自分の気持ち (1) | 読書セラピー(幸せのページ)

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木に吹いた風が緑色になるように
花に吹いた風が芳香を運ぶように
風に言葉を託して届けます。

ランチタイムが憂うつ。

これからお届けする物語は、そんなフィクションです。


・・・・・・


Aちゃん、お昼行こう!」

いつものようにB子が声をかけてきた。


すかさず

「最近できたイタリアンの店があるんだけど、すごく美味しいみたい。

そこ行かない?」

という提案が続く。


(ん? イタリアン、好きだけど・・・)

と思いながら、あることが引っかかってすぐに返事できない。


「並ぶのイヤだから、早く行こっ!」

B子は急かしながら、私の背中を押した。


店に着いてみると、雰囲気もいいし、お料理も美味しそうだ。

メニューを見ても、私の好きなものがたくさんある。


(ステキなお店だわ)と思った瞬間、いつものあれが始まった。


「ねえ、Aちゃん、今朝さぁー、

部長が『君は仕事ちゃんとやらないから』って言うのよ。

仕事でミスしたのは、半年も前なのに。

全くやってらんないわ」


(またか。B子はランチタイムのとき必ず、愚痴を言う。

部長もしつこいけど、B子も半年同じようなことばかり言ってる・・・)


料理が運ばれてきても、B子の愚痴は続く。


(おいしい! このお魚、最高!)


私はお料理の話に切り換えようとしたが、

機関銃のように喋るB子の話に入っていくタイミングがつかめず、

押されっぱなし。


こうして、いつものように1時間のランチタイムが、

“あっ”という間に過ぎていった。


(あ~ぁ、私はどうしていつも愚痴の聞き役なんだろう? 

どうしたら、ノビノビ話せるようになるんだろう・・・)


後味の悪い思いを引きずりながら、午後の仕事にとりかかった。    


ランチタイムはときどき、3~4人になることもある。


でも、不思議なのは、私と2人のとき以外、B子は愚痴を言わないこと。

だから、他の人はB子が愚痴っぽいのを知らない。

むしろ、朗らかな人と思われている。


そのせいもあるのかな? 

B子と2人でいると、私はウップン晴らしに利用されているような気がする。

でも、こういうのって、いまだけじゃない。


振り返れば、小学校から大学に至るまで、

ずっとB子のような人が私の周りにいた。


・・・ってことは、私の内に愚痴を引き寄せる何かがあるってことかな?


Aちゃんて優しいよね」

「怒ったことないでしょ?」

「私たち仲良しだよね」


しょっちゅう言われてきたけれど、素直に「うん」と言えなかった。

自分の内の何かが「違う」って感じてたから。


これって何?

私が悪いの?

相手が悪いの?

どうしたら、人と一緒にいて楽しめるの?


いままで気にしないようにしてきたけど、この際、考えてみようと思った。


つづく



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