吹っ切れて(1) | 読書セラピー(幸せのページ)

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木に吹いた風が緑色になるように
花に吹いた風が芳香を運ぶように
風に言葉を託して届けます。

今から51年前の1972年。
まだ、渡航が珍しかった時代
10代の少女が独り
パリへ向かうことに。

彼女の名前は
山口小夜子さん。

―渡航の目的は?

パリ・オートクチュールの
ショーに出るため。

―単身で海外って
 10代だと
 きつかったのでは?

ええ。

航空機トラブルで
ドバイに足止めをくらい
ようやくパリへ着き
「ああ、食事しなきゃ」
と入ったカフェで
人々の声に圧倒され
倒れてしまいました。

―大変・・・。

当時を振り返り
彼女はこう言っています。

「とにかく怖かった。
あまりの緊張と恐怖で
押しつぶされそうだった」

つづく

出典:『わたしの失敗』(産経新聞社、pp.176-177)