
お母さんの知恵と
祝福が欲しいよ・・・。
当日はよく晴れ
素晴らしい日になりました。
披露宴が終わった後
長年の友人マリリンが
号泣しながら近づき
言うにはー
「悲しくて泣いて
いるんじゃないのよ。
どうしても話して
おきたいことがあるの。
あなた、フォーシェーという
名前の人を知らない?」
「あっ、それ母の旧姓。
フランス語から来ているの。
でも、なぜ?」
「結婚式の間ね
あなたとトニーが不思議な光に
包まれて見えたの。
そこには、二人への愛に溢れた
誰かの存在があった。
あまりに美しい光景だったので
泣けてしまって・・・。
そのとき、しきりに
フォーシェーという
名前が浮かんできたのよ」
「・・・・・・」
「まだあるの。
私はあなたへのメッセージを
受け取ったのよ。
その不思議な存在が
こう伝えてほしいって。
『あなたはいつも
愛されています。
それを疑ってはいけません。
この愛は友人を通して
あなたに伝えられるでしょう』
って」
私はマリリンと泣きながら
抱き合った。
人は亡くなったからといって
愛による結びつきまで
なくなるわけではないと
確信できたから。
私はずっと愛されていた。
そしてこれからもずっと。
ありがとう、お母さん。
お母さんの愛を感じながら
生きられるようになったよ。
スザンヌ・トーマス・ローラー
おわり
出典:『こころのチキンスープ6』(ジャック・キャンフィールド、マーク・ビクターハンセン、ジェニファーR・ホーソン、マーシー・シモフ:著、福岡佐智子:訳、ダイヤモンド社、pp.134-135)