Uさんは、とても優しい女性です。
ただ、その日は元気がありません。
(どうしたのかな?)
と思っていたところに電話が入り、
「友だちから悪口言われて・・・」と話し始めました。
「Uさん、『90対10の公式』って、知ってる?」
「何それ?」
「悪口って、本人から直接言われても、間接的に聞かされても、
いい気持ちしないよね」
「うん」
「このとき感じた不快な気持ちを100%とすると、その内
・10%→相手の悪口によって引き出されたもの
・90%→小さい頃から溜め込んできた自分の問題
と言われているの」
「えっ! そうなの」
「うん。例えば同じ悪口を聞いても、気にする人としない人がいるでしょ」
「そうだね。でも、どうしてあんなこと言うんだろう?」
「『90対10の公式』を逆の立場から見てみようか。
90%が自分の問題ということは、
悪口を言う人は、自分の問題を語っているということにならない?」
「あっ、そうか!」
「つまり、自分の嫌っている点やこだわりを他人に映し出し、
実際は自分自身を表現するという、カミングアウト」
「じゃあ、気にしなくていいの?」
「ええ。だいじょうぶ。
10%は、自分の言動を振り返り、
残り90%は、相手の問題という見方をすれば、
悪口に呑み込まれずにすむわ」
この頃にはだいぶ落ち着きを取り戻したUさん。
「私、自信が無いから、何か言われるとすぐ、
『自分がいけないんだ』と思っちゃう(90%)けど、
これからは自分を責めないようにする」
そう言って、電話を終えたUさんの声は、
いつもの優しさに包まれていました。